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審査の内容

「………これ、ホントに俺かよ……………」

着替え終わり、鏡で自分の姿を見た瞬間、俺はそんなことを呟いていた。

ワンピースを着てエアバストを付けただけで、こんなにも人の印象って変わるんだな。

まぁ、これなら知り合いに見られてもばれないだろうし、万事OKなんだけど、なんでだろう?

男として終わった気がする。

「あの、芹沢さん。着替え終わりましたか?」

1人で落ち込んでると、カーテンの向こうから桜内さんが声をかけてくる。

「すみません。今出ますね」

俺は待たせてしまったことを謝り、更衣室から出る。

桜内さんも俺が着替えてる間に着替えたらしく、さっきとは服が変わっていた。

白を基調にしたもこもこの服で、どことなく羊を連想してしまう可愛らしい服だ。

「その服似合ってますね」

「そうですか?芹沢さんも、すごく似合ってますよ」

「あ、あはは、そう言ってもらえると嬉しいけど、ちょっと複雑………」

そりゃ似合ってないってズバッと言われるよりはいいのかもしれないけど、これはこれで辛い。

世の中のオカマに失礼だけど、女装の何が楽しいんだ?

俺には全く分からない。

しばらく話していると、扉が開き眼鏡をかけた中年のおっさんか入ってきた。

「今から1次審査を行いますので、会場に移動してください。審査の内容もその時に発表します」

おっさんはそれだけ言うと、扉を開けたまま出ていく。

待機室にいる出場者達はぞろぞろと移動を始めた。

「審査の内容って何なんでしょう?」

「分かりませんけど、マスターの情報が正しければ普通じゃないでしょうね」

『正しければ』と言いはしたが、多分マスターの情報は正しい。

なぜなら、さっきセットを少し見たが、明らかに可笑しな物がいくつもあった。

あれを見る限りだと、審査が外見だけで決まるとは考えられない。

落ちるのが目的の俺にとっては好都合だが、桜内さんにとっては厳しいだろう。

「とにかく、覚悟を決めるしかありませんね」

「私、頑張ります」

桜内さんは胸の前で拳をぎゅっと握り、気合いは十分みたいだ。

「じゃあ、行きましょうか」

「はい」

俺達は待機室を出て、会場に向かった。


『では、第1次オーディションのドッヂボールを始めます!』

元気な声で司会者らしき若い女性が宣言する。

今、何て言った?

なんで、アイドルのオーディションでドッジボールをやらなくちゃいけないんだ?

「………ドッヂボール……?」

隣で桜内さんが茫然と呟く。

桜内さんだけじゃない。

周りの参加者達もざわついている。

『皆さん困った顔をしてますねぇ。かわいそうだから説明してあげましょう』

司会者はそう言うと、ポケットから白い紙を出す。

説明してあげましょうって言ったのに、話す内容覚えてないのかよ。

『えっと、1次審査の内容はさっき言った通りドッヂボールです。10人1組でチームを作り、勝ったチームの全員が2次審査に行くことができます。負ければ当然全員アウトなので、チームワークが大切ですよぉ。ルールは基本普通のドッヂボールで、首から上に当たってもセーフです。チームはクジで決めてありますので、後に発表します。とりあえずこの1次審査で1500人の出場者が750人になっちゃいますので、運動苦手の人は得意な人と組めるように祈っててください。例えば、そこの背の高いワンピースの人と組めればラッキーかもしれませんね』

司会者の人は俺を指差しながら言う。

それにつられて皆が俺を見るが、それって大きな間違いなんだよな。

だって、俺ワザと当たるからなんの役にも立たないし。

『それじゃあチームの発表いくよぉ!まず1チーム目は………』

司会者が次々と出場者の番号を呼んでいく。

俺と桜内さんの番号はなかなか呼ばれず、時間だけが過ぎていく。

『126チーム目は、1499番、1500番………』

いい加減聞くのがめんどくさくなってきた頃。

ようやく俺の番号が呼ばれた。

俺の番号は1499番だ。

「あ、やっと呼ばれた」

「私もです」

「「……………え?」」

俺と桜内さんの声が重なった。

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