自宅あるある
夜20時。
加藤課長は静かに自宅のドアを押し開ける。
会社では威厳たっぷり、青い瞳とピンと伸びた背筋で部下たちを統率する姿しか見せない。
だが、自宅に一歩入ると、その硬さはわずかに和らぐ。
まずはソファの上に軽やかにジャンプ。
(ここは安全な着地点…うむ、完璧だ)
前足を揃えて着地。
床に散らばるペンや小物に目をやると、前足でちょいっと触って整理する。
部下に見せたら、確実に「可愛い…!」と叫ばれる仕草だが、課長本人は「整理整頓の効率を上げているだけ」と心の中で言い張る。
キッチンに向かうと、食事の準備が目に入る。
缶詰の音に耳がぴくりと動く。
(食事のタイミングを逃すわけにはいかぬ…)
フードボウルに目をやると、目を細めて一瞬の期待感を漂わせる。
威厳は崩れない。可愛いと自覚することもない。
テレビをつけると、偶然猫番組が流れていた。
課長(心の声:あの動きは非効率…しかし…)
目を細めて見入る。
内心、ついクスッと笑ってしまうが、当然外には出さない。
「観察だ」と心の中で分析している。
夜の毛づくろいタイム。
背中を丸め、前足で顔をちょいちょい。
会社での厳格な姿とはまるで違う、猫らしいしなやかな動き。
課長は「体のメンテナンス」と称して冷静に処理しているだけだが、見た者がいたら間違いなく萌え悶える。
読書タイム。
机の上で資料や本を整理する。
前足でちょいっと押す仕草が自然すぎて、ふとした瞬間に可愛さが滲み出る。
自覚は一切なし。あくまで“効率のため”だ。
ベッドに入る前、窓辺で外を見つめる。
月明かりに照らされ、背筋は会社の時と同じくピンと伸びる。
軽く伸びをすると、毛並みがふわっと揺れ、柔らかい印象になる。
この姿を誰かに見られたら、部下たちは間違いなく心を撃ち抜かれるだろう。
布団に潜り込み、丸くなる。
前足をチョイっと折り、顔を丸めて静かに呼吸。
(今日も部下たちが無事に仕事をこなした…よし、明日も頑張らねば…)
威厳ある猫課長の自宅での一日は、こうして静かに終わる。
寝息は穏やかで、全身の毛がわずかに揺れる。
誰も見ていないが、家では自由に猫らしい姿を楽しむ課長。
外では見せない柔らかさと、威厳ある態度のギャップこそが、真の加藤課長の魅力である。
――加藤課長、自宅では完全に猫らしさ全開。
威厳と可愛さの絶妙なバランスで、今日も部下たちの心は知らずに癒され、尊さが増すのであった。




