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猫課長( ΦωΦ )  作者: 櫻木サヱ


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5/15

ランチTimeは地獄と天国

昼休み。

営業部フロアには、静かなざわめきと、ほんのりした緊張感が漂っていた。


理由はひとつ。


今日は——

ミスティ課長が社員食堂に降臨する日だから。


佐伯「山根…覚悟はいい?」

山根「うん…今日も平常心で…いられる気がしないけど…」


佐伯(心の声:だって…あの見た目で食堂に来るんだよ…?猫がごはん食べに…いや課長だけど…)

山根(心の声:先週なんて、隣の女子社員が“キレイ…”って泣きそうな声出してたし…)


ガチャッ。


エレベーターが開く。


フワッ…と、気品あるシャム猫が姿を現した。

青い瞳、きゅっと揃った前足、すべるような足取り。


ミスティ課長、堂々の入場。


課長「今日はカレーの日だろう? 行くぞ、佐伯」


佐伯「は、はい!!」


山根(心の声:カレーの日に嬉しそうなのやめてほしい…そのしっぽの揺れ…破壊力…)


社員食堂は、ざわ…ざわ…!と騒ぎ出す。


社員A「ミスティ課長…!」

社員B「今日も神々しい…」

社員C(心の声:なんで“猫が食堂に来る”ってだけでこんな癒やされるんだ…?)


課長はそんな視線など気にせず、

「並べ」と言わんばかりに前足をトントンと床に置いて並ぶ位置を示す。


佐伯(心の声:トントンが可愛すぎて死ぬ…)

山根(心の声:あの仕草、絶対威厳のつもりなんだろうな…かわ…っ)


食堂のおばちゃんが、課長を見ると微笑む。


おばちゃん「はい、課長さん。いつものですか?」


課長「うむ。いつもの頼む」


“いつもの”とは、カレー大盛り。

しかし課長はシャム猫なので、小さなお皿で出てくる。

(猫が大盛りは無理だからだ)


山根(心の声:小皿にちょこんと盛られたカレー…似合いすぎてる…)

佐伯(心の声:課長、全然気づいてない感じがまた良い…)


席につくと、ミスティ課長はまずスプーンを見つめる。


そう、課長はスプーンが使えない。

毎回、謎の“猫用アタッチメントスプーン”を佐伯がセットするのだ。


佐伯「課長、スプーン装着しますね」


課長「うむ」


部下が課長の前足にパチンとスプーンをつける。

周りはもう悶絶。


社員D(心の声:部下が課長の前足にスプーンつけてるの可愛すぎる…)

社員E(心の声:あれ写真撮りた…いやダメだ…仕事…仕事…)


ミスティ課長は堂々と一口。


ペロッ。


佐伯(心の声:ああーーーかわいいーーー!!!)

山根(心の声:威厳ある顔でペロッてするギャップやばい…)


課長「……うむ。今日のカレーはスパイスが強いな」


食堂全体(心の声:コメントかわい…!)


課長は食べながら部下に指示を出す。


課長「午後は資料の確認をする。まとめておけ」


佐伯「はい!」

山根「了解です!」


だが、


課長「それから……ん…む」


スプーンが外れて、カレーが前足につく。


佐伯(心の声:うわ…ついた…ついたけど…かわ…)

山根(心の声:ふぉぉぉ……かわい……っ)


課長は気にせずぺろぺろと前足をきれいにする。


食堂の空気は、社会人の昼休みではなく

“癒やし系動物カフェ”みたいになっていた。


課長「何をぼうっとしている? 食べるのが遅いぞ、お前たち」


佐伯「す、すみません!!」


心の中(課長が可愛すぎて集中できるわけがないんです!!)


午後の業務を前に、

営業部のふたりのHPはすでに“癒やされすぎてゼロ”になっていた。


それでも、

ミスティ課長は今日も威厳たっぷりに、堂々と歩いていく。


自分が“癒やしの破壊兵器”であるとは露ほども知らずに——。

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