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ミーム  作者: フィノ


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6/8

怪異 2

エピソードは夏のホラーコンテスト及び、ゾクリとしたくなったら追加されます。

「私はも少し撮影して帰るけどおにいさんは?って、顔色悪いよ?」


「いや・・・、例えばだ。コインランドリーの話とここの話が繋がってたとして不審な点ってあるか?」


「不審な点?なにそれ?噂は噂だから読む人や話す人次第では解釈も変わるよ。実際にあった事を見た人が話しても変わるんだしね。じゃ!」


 ホーちゃんは立ち去りやけに冷える店内に残される。考えたくはないが日比野は最初から話を繋げるつもりでいた?スーパーでの心中からコインランドリーでの逆恨み。なら、本当の彷徨う幽霊とはどれだ?子供は死んだと言う事実がある。言わばこれは事実に基づいた幽霊だ。なら、父親か?いや、それも異常者と言う実態がある。なら、首を切られた女?


 話の登場人物の中で唯一実態が確認出来ないのは母親であり、コインランドリーで死んだ女だ。日比野は別れ際にさらに先を望むのか?と聞いてきた。そして実態はつかめないととも。確かに俺が探そうとした子供の幽霊にあの時まで実態はなかった。しかし、俺が探した事によりここにいた幽霊は姿を変え子供になり、代わりに父親の幽霊は彷徨い出した。


 そして彷徨う先はコインランドリーだ。多少噂を聞いた、地元で似たような事件を知っている。分割されて語られた離しは更に前後を逆にされた事により別の話として成立したが、俺やさっきの配信者が気付いて繋げてさらに別の噂へと変えていく。弔うと意気揚々と言ったが、結局俺は何を弔えばいい?実態がないのならその気持ちだけでも大丈夫なのか?


「お客様、閉店のお時間ですがまだ何か買われます?」


「いや、帰ります。」


 店員の言葉で我に返り辺りを見回すと客は既に誰もおらず、店内には蛍の光が流れている。時計を見ると22時を周り店内から見る外も暗く駐車場の端だけが街灯で照らし出されている。店員に押し出される様に外に出ればまだ熱気は引かず蒸し暑さが身体にまとわりつき、ジメジメとした不快感を感じる。


 そこでふと、店内からも見えた街灯の下に目がいった。あの場所は俺がコーラを置いた場所だ。停める車の邪魔にならない様にと縁石より後ろに置いた。だが、そのコーラが駐車場スペースに2本並べて置かれている。


「せっかく邪魔にならないように端に置いたのに・・・。まぁ、店員からすれば迷惑かもしれない・・・、が?」


 置かれた2本のコーラ。間隔を開けて駐車スペースの中央付近・・・、ちょうど後部座席あたりの・・・。開封していなかったコーラは封を切られ・・・。


「あ・・・、か・・・。」


 背後に嫌な気配がする!掠れたような声?渇きで掠れ喉は痛みまるで息を吐いているだけなのに、声に聞こえるような不協和音。何故!?俺には霊感なんてない。そんな俺が聞こえるわけはない。しかし・・・、仮にこれが噂で出来たものなら幽霊ですらない?確かに子供は死んだ。だが、彷徨う様にしたのは誰でもない俺の好奇心で日比野の話しだ!なら・・・、日比野が母親なら俺は父親なのか?生み出し彷徨わせろといった張本人である俺が!


「何もいない、何もいない、何もいない、何もいない・・・。」


 いないんだ!確かに子供は死んだが何もいないんだ!そう安々と幽霊なんて生まれない。安々と幽霊が生まれるなら、この世は幽霊で溢れかえっている!もっとこう・・・、幽霊とは情念であったり怨念なんかで作られるものだろう!?それが噂で作られるなんて!


「お客様?すいませんが駐車場を施錠するんですが・・・。」


「はっ!えっ!あっ、はい。」


 声をかけられビクッとしながら振り返ると警備員が立っていた。小さなスーパーなのにいるとは思わなかったが、制服を着た男は懐中電灯で俺を照らしながら不審者を見る様に話しかける。確かに何もいなかった。いたのは警備員だった。ただ・・・、コーラだけが駐車スペースの中央に封を切られて2つ置かれている以外は・・・。


「その缶お客さんのですか?ちゃんと捨てて帰ってくださいね。」


 言うだけ言って警備員はスーパーの入口の施錠に向かったのか離れていく。その姿を見失えばまた何かありそうだと缶を拾い上げるが、まるで中に一滴の水分も入ってないかな様に軽く、逆さにしても雫の一滴も出てこない・・・。不気味だがさっさと缶を捨ててバイクに跨りスーパーを後にする。


 嫌にまとわりつく熱気はバイクで走ろうとも拭い去れず、知らずの内にヘルメットの中の頬を汗が伝う。日比野に会おうかとも思ったがそんな気にもなれず家へ。明日でいい。日中に寿司を奢ると話したから呼び出せば来るだろう。


 今日はもう眠りたい。それ以外は考えたくない。部家に帰って服を脱ぎ捨て不快なまま眠りたくないのでシャワーを浴びる。なんだが浴室が甘ったるい匂いがすると辺りを見回し鏡に目がいった時に思わず大声が漏れた。頭から流れる黒い筋・・・、乾いたどす黒い血を思わせるようなその筋は、水分が抜け果て飴の様になったコーラだろう物・・・。


 俺にはコーラを浴びる様な趣味はない。頭を洗い風呂を出て服を見るが、服はおろかヘルメットにも何もついていない。つまり、帰り着いて風呂に入るまでの間に頭に飴の様になったコーラがついた?そんなバカな・・・。きっと・・・、きっと何か説明のつく言い訳があるはずだ・・・。


 朝起きて顔を洗う。どこか甘っまたるい香りがするが、それは多分、寝苦しくて夜中に飲んだサイダーのせいだろう。キャップは締めたと思ったが寝起きに見ると空いていた。日比野に朝イチから電話を入れると昼ならいいと言うので出社して雑務をこなしてから取材を理由に会社を出る。


「ここで良かったのか?」


「構わない。それで?また妙なモノを呼び込もうとでもしたのか?」


 俺はコーヒーを頼み日比野はケーキセットとホットサンドを頼む。どこにでもある喫茶店で特段何かが有名と言うわけでもない。ただ、ギラつく太陽がアスファルトを焦がし陽炎が見える様な外と比べればここは天国だろう。


「呼び込むも何もお前の話を元に探してそれらしい場所に飲み物を置いただけだ。」


「共感性親和、一般的な言葉ではないがこれの意味は分かるか?」


「なんとなく分かるがそれが?」


「伊藤、お前は私の話に共感性した。それはまだいい。しかし、その先の親和に進もうとして飛び出した。」


「そりゃあ元ネタがあって不幸な事が合ったら供養くらいするだろう?それが悪いのかよ。」


「幽霊・・・、或いは無意識の集合体は時として形を得る為に姿を表す。私が依頼されて作った話はありふれた悲劇でだからこそどこに行っても似た様な話はある。そもそも怪談話・・・、或いは民間伝承と言うのは地域に根ざし閉鎖的な場所で語られて外には出ないモノだった。しかし現代は違う。デジャブの様に似たシュチュエーションや事故や殺人の話を耳にすれば頭の中で勝手に記号が当てはまる。」


 そこまで話日比野は配膳されたホットサンドに齧り付く。特に大口を開けるわけでもないが減り早く、俺が口を開く前には既に3切れのうち2切れを食べ終えていた。


「それはまぁ、分からなくもないが・・・。なら、俺の身に起きた不可思議は全部まやかしなのか?」


「さぁ?私はお前に起きた怪異を知らない。寧ろなにか起きたのか?」


 昨日出来事を日比野に話す。その間もホットサンドを食べケーキを食い更にコーヒーを飲み干しおかわりをする。手っ取り早くこの怪異を終わらせるならもう関わらないか、新たな話で塗りつぶしてもらうのがいいのだろうか?


「コーラか。」


「コーラだ。」


「不自然だな。」


「不自然?」


「私の創作では血だった。伊藤がコーラを供えようがいまいがそんな甘ったるくて余計に喉が渇くモノは出ない。多分、それはお前がそれを望んだんじゃないか?」


「夏場にキンキンに冷えたコーラは旨いと思うが?」


「キンキンに冷えていればな。しかし、車内は高温でそんなモノはない。そもそもそんな物があるなら飲み干している。」


「それはまぁ・・・。」


 確かに死ぬほどの暑さの中で水分があれば飲む。なら、なんで俺は飴の様なコーラが付いていた?いや、本当にコーラだったのか?いや、あの甘ったるい匂いはコーラだと思う。


「なんにせよ深入りしすぎない事だ。既に話は広がりそこそこ亜種も出て来ている。それともまだ話を望むか?」


「・・・、繋がらない話は望めるか?ほかの何かを題材にするとか。」


「構わない。2、3日後に投稿しよう。先に言うが今の怪異を嫌うなら忘れる事だ。そうすれば幽霊は消えただの無意識の集合体になる。」


 そう言い残し日比野が席を立つ。忘れろと言われて忘れられるのか?嫌らしくも日比野らしい。どこかで似たものを読めばフラッシュバックしやすい様に作られた話をそんなに簡単に忘れられるのかワケがない。忘れる為の努力なんて物は逆にそれを忘れられなくさせる。


「簡単に忘れられるかよ・・・。」


「なら変えろ。無意識の集合体である以上、より強力な話があれば書き換わるし、私の手を離れた後はお前も含め読んだものが育てていく。但し変えると言うなら緩やかにやれ。急激な変化は限りなく暴走の引き金を引く。」


「暴走って、そんな事ないだろう?」


「集団心理と言うのは時として美談より凄惨さを求める。ニュースを見ろ。事件事故に人の悪意は押し付けられる様に買わされる。しかし、美談はそれを買おうと動かなければ手にはいらない。教訓という話をするなら物事の概要だけ話して後は・・・。」


「後は?」


「自分で考えろ。」


 せせら笑う様な笑みを浮かべ日比野は帰っていく。日比野に実態はある。実態はあるが昼間に会う日比野はどうも浮世離れてしていていけない。そこに在るのに薄い膜を隔てる様に何処か別にいる・・・。


 よそう。次の話を頼んだ。仮に昨日の出来事が供養となるなら、俺のなかでは完結出来る。そう・・・、手に取ったスマホで話を検索せずに、尾ひれが付いて肥大化したモノから目を背ければ自己完結と言う形で終わらせられる。だが・・・。


「編集者として関わりは断てないか・・・。」

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