ガールズクロスライン第1話(朝)朝と夜のあいだに見える街
この作品はXで毎日投稿しているガールズクロスラインという朝と夜でワンセットのイラストシリーズをもとにした短編連作です。
今回は第1話「朝と夜のあいだに見える街」の朝パートになります。
橋の上を駆け抜けると、川面が陽を反射してきらめいた。
夏の朝の空気は、少し湿っていて、それでいて心地よい涼しさを含んでいる。
僕の前を走る彼女が、くるりと振り返った。白い髪が陽光を受けて、まるで絹糸みたいに輝く。
「ねぇ、遅刻するよ!」
そう言って彼女は、両手を大きく広げてピースサイン。
青いリボンのセーラー服が風にふわりと舞う。
思わず笑ってしまう。彼女と同じクラスになって、もう三か月。けれど、こうやって朝の川沿いを並んで走るのは、今日が初めてだった。
背後の空では、カモメの群れが一斉に旋回し、陽に透けて光の粒みたいに見えた。
僕はその光景を胸の奥に刻みつける。なぜだか分からないけれど、これは一生忘れたくない朝になる気がした。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
朝の情景は実際の夏の通学路のイメージをもとに描きました。
夜パートは次回更新予定です。お楽しみに!