ガールズクロスライン 第4話(夜)雲の竜と坂の街
目を開けると、僕は雲の上に立っていた。
足元は霞のように透き通り、眼下には浮島と大地が層をなして広がっている。滝が空から落ち、川が宙を走り、すべての風景が重なり合って天空の街を形づくっていた。
その時、空を裂く影が現れた。
巨大な竜。蒼い鱗は雲間の光を反射し、翼がはためくたび、大気そのものが揺れ動く。
「怖くないよ。あの子は、私たちを試しているだけ」
彼女は僕の前に立ち、竜を見上げた。その横顔には、朝の坂道で見せた無邪気な笑みとは違う、強さが宿っていた。
竜の瞳がゆっくりと細まり、僕の全身を射抜くように見つめる。息を呑むと、胸の奥に声にならない問いかけが響いた。
——その境界を越える覚悟はあるか。
風が渦を巻き、雲が砕け、僕と彼女の身体を包み込んでいく。
ただ立ち尽くす僕に、彼女の声が重なった。
「大丈夫、答えは一緒だから」
その瞬間、竜の吐息が優しく変わり、青空に溶けていった。
お読みいただきありがとうございます!
今回は「海辺の坂道」と「雲の竜の棲む天空の街」を行き来するお話でした。
次回もまた、新しい朝と夜の景色でお会いしましょう。