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第3エリアの脱出を謀って、1週間と3時間。


ワタシたちは現在フロンティアのステーションでメディカルチェックを受けています。


そこで第3エリアはとても狭い空域だと知りました。


第3エリアから生きて出てくる者はで初めてだと、ステーションの方たちも物珍しそうにしています。


第3エリアの犯罪の刑罰で空域追放は、大抵は食料も動力も舵も無い処刑箱に入れられますので生きて星間航路には出れないでしょう。


第3エリアは星間ワープがすでにロストテクノロジーになっており、手動の操縦でここに着いたことにも驚かれました。


運転手のジェラさんはすごい人かもしれません。


「引きこもりの第3エリアから這い出できた変わり者ん~~?見たことある人だね」


ヒョロヒョロとしたアクセサリー過多な、フロンティアの装いの青年が声を掛けてきました。


「フロンティアのアイ大使。お久しぶりです」


姫様の挨拶に、彼は耳朶の飾りを軽く叩くと僅かに煌めきます。


これは通信しているようですね。


「・・・そうそう、フィーリア姫。なんでココに?」


不思議そうに首を傾けるのを、姫様はにこやかに対応している。


「家出をしました。第3エリア以外で移住を考えております。何処かお勧めはございませんか?」


「この先よりは、第2エリアでしょ。文化停滞でつまんない第3エリアより進化してて楽しかったよ〜。フロンティアの技術型落ち流してるのもわかる~」


「アイ隊長、人聞きが悪い事を。正式な貿易です。こちらの技術がベースにあちらで開発されたものもあるのですよ。第2エリアの販路は開けてますから・・・第3エリアの方には失礼でしたね」


現れたのは、第3エリアでは見かけない古典的なビジネススーツの男性。


「あ~、この人はフロンティア方面と第2エリアの貿易商?」


「はじめまして。姫様。貿易商のユリウスと申します」


「まぁ、外宇宙の貿易商の方。フィーリア・レミファンですわ」


騒音のBGMも無く、威圧的でもない人との会話に姫様は嬉しそう。


そしてさり気なくアルディオの家名を捨てました。


「第3エリアは空域完結でしたからお迎え出来なかったことを残念に思います・・・。利権を巡り汚職が常態化してしまった第3エリアをなんとかしたかったのですが・・・凡才の私には手が余りましたわ」


男たちの視線がこちらを向き、私を見る。


なんでしょう注目の的です。


「で?これがステーションを震撼させた倫理無視な生き物?」


「・・・第3エリアはこのようなものを・・・」


「彼女は被害者ですわ。研究していた施設はもうございません。シア、ご挨拶なさい」


私は二本足で立ち上がり、エプロンを持ち上げ礼をする。


ふさっと尻尾が床に落ちる。


「メイドのシアと申します」


「本当にしゃべるね。なんだろ〜オレ、アニマル詳しくないんだけどコレナニ?」


「・・・大きめのアライグマいやレッサーパンダ?」


「だいたい正解です。キメラでございます。知能も高く、二足歩行も出来ますし、指も5本で人と同じ作業が出来ます。そのうえもふもふで、ほらふかふかの尻尾がカワイイ」


ワタシは身長は80cm位のレッサーパンダに近いキメラです。


獣人を作り出そうとした研究で産まれたようですが、詳しくはわかりません。


幼い頃より姫様に育てられ、メイドと癒しを担当しています。


ほらご覧なさい。


「はい、カワイイです。第2エリアのリンゴなどいかがですか?私の取り扱い品です」


「まぁ、いただきます」


ふふ。この男も私にメロメロになってしまいました。


「毛のあるのダメだから見てるだけでいーや。じゃあ、話しは通しておくよ。面白そーだし」


フロンティア人は引いた目で消えた。


「姫様、この果物美味しゅうございます!」


「そう。よかったわね」


ワタシは分別あるほうですが、食欲だけは逆らえないのです。


お礼に、ふかふかの尻尾で膝まづく貿易商(リンゴ屋さん)の顔を叩きました。


この手の男はこうすると喜びます。





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