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「ロザリー!」
長い廊下の箒がけをしていると、正面から元気良くリリーが走ってくる
「リリー!」
毎日一緒にいるとうるさいし、仕事もせずにサボっている姿を見るのには呆れてしまうけど、昨日1日見てい無いから心配だった
ここはマフィアの屋敷
何かあったのでは無いかと不安になってしまう
「リリー、昨日はどこに・・・」
すぐに昨日の事を聞きたくなったけど、それと同時に聞いてはいけないのではないかとも思った
ボスにまだ顔を合わせていない私が関わっていいの?
「ロザリー、朝ごはんありがとう!」
「・・・え?」
リリーから出てきた言葉は全く考えも寄らないものだった
「ジェンの朝ごはんっていつも重たいんだよねー。でも、ロザリーの朝ごはん凄く食べやすいそ美味しかった!」
ジェンさんが寝ていたから、代わりに作って置いた朝ごはんを、リリーは食べてくれたらしい
多めに作って置いて良かった
「それにしても、たくさん作ったねー。ロザリーがあんなに料理出来るとは思わなかったや」
「うん。家にいた頃は、手伝い程度にやってたし。せっかくだからジェンさんとかリリーやクリストハルトさんの分も作ったよ。後は、食べるか分からないけど、マイクさんとかユリウスとかの分も」
「・・・!」
マイクさんはあれ以来あまり見かけない。幹部の人らしいから、きっとボスの側にいるんだろう
「ユリウス・・・?ねぇ、ロザリー。ユリウスって人に会ったのか?」
あんなに笑顔だったリリーが急に真顔になっていた
「あ・・・うん。少し前に」
「なにか、話したか?」
「うーん・・・他愛の無い話だよ。あの人身なりが綺麗だけど、上級使用人とか?」
ユリウスはたまに見かけたら話はするけど、どんな地位の人なのかは知らない
「そっか・・・うん。なら、大丈夫かな・・・うん」
何かを納得した様子のリリー
凄くきになる
「そう、それよりもあんたに新しい仕事だよ!」
「新しい仕事?」
「そう!買出し係!」
「か、え?!買出し?!」
予想しなかった発言だった
今朝思っていた事が、まさか叶うだなんて
「あんたの仕事ぶりが評価されたんだねー。よかったじゃん。まだロンドン知らないでしょ?」
「うん!嬉しい!」
「詳しくはベルーナさんが教えてくれるから、あんたはキッチンに行きな」
「分かったわ。ありがとう!」
やっと屋敷の外に出れる!うまく行けば、家族に手紙が出せるかもしれない
私は急いでベルーナさんの元へと向かった
「買う物は、このメモの通り。お金は絶対に落とさないこと。今回は最初だから、リリーと一緒に行きなさい」
「はい。分かりました」
ベルーナさんからメモ紙とお金、それから買い物カゴを受け取る
基本的に業者の方が届けてくれるが、たまにこうして市場に出かける事もある
野菜が足りないとか、紅茶を切らしているとか、ボスの頼まれごととか色々だ
「行ってきます!」
私は嬉しい気持ちを抑えながら、意気揚々と買出しに出かけた




