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隣の席の彼

作者: 紘っち


友達にリクエストされて書いた短いものなので

気軽にお読みください^^

一言言っておくと

私は席替えがだいっきらいだ――――――。

いちいち席を動かすのも面倒だし、

知らない奴が近くにいてチラチラ見られるのは正直きつい。

女の子だったらまだいいよ、

そのチラチラをネタに会話して友だちになりゃいいから。

けれど男は違う。

男が私をチラチラしてみるときは大概鼻の下が伸びている。

自分ではそこまで意識してないけど母親がそりゃあ美人だったから

やっぱりそれが影響しているんだと思う。

だから男子は私をやらしい目で見てくる。

それが気に食わない。

それと、その男子の視線もあり、

私は常に不機嫌で、そんな態度の私に誰も寄り付かなかった。

だから席替えのときはなるべく顔見知りの女子になるようにお願いしている。

でも、現実はそんな手を合わせるだけじゃあ免れないんだ。

「よ!よろしくな」

そう、今回の席替えの隣のやつや神田秀介――――――男である。

顔はまあまあのイケメン。

サッカー部の部員で女子からの人気も高いらしい

「はぁ・・・・・・よろしく」

私は素っ気無い態度で神田君の言葉を返した。

「じゃあお前ら1時間目は・・・・・・現代社会か、準備しとけよ」

そう言って先生はどこかに行ってしまった。

すると、隣でガサガサと騒いでる男が一人、神田だった。

「やっべぇ!ノートに予習し忘れたぁぁぁ!!!!」

頭をクシャクシャしながら悔しそうに叫んでいる神田君。

「なぁ!えーっと・・・・・・」

神田君は何の躊躇もなく私に話しかけてきてくれた。名前覚えてないっぽいけど

「戸松・・・・。戸松愛よ」

「あ、悪いな!戸松!!この通り!ノート貸してくれ!!!」

合掌して頭を下げながら私に頼み込んでくる神田君

「はぁ・・・・・仕方ないわね、はい」

私はため息を吐きながらノートを貸してあげた。

「ありがとう戸松!助かったぜ!!!いやぁ~男子の友だちはバカだから書いてないし、

 女子に頼んでもなぜか貸してくれなくてさ。助かったよぉ~~」

これが、私と神田君の初めてのおしゃべりだった。

私のノートを受け取り、残り5分なのに必死になってノートを写す神田君は少し面白かった。



--------------------------------------------------------------------------------



「今日は本当にサンキューな戸松!」

「あ、いいよいいよ。また忘れたら言って」

「おう!悪いけどそうさせてもらうわ」

そう言って鞄を持って神田君は教室を出た。

教室の前には同じくサッカー部であろう人たちが待っている。

「おいおい秀介あれって戸松愛だろ?」

「ああ、そうだけど?」

「美人だけど無口で何考えてんのかわかんねえんだよな~。なんかいつも不機嫌だし」

「そうか?」

「お前・・・・・・・美人だからって狙ってるのか?」

「そんな事ねえよ。お前と違って俺は顔で判断する人間じゃねぇの」

廊下を歩いていく神田君たちはなにやら話をしているがよく聞こえない。

私も帰ろうと鞄に教科書などを詰めて、教室を出ようとする。

そんな時だった――――――――――――。

「えっ!?秀介君って戸松さんの事好きなの?」

「違うって!秀介君に限って顔で選ばないよ!!」

「あたし見たよ!戸松さんが秀介君にノート貸してるところ!!」

「えっ!?嘘っ!!」

「そうやって秀介君の気を引こうとしてるんだよきっと!!」

「あたし達綾香のためにノート貸すチャンス作ってあげてるのに!!」

どこからか聞こえてくる声。

向こうのほうに4人ほどの女子が話しているのを見つけた。

(なるほど・・・。だから女子が神田君にノート貸してあげないってことか・・・・・・・)

ただそれより、あたしはただ親切でやったことをこんな言われ方ないと思う。

「ちょっと美人だからって調子に乗って秀介君を誘惑して!!」

「そうだよ!あんな子がいたら秀介君が取られちゃうよ!!」

「2人の邪魔しよ!!そうしないときっといつかくっついちゃうよ!!」

はぁ・・・・・だから席替えは嫌いだ。

時折こういう事態が発生する。

勝手に勘違いして、勝手に悪意を向けて来る。本当にいい迷惑だよ。

私はこれを中学のときから経験してる。

中学のときはそりゃ泣いた。

友だちと思ってた子にそんなこと思われていたんだから。

でも、高校生になって少しは成長したと思う。

いくらむかついても、悲しくても・・・・・・・私は涙を流さない。

こんなところで泣いてたまるか!

「何の話♪♪」

「―――っ!?」

男の声がしたので私はもう一度隠れて4人の女の子達のほうを見る。

そこにいた男の子は―――――――神田君だった。

「神田君!?ど、どうしたの!?」

顔を真っ赤にして女の子Aが言った。恐らくあの子が綾香ちゃんだろう。

「いやぁー忘れ物取りに教室行ったんだけどさぁーそんときに偶然君たち見つけてね♪」

「へ、ヘぇーそうなんだ♪♪」

軽快な口調で話す神田君。声をかけてくれたのが嬉しいのかモジモジしている綾香ちゃん。

「ただ俺さ・・・・。陰口言う女の子ってあんまり好きじゃないかな~~」

「えっ・・・・・・・・」

「親切心でノート貸してくれた戸松をそんな言い方するやつ。俺は嫌いって言ってるんだ」

軽い口調から段々厳しい顔になって行く神田君。その目は少し怖いものを感じた。

「え、いや・・・・そういうことじゃなくて・・・・・・・。」

綾香ちゃんたちは必死にいいわけしようとしている。

「そういうわけじゃないってどうゆうこと?」

「・・・・・・ごめんなさい」

綾香ちゃんたちは神田君に睨まれてビビってしまい思わず謝ってしまう。

「うん!正直に謝れる子はとっても魅力的だと思うよ。

 あ!これでまた逆恨みとかやめてあげてね!!」

「「「「はい・・・・・」」」」

4人の女の子が神田君に謝っている。

そんな時だった――――。

神田君は振り返って私に向かってウィンクをする。

どうやら神田君私がここで聞いてること知ってたんだ・・・・・・。

「じゃあ俺部活行くから!」

そう言って女の子達に別れを告げて神田君は行ってしまった。

私も彼女たちにバレないように別ルートを使って家に帰っていった。




--------------------------------------------------------------------------------




「おーっす!戸松」

「おはよう、神田君。今日はやってきたの?」

「おう!流石に5回連続でお前に世話になるわけにはいかねえしな!!」

「6回よ」

「あれ?そうだっけ??」

「まあ7回目にならなくてよかっ・・・・・・ん?どうしたの??」

「悪い戸松・・・・・七回目だ・・・」

申し訳なさそうに理科Aのノートを私に見せてくる神田君。

「はぁ・・・・・・仕方ないわね」

「おう!サンキュー!!戸松愛様様だな本当に!!」

そう言って毎度のように必死になってノートを書き写す神田君。

結果となり同士になってまだ2週間しか経っていないが、彼とはよく話すようになった。

彼は私をいやらしい目で見てこないのだ。不思議なことに・・・・・。

私を見ないで話すか、必ず目を見て話してくる。

絶対に私のほかの所を見て話すことはしない。

そういうところに私はこころを許したのかも知れない・・・・。

「ねえ?」

「ん?なんだ??」

私の声にノートから目を離さずに答える神田君。

「神田君彼女とかいないの?結構モテそうなのに・・・・・・」

「いや、彼女とか作ったらサッカーに影響出るし、それに前みたいな子がいるからな・・・」

前みたいな子って言うのは私の事を勘違いしていじめをしようとしていた子達。

あのとき偶然神田君が来て止めてくれなかったら私今頃いじめの対象になっていただろう。

「じゃあ好きな子とかはいるの?サッカーとか前の子達が関係なくて」

「・・・・・・・うん。いるよ。健全な男子だし」

相変わらずノートから目を離さずに答える神田君

「良かったら手伝ってあげようか?」

「いや、こういうのは自分で頑張るもんなんだよ。だからいい・・・」

「ふーん」

「戸松のほうはどうなの?」

「えっ!?」

「いや、俺にそういうの聞いてくるんだから戸松にもいるのかなーって好きなやつ」

「いないよ。私は・・・」

「ふーん。勿体ねえな、そんな美人なのにアプローチかければ誰でも来るだろ」

「それが嫌なの。外見だけで見てくるやつらがね」

「なるほどね」

そういってから、神田君の言葉は止まった。

一生懸命にノートを写している。

私もそれを邪魔してはいけないと思い、神田君に話しかけるのをやめた。

「本当にありがとな。字も上手いし見やすいわ」

「八回目だけは避けてよね」

「はいはい・・・」

少しして、ノートを返しながら話しかけてくる神田君に私は軽く毒舌を吐く。

これが私の教室での日常。

唯一楽しいと思った席替えの時間。




--------------------------------------------------------------------------------



「はぁ・・・・・・・」

ついにこの時期だ。

月に一度の席替え。

またよくわかんない下心丸出しの男か、嫉妬心に燃えてる女と隣にならなきゃいけないのか。

はっきり言って今の席が一番いいと思う。

まあ相変わらず神田君は予習のノート写してこないけど・・・。

それ以外は特に不満のないものだった。

神田君と話しているうちに私にも親しく接してくる人が多くなった。

普段不機嫌で声がかけにくかったらしく、最近ではよく話しかけてくれる友だちも出来た。

だからこそ、ため息を吐きたくなるほど、この席を離れるのが嫌だ。

「どうしたんだ?」

そんな私に間抜けな面で問いかけてくる神田君。

「いや、もうすぐ席替えだなーって」

「ああ、そういえばそうだなぁ~俺席替え嫌いなんだよなぁ~~」

「え?どうして??」

神田君から意外な言葉を聞いたので私は思わず質問をしてしまった。

「いやだってさー。気に入ったやつと離れなきゃいけないんだぜ?」

「気に入った?」

「あ、いや。何でもねえよ。あ、ノートありがとう」

「???」

神田君は少し慌てて私にノートを返した。

その慌てぶりは私にはよく理解できなかった。

「じゃあお前ら席替えだ。後は勝手にやっとけ」

放課後のLHRにくじ引き形式で生徒だけで勝手に行なう。

先生は椅子に座ってダラーっと監視しているから交換という手段は不可能。

私はうんざりしながらくじを引いた。

(・・・・・9番か・・・)

そう思って黒板を見る。

私の隣のやつは3番引いた人か・・・。

私はそわそわと周りを見てしまう。

こんなことを思ったのは初めてだ。

隣なんて誰でもいいって思ってたけど、今は違う。

この一ヶ月で友だちは何人か出来た。

だから出来たらその子達と――――あわよくば―――――――――――――。

「戸松~何番だった?」

「え?私は9番だったよ。神田君は?」

私の言葉に少し感激したかのような顔を浮かべる神田君

「よっしゃぁ!!俺三番!!隣じゃねえか!これでまたノート借りれるー!!!」

「喜んでる理由ってそれだけ?」

喜んではしゃいでる神田君を見て思わずため息混じりに笑って私は言った。

「お、秀介3番なの?俺4番だぜ」

「愛ちゃん9番なの!あたし8番だよ!!」

「あ、俺10番!」

「私は2番です・・・・・・・」

不思議なことに私と神田君の周りはこの一ヶ月で仲良くなった子達だけでまとめられた。

「みんな一点に集まったんだな!今回の席替えはラッキーだぜ!なっ戸松!!」

笑顔で私に話しかける神田君。

私も少し嬉しくなって「うん!」と返事をした。




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「秀介遅い!」

「悪い悪い・・・・あ!」

「どうしたの!?」

「・・・・・・・・プレゼント忘れた」

「えっ!?またなの!?」

「本当にごめん!よし!今からお前のほしいもの買いに行こう!!」

「もう・・・・・・。いい加減その忘れ物癖治せないの?」

「いいから!服でも何でも欲しいやつ買ってやる!このためにバイトで稼いだんだ!」

「で、でも家に忘れたって言うプレゼントは!?」

「それともうひとつだよ。今お前が欲しいものとそれ二つ。お前の誕生日プレゼントだ!」

そういいながら私の手を取って引っ張ってくれる秀介。

あの席替えから2ヵ月。

私は秀介からの告白を受けて、付き合うことになった。

好きと嫌いは紙一重って言うけどその通りだと思った。

あれだけ嫌いだった席替え。

けれど今の私は秀介と出会わせてくれた席替えがかなり大好きになっていた。




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