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ある朝、目覚めたら……

掲載日:2025/11/08

 ある朝、目覚めたら目が見えない。

 おかしい。瞼は開いてるはずなのに、真っ暗だ。

 手探りでスマホを探しあて、電源ボタンを押してみたがやっぱり点いたのが見えない。朝だと思ったけどまだ真夜中で、スマホは充電が切れてたのかな? あたし、ボケだからな……とも思ったが、うっすらとすら何の影も見えないのはやっぱり変だ。


 目を触ってみると、眼球がふたつともなかった。


 そういえば最近、お医者様に言われてたっけ──


『眼圧の数値が異常すぎます。あんまり毎日お酒ばっかり飲んでいたら、そのうち眼球が破裂して何も見えなくなりますよ』と。


 そっか……


 その場では『そんなことあるわけないでしょーww』と笑い飛ばし、これだけがあたしの生きてる意味とばかりに毎日10杯以上のハイボールをアルコール摂取欲全開で飲んでたけど、ほんとうにこうなったんだ。


 手探りで破裂した眼球を探すと、確かにサザエの中身みたいなヌルヌルしたものが二つ、手に触れた。


 後悔、先に立たず──


 どうしよう……


 これじゃ大型トラックドライバーの仕事はもちろん続けられないだろうし──


 スマホも見られないから、趣味の小説投稿サイトも続けられない。


 途方に暮れていると、すぐ横のほうから女性の声がした。


「だからあれほど言ったのに……」


「美沙!?」


 その陰気なジトジトした声に聞き覚えがあったので、あたしは友達の名前を口にした。


 しかし声の主は否定した。ゆっくりと首を横に振る気配とともに──


「私の名前は死野しの霊子りょうこ


 なぜだか音だけで漢字までがわかった。


「誰だかわかんないけど……」

 あたしはお願いした。

「お願い。目が見えないの。救急車を呼ぶこともできないの。車を運転することもできないし、歩いて外に出たらたぶん、車に轢かれちゃう……」


「……それで、どうしろと?」


「えっ?」


「『お願い』とか言われても、それでは何をしたらいいかわからないわ。具体的に何がしてほしいの? それを言いなさい」


 あたしは頭に浮かんだことを口にした。


「目を見えるようにして?」


「了解」


 ぱっと灯りが点くように、明るくなった。

 いつもの自分の部屋が見えた。いつも通りの汚部屋だ。ペットボトルや酒瓶が床に散らばっている。


「ありがとう、霊子!」


 霊子の顔を見て、あたしは悲鳴をあげかけた。

 霊子は目も鼻も、手も足もすべてない、芋虫だった。


「後悔するなら先にしなさい。今ならまだ間に合う。遅くはないわ」


 言い聞かせるように、歌のようにそう言うと、霊子は消えた。







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― 新着の感想 ―
ええええっせいじゃないですよね!? 企画期間が終わったのに堂々と……私も投稿したことありました。
え? なんだか変なリアリティが……怖いんですけど……。 まさか、ノンフィクション? まさかね……。
Σ(;・∀・)<「ヤツの眼圧が消えた!?」 …とまたリアルエッセイじゃなくて良かったと心底心配しておりました…(´;ω;`)<日本語おかしいw 芋虫ということは、羽化して…またカブトムシになります…
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