SSS-Bチーム※1
まさかこの妄想があそこまで大きくなるなんて思いませんでした。
白井直樹21歳、両国瑠美21歳、リアトリス・リニ21歳、ともに公務員試験合格。
カツカツカツ、と革靴の音がする。真新しい制服に身を包んだ直樹、瑠美、リアトリスの前に1人の男が現れた。
「やあ。はじめまして3人とも。公務員試験合格おめでとう。そしてようこそ、SSS(警視庁公安部特別作業部)へ」
ふんわりとした茶髪の、うさんくさい笑みを浮かべた男だった。
「ここはゼロの指令のもと、あらゆる非合法な『作業』を行うために設立された特別部隊だ。僕らにはあらゆる超法規的措置が許されている。そのかわりに、僕たちの存在は決して公にはされないし、作業にはつねにそれなりの危険を伴う。君たちにはその覚悟があると信じているよ」
うさんくさい笑みの男は想像以上に若く、それでいて動きにまったく隙がなかった。瑠美は男のいかにも裏がありますという表情が気に入らないらしくフン、と鼻を鳴らす。
直樹が敬礼をしたまま口を開いた。
「質問をよろしいでしょうか」
「どうぞ。あと、そんなに硬くならなくてもいいよ。ここは僕と君らの3人しかいないから」
それは自分達がくるまで1人で活動していたということだろうか。
男の底知れ無さに、リアトリスが笑う。
大方こうおもっているのだろう――『いい暇つぶしになりそうだ』と。
直樹が言った。
「この国は、僕の姉が何者か知っているんですか」
「うん。指定僕力団白井組の組長さんだね」
サラリと返されて直樹はすこし面食らった。
「……犯罪者の血縁は、警察官にはなれないはずでしたが」
「それでも試験受けちゃうんだからすごいよね、君って。大丈夫、君の能力はこの国が喉から手が出るほどほしがってるものだから。それに君が警察組織に所属していることは、決して公にはされないから――そらなら、警察官になれてないのと一緒でしょ?」
直樹はすこし眉をひそめた。
「ですが」
「大丈夫だよ」
男はニコニコと笑っている。
そうして彼は次の瞬間、驚くべきことを口にした。
「それにそれをいったら、僕だって犯罪者なんだ――死のうとしたけど、警察に所属してることは隠しといてやるから働けっていわれちゃってさ。嫌になっちゃうよ。君も、まあここに来たからには諦めて、肩の力ぬいてラクにやろうよ」
さりげなくゆるめた首もとから大きな疵痕が覗いていた。首をかっきった後だろうか――瑠美の目がギラリと光る。おそらく興味が沸いたのだろう。
それから男はあ、と間抜けな声をあげると、あらためて3人に向って敬礼をした。
「そうそう、言い忘れてたよ。僕はこれから君たちの上司になる――斉賀実だ。よろしくね」




