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ガールズクロスライン 第4話(朝) 雲の竜と坂の街
朝と夜
二つの時間を行き来する物語「ガールズクロスライン」第4話です。
今回は、海辺の坂道と、雲の上を翔ける竜との出会いを描きます。夜のイラストはいつもとすこしテイスト違いますのでお楽しみを♪
石畳の坂道を登ると、夏の朝の匂いが胸いっぱいに広がった。潮の香りが混じった風が頬を撫で、遠くには青い海が光っている。斜面に寄り添うように並んだ家々の瓦屋根が朝日に照らされ、まるで銀色の魚の鱗のようにきらきらと輝いていた。
「ねえ、こっちだよ!」
振り返った彼女の笑顔は、街そのものを明るくしてしまうみたいだった。白い髪が風にふわりと舞い、瞳の中には水平線の光が映っている。
僕は思わず足を速めた。小さな坂道の一歩一歩が、いつもの通学路よりも特別に思える。汗ばむほどの陽射しさえ、不思議と心地いい。
「今日の境界線は、きっときれいだよ」
彼女がそう言ったとき、胸の奥が強く波打った。まるでこれから訪れる景色を、前もって知っているかのように。