4 銃
4 銃
その事件の後、リアは僕たちから銃を取り上げた。
「こんなもの、こうしてやる!」
そう言ってリアは外へ出て、2丁の銃を家のすぐ近くにある小川へと投げた。遠くの方から、水の跳ねる音がした。
そのまま僕らは、お互いに何かを話すことなくベッドに潜った。
殴られた頬は長く痛み、しばらく僕を寝かせてはくれなかった。
そうして数時間経った頃、僕は誰かに揺り起こされた。
「……コル…イコル」
僕を起こしたのは、シーグだった。
「シーグ?」
シーグは口元に指を置いて
「静かに! ちょっと、こっちこいよ」
そう言ってランプを持ち、外へ出て行った。僕はそれに着いて行った。
「どうしたの?」
「さっき、リアが投げた銃、探せ!」
シーグは小川の流れている辺りで、かがんでいた。
「でも、リアが……」
「でも何かあった時、リアを守れるのは俺たちしかいない」
シーグは真剣な、まっすぐな瞳で僕を見た。
「…………」
僕は何も言えなかった。胸がドキドキした。
「俺たちは、大人の言いなりになっちゃいけないんだ。俺たちの夢を、この星の最後の夢を諦めちゃいけないんだ」
「…………」
「……その為には、多少汚れることもためらっちゃいけない」
「…………うん」
僕は軽い返事しか出来なかった。でもシーグはそれに納得したように、また辺りを探し始めた。僕も小川の周辺の草むらを探した。
「あった」
シーグが少し離れた小川の中から銃を拾い上げた。銃口からは水が滴っている。
「あ……」
僕はその銃を見てすぐ、それがすでに使えないことが分かった。あれだけ水に濡れていれば、火薬は駄目になっているだろう。
でも僕はその事実を口にはしなかった。
「そっち、見つかったか?」
シーグに言われ、僕はまた辺りを探した。すると、ちょうど草むらの中に、黒く光る銃がかくれんぼしていた。ギリギリの所で水には濡れていない。
「あったよ、ほら」
僕はおどけてシーグに銃を向けた。シーグは軽く笑ってよかったと言って、ポケットから布切れを出し、それで銃を包んでしまった。僕も安全装置をかけたあと、ハンカチで銃を包んでポケットに入れた。
「さ…戻ろうか。リアにバレないようにな」
シーグは踵を返して家へ向かった。僕もそれに従った。