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女の子の身体

 


「楓…あなた本当に女の子になってしまったのね…」


「うん…」


 朝起きて身体が女の子に変化していることに気がついた僕は、慌ててお母さんに電話をかけた。


 珍しく慌てた様子のお母さんがたくさんの紙袋を持って玄関に入ってきた時は本当にびっくりしたけれど、すぐにお母さんが駆けつけてくれて僕は少し落ち着くことが出来た。


 お父さんは仕事で出かけてしまったから後で来るとは言ってたけど僕どうなっちゃうんだろ…。


「とりあえず病院に行ってみないことにはどうにもならないわね。楓、すぐ準備して」


「う、うん…」


 日頃から僕を着せ替え人形にして女性服を着せるお母さんも今日ばかりはとても焦っているように見える…。


 とりあえず外に出ても問題ない出かけられる格好に着替えなきゃ。


 さすがに寝汗をかいちゃってたから、お母さんが来る前に心を無にしてシャワーは浴びたんだけどちょっといけないことしてる気がして…恥ずかしかったかも。


「まま…ぱんつ…落ち着かないかも…」


 女の子になって男の子がなくなって男物のぱんつが妙に落ち着かなく感じる。


 なんかこう、すーすーする感じ…うぅ…。


「え? あぁ、そういう事ね。ならこれを穿きなさい」


「これ…って女の子のぱんつ!?」


 お母さんは持ってきた袋の中から何かを取り出して渡してきた…純白のショートとブラだった。


 小さなピンクのリボンが飾りとして着けられているシンプルなものだけど…これを穿くの…?


「当たり前でしょ、楓は女の子なんだからちゃんとこれ着ないと」


「で、でも…そうだよね…」


 別に男物で我慢すればそれで良かったのに変に納得しちゃって渋々受け取ったショーツを手に取って広げてみる。


 シミひとつない新品のショーツに男の子の時とそう変わらない女の子の脚をゆっくりと通していく。


 なんかほんとにいけないことしてる感じがして恥ずかしいよぉ…元々女の子っぽかったけど女の子の脚だもん…。


「(う、うぅ…ほんとにこんなの穿く日が来るなんて…)」


「ふふ、楓は女の子だもの」


 な、なんかお母さん…楽しんでない…?


 にこにこしながらこちらを見てくるお母さんの視線から逃げるように背中を向ければ、今度は背中からおしりにかけて視線を感じて落ち着かない。


 右足を通したら残る左足を持ち上げて急いで穿いてしまう、腰まで上げれば隙間なくぴったりと密着して、男物を穿いた時の不快感は無くなった。


 僕ほんとに女の子になっちゃったんだ…。


 男の子の時より細くなったウエスト、その上に小ぶりながらも明らかに存在感を表しているふたつの膨らみ。


 ショーツと一緒に渡されたこれもつけなきゃダメなんだよね…。


「ぶ、ブラをつける日が来るなんて…うぅ…」


「しょうがないじゃない、付け方わかる?」


「うぅ…わかんない…」


 貸してと言うお母さんにブラを渡して背中を向けると慣れた手つきで僕の胸がブラの中に収まった。


 目の前の鏡に映るのは上下おそろいの下着を身につけた可愛らしい少女。


 男の子の時も華奢で女の子みたいと言われてたけれど、女の子になったって感じがする身体の輪郭。


 元々色白だった肌も女の子になった途端、男の子の時よりも随分と綺麗に見えてくる。


「うん、よく似合ってる」


「むぅ…嬉しくない…」


「ちょっと嬉しそうな顔してるけど?」


「褒められたらちょっとは嬉しいもん…」


 可愛いと言われて胸がきゅんとなってしまうのは女の子だからなのかな…男の子の時も褒められたら何を言われても嬉しくなっちゃったけど今のは少し違う感覚。


 改めて鏡に映る自分の姿に目を向けてみる。


 男の子の時より少し低くなった身長と男の子の時になかった胸の膨らみ、元々細かったお腹周りもちょっと細くなったのか少しくびれができてると思う。


 身長に対してすらっと長い脚は細くて、男の子の時より女の子な気がする…あ、もう女の子なんだっけ…。


 自分の身体だけどすごく…可愛いと思う…ってだめだめ! 僕は男の子なんだから!


「そういえば沢山荷物持ってきてたけど、何持ってきたの?」


「え、ああこれ? 楓が女の子になったって言うからサイズ変わっちゃって着れる服がなかったらどうしようと思って色々持ってきてみたのよ」


 そう言ってお母さんは紙袋に入っていた服をベッドにならべていく。


 スカート…ワンピース…スカート…スカート…ワンピース…。


 あれ、ちょっと待って? さっきからスカートとワンピースしかないよね…?


「まま…さっきからスカートとワンピースしかないと思うんだけど…」


「だって上は持ってるしズボンもパンツも沢山あるでしょ? 」


「え、ちょっと待って僕はスカートなんか穿かないよ?」


「あら、そうなの? じゃあいつもの服で行く? あら? 楓少しちっちゃくなったかしら…今持ってるのだと大きいかもしれないわ、踏んずけて転んで怪我したら大変ね。今日はこれ着ていきなさい」


 そう言って渡されたのは先程お母さんが袋から取り出した水色の縦ストライプの入ったワンピース…。


「これ…着るの…?」


「そうよ?」


 当たり前のように頷かないでよ…これから病院に行くのにこんな服着なくても…うぅ、でもお母さん言い出したら聞かないし…。


 ええい、こうなったらどうにでもなっちゃえ!


 僕はもう男の子を辞めるみたい…観念して渡されたワンピースを着てみれば鏡にはどこのお嬢様…? という感じの自分が立っていた…。


「…」


「楓、よく似合ってるわ。とっても可愛い」


 こんな服着てまで褒められて喜んじゃう自分を呪いたいぃ…。


 妙にスースーして落ち着かないし…なによりすっごく恥ずかしいよぉ…。


「楓、とってもよく似合ってる。あとはこれをつけたら…ほら、完成」


「ネックレス…」


 お母さんが僕の首に手を回して細いチェーンに猫のペンダントの付いたシンプルで可愛らしいスッキリしたデザイン。


「猫ちゃん…かわいい…」


「楓は昔から猫好きだものね、きっと喜んでくれると思ってた」


「うん…ありがとまま…」


 そう言って僕は自分の意識とは関係なくに鏡の前に立ってくるくると回った。


 ひらひら舞うスカートが綺麗に広がって…って何やってるの僕!


「あら、やめちゃうの?」


「と、当然だよ! 僕男だし!」


「今は女の子なんだしはしゃいでもいいのよ?」


「う…うぅ、でもでもはしゃがないから!」


 当たり前だよ!


 僕はれっきとした男の子、これまで16年間男としてちゃんと生きてきたんだから!


 鏡に映る自分が目に入る……男…だもん…。


「あとは楓、これも私からのプレゼント」


「サンダル?」


「ええ、その服にいつもの靴は似合わないでしょ? これ履いて行きなさい。あ、でも少し踵高くなってるから気をつけるのよ」


「う、うん…頑張るね」


 そうして僕はお母さんからサンダルを受けとって鏡から逃げるように玄関へ向かい、そのまま家の外に出たのだった。


 あれ、やっぱりこの格好で病院行くのおかしくない?


「大丈夫大丈夫、楓はかわいいもの」


「答えになってないし! それになんで伝わってるの!?」




 ーーーーーーーー




「異常…なし…」


 病院で一通り検査を受けた僕は絶望しながら病院から出てきた。


 検査の結果は何も問題なし、おかしな所はひとつも見当たらず事情を説明しても男の子だったことが信じられないとびっくりされてしまったほど…。


 僕も行ったことのある病院だったから僕のカルテの情報からすぐに僕が男の子だったことはわかってくれたけど…。


「一通り検査はしてもらってたし、何かあったら連絡するってお医者さんも言ってたから連絡待ちましょう」


「うん…僕、戻れるのかな…」


「きっと大丈夫よ。それにもしも戻れなくても私は楓の味方だから」


「うん…まま、ありがと」


 そう言ってままは僕の背中に手を回して優しく優しく抱きしめてくれた。


 身体が女の子になって少し小さくなったぶんままが大きく感じる。


 時刻は14時を回ったところ、検査にかなり時間を取られてしまったからお昼も食べれずこんな時間になってしまった。


 ぎゅるるるるる…。


「う…」


「じゃあ…ご飯行こっか! 何食べたい?」


「ん〜、ハンバーグ!」


「ふふ、楓は昔からハンバーグ好きね。じゃあお昼はハンバーグ食べに行っちゃおっか!」


 そうしてお昼にハンバーグを食べて今日はお父さんにも報告しなきゃいけないから実家に帰ることになった。


 夕方、血相を変えて帰ってきたお父さんは僕を見て安心したように僕を抱きしめてくれた。


 今日わかったことは、こんなこと前例がないから医者にできることが何も無いこと。


 僕の検査情報は研究機関に回って今回の性転換について研究されるとの事。


 定期的に検査を受けなきゃいけないこと。


 男の子に戻れる見込みはまず無いこと。


 原因がわからない、言ってしまえば突然変異のためもしかしたらいきなり戻ることもあるかもしれないけどこれについては何もわからないみたい。


 それから、これは僕が決めたことなんだけど…。


「ぱぱ、まま、僕決めたよ…」


「あら、何を?」


「お父さんのお嫁さんになるって?」


「なっ、ならないよ! ……僕、あのアバターでVtuberやる!」


とうとう楓...ちゃんになりました。

お母さんがこんな感じで、スカートは履かなかったものの元から女性服しか着ていなかったこともあってか少し適応が早いみたいですね。

でもまだお母さんとお父さんと三人の中の話なのでこの先楓を待っている悠斗や南、空さんや矢崎さんとの絡み、本格的なVtuber活動と夏休み明けなど様々なイベントが待ち受けているのではないかと思ったりしています。


さて、今回から少し地の文を書く時の意識を変えてみました。

前回までのように楓の心情が特に現れるような書き方は続けた上でちゃんと状況を細かくかけるように頑張ってみます!


そんな感じのこのお話ですが実は日間ランキング33位とあと少しで週間ランキングに乗れるところまで来ました。

これもここまで読んでくださった皆様のおかげです。


これからも変わらずこのお話を応援してくださると嬉しいです!

ブクマ登録、高評価、コメントなど楓をほめてくれたら楓がきゅんきゅんしちゃいます!

それから楓に着せて欲しい服などコメントしていただけたらお話に登場します!

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― 新着の感想 ―
[一言] かーちゃん全然味方じゃない件 男の子メンタルだと言うなら完全に敵ダヨ 元々娘が欲しい息子要らない女装させて妥協してただけじゃんよ
[良い点] あぁ、楓てぇてぇ、けなげなところがとても癒されるよぉー、始めまして、優樹菜です、かわいすぎてファンになりました、これからもがんばってくださいね。
[一言] とても面白かったです…これからも執筆頑張ってください…!
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