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ローズカンパニー  作者: 夜月
第二幕
17/21

11

「ロザリー!」

長い廊下の箒がけをしていると、正面から元気良くリリーが走ってくる

「リリー!」

毎日一緒にいるとうるさいし、仕事もせずにサボっている姿を見るのには呆れてしまうけど、昨日1日見てい無いから心配だった

ここはマフィアの屋敷

何かあったのでは無いかと不安になってしまう

「リリー、昨日はどこに・・・」

すぐに昨日の事を聞きたくなったけど、それと同時に聞いてはいけないのではないかとも思った

ボスにまだ顔を合わせていない私が関わっていいの?

「ロザリー、朝ごはんありがとう!」

「・・・え?」

リリーから出てきた言葉は全く考えも寄らないものだった

「ジェンの朝ごはんっていつも重たいんだよねー。でも、ロザリーの朝ごはん凄く食べやすいそ美味しかった!」

ジェンさんが寝ていたから、代わりに作って置いた朝ごはんを、リリーは食べてくれたらしい

多めに作って置いて良かった

「それにしても、たくさん作ったねー。ロザリーがあんなに料理出来るとは思わなかったや」

「うん。家にいた頃は、手伝い程度にやってたし。せっかくだからジェンさんとかリリーやクリストハルトさんの分も作ったよ。後は、食べるか分からないけど、マイクさんとかユリウスとかの分も」

「・・・!」

マイクさんはあれ以来あまり見かけない。幹部の人らしいから、きっとボスの側にいるんだろう

「ユリウス・・・?ねぇ、ロザリー。ユリウスって人に会ったのか?」

あんなに笑顔だったリリーが急に真顔になっていた

「あ・・・うん。少し前に」

「なにか、話したか?」

「うーん・・・他愛の無い話だよ。あの人身なりが綺麗だけど、上級使用人とか?」

ユリウスはたまに見かけたら話はするけど、どんな地位の人なのかは知らない

「そっか・・・うん。なら、大丈夫かな・・・うん」

何かを納得した様子のリリー

凄くきになる

「そう、それよりもあんたに新しい仕事だよ!」

「新しい仕事?」

「そう!買出し係!」

「か、え?!買出し?!」

予想しなかった発言だった

今朝思っていた事が、まさか叶うだなんて

「あんたの仕事ぶりが評価されたんだねー。よかったじゃん。まだロンドン知らないでしょ?」

「うん!嬉しい!」

「詳しくはベルーナさんが教えてくれるから、あんたはキッチンに行きな」

「分かったわ。ありがとう!」

やっと屋敷の外に出れる!うまく行けば、家族に手紙が出せるかもしれない

私は急いでベルーナさんの元へと向かった



「買う物は、このメモの通り。お金は絶対に落とさないこと。今回は最初だから、リリーと一緒に行きなさい」

「はい。分かりました」

ベルーナさんからメモ紙とお金、それから買い物カゴを受け取る

基本的に業者の方が届けてくれるが、たまにこうして市場に出かける事もある

野菜が足りないとか、紅茶を切らしているとか、ボスの頼まれごととか色々だ

「行ってきます!」

私は嬉しい気持ちを抑えながら、意気揚々と買出しに出かけた

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