7
それから、後半の仕事も大変だった
部屋数数え切れないほど多くて・・・
ただ、3階には決して上がらないように念を押された
3階に上がる階段の下から覗き込んでみたが、よくわからなかった
たぶんボスの部屋があるからダメなんだろうけど
「ねぇリリー」
「なに?」
今は仕事も終わって夕食タイム
パスタを必死にフォークに巻きながらリリーは返事をした
テーブルには相変わらず凄い数の料理が並んでいる
「私まだボスに会ってないの。いつになったらご挨拶出来るかしら?」
何気無くした質問に、リリーは必死動かしていた手を止めた
「ボスにはそう簡単には会えないよ。私も週に一回会えるか会えないかだもん」
そう言うと、フォークに巻いたパスタを口に放り込んだ
「ロザリーさん。うちはマフィアですからね。いくら身内でも、私たちは使用人です。ボスとは程遠い立場・・・同じ屋敷内でも、顔を合わせるのは難しいでしょう」
あまり話す気のないリリーの代わりに、クリストハルトさんが答えた
「私も・・・もうここで働いて2年は経ちますが、お会いしたことがあるのは片手の数ほどです。きちんとお話したこともありません」
「え・・・そんな」
「リリーさんでやっと私より多く会われるくらいですからね」
「あたしはそれも仕事のうちだかんね」
「人によって違うのね・・・」
ベルーナさんはボスに同行するみたいだし
やっぱり、マフィアってわからない
まだ見ぬボスに会いたいような、会いたくないような・・・
雇い主だから気になるし、何より何故私がこの屋敷に来たのかも気になる
ボスなら、その真実を知っている気がするのだ
夕食も終わり、部屋で寛ぎながら私は日記を書いていた
家族に手紙は書けない。今の私の状況を教えることは出来ない
なら、家族の元にに戻ったときに色々話せるように日記に書き留めておきたいと思ったからだ
今日一日の出来事と、使用人のみんなの事を書いていく
リリーは元気がよくて、気の強い女の子
シェフのジェンさんは、気前がよくて面倒見のいい人
庭師のクリストハルトさんは、綺麗な金髪で容姿端麗。しかし、女たらしである
みんな私のように何かしら事情があってここにいるらしい
長い間共に暮らしていく相手だけど
まだまだ仲良くなりきれていない。でも、これから仲良くなれる気がする
もう少ししたら、打ち解けられるかな?
ふと机に置いてある時計を見れば、日付が変わっていた
「・・・ふぅ。もうこんな時間。明日も早いしもう寝よう」
私は日記帳を閉じると、ベットに潜り込んだ




