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ガールズクロスライン 第13話(朝) 坂道と境界の扉
朝と夜
二つの時間を行き来する物語「ガールズクロスライン」第13話。
今回は、坂道の朝と、夜に現れる境界の扉を描きます。
緩やかな坂道を上る途中、前を歩いていた彼女がふいに立ち止まり、振り返った。
風に揺れる髪の隙間からのぞく瞳は、どこか柔らかく笑っていて、僕の足を止めさせる。
ただそれだけの仕草なのに、胸の奥で小さな鐘が鳴ったように心臓が跳ねた。
「ねえ、遅いよ。ほら、もう少しで坂の上だよ」
彼女はそう言って、手でひさしを作るように額をかざし、朝日を見上げた。
「大丈夫、まだ時間はあるんだから。焦らなくていいよ」
平凡な坂道。ひび割れたアスファルトと石垣、落ち葉の残る路地。それでも彼女の言葉が差し込むだけで、未来へ続く特別な道に見えてしまう。
僕は息を吸い込み、彼女の背中を追う。朝はいつだって、新しい始まりを告げている。




