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涼の気持ち

 


「涼、お前大丈夫かー?」


「あ、ああ…」


「なんか今日ボケーッとして心ここに在らずって感じだよな」


「おにぃ、人の色恋沙汰に口出しするのはよくないと思う…」


「でもさー、今日ずっとこの調子なんだぞー。恋? 涼くんや、恋してるのかい?」


「…はあ……」


 今日はずっとこの調子で、正直授業も全く集中出来ずに頭の中は楓のことでいっぱいだ。


 情けないとは思うが、忘れようとしても直ぐに浮かんできてしまうのだから恋というものは恐ろしい。


 昼休みになって、大樹と妹の小雪も俺の机のところに来たのに話が全く入ってこない。


「涼…楓でしょ…?」


「なっ…」


「こいつわかりやすいよなー」


「だからなんだよ…」


 ま、まあ小雪は海の時から察してた感じはあったし、大樹もだからと言って何か言ってくることもないと思う。


 小雪にはまた小言のひとつも言われそうな予感はしてるけど…。


 今はあんまりそれも気にならないくらいには楓のことばかり考えてしまう。


 来週にはテストも控えているというのに、こんな調子で大丈夫なのか心配になってくる。


「涼…もやもやするなら楓に会えばいいと思う…」


「ああ…」


「たしかになー、楓ちゃんと話せば少しはまともになるんじゃないか?」


「まともじゃないは心外だ」


「楓のことしか考えられないくせに…」


「ぐっ…」


 まあたしかに、ふたりの言う通り楓に会ってみたらこのモヤモヤとして頭から離れない気持ちも少しは晴れるかもしれない。


 何がモヤモヤするって、好きなのはわかってるのに何も出来ないことに対してだと思う。


 正直楓と付き合えるとかは考えていない。


 楓は絶対俺の事を恋愛的な意味で好きとかじゃないと思うし、こないだも楽しそうにしてくれたこともあったけど嫌な顔もさせてしまった。


「はあ…」


「おにぃ…小雪もう戻らないと…」


「あ、もうこんな時間か、じゃあまた帰りに下駄箱で待ってるよ」


「はーい…」


 時計を見るとあと3分程で昼休みの終わりを告げるチャイムがなる。


 小雪の教室はひとつ上の階の教室で、5限の授業準備も考えたら急がなければならないと思う。


 大樹も程々にな〜と言い残して自分の席に戻っていった。


 次の授業は英語か…当たらないといいんだが…




 ♣♠♣♠♣♠♣♠♣




 デートしてからかれこれ5日、結局金曜日までボケーッとして過ごしてしまった。


 小雪にも言われて、楓と会った方がいい…というより単純に会いたいという気持ちが強くなった。


 明日から楓も出演するIKUYAZAKIのイベントが始まる。


 大樹と小雪も来る予定だからその時に少し時間を開けてもらって二人きりになれたら嬉しい。


 まあコスプレして会場内を宣伝して回ってる楓を捕まえられるかと聞かれると少し難しいような気もしている。


 そんなわけで事前に楓に確認をとって会えないか聞いてみることにしたけど、今まで意識しなかった好きという気持ちが送信のボタンを押せないでいた。


 [明日のイベントの時少しでいいから会える?]


 何度も書き直しては消しての繰り返しで、かれこれ30分以上無駄な時間を過ごしている。


 今は少しでもテスト勉強もしなきゃいけないのに。


 はあ…俺ってこんなに意気地無しだったんだなあ…。


 人を好きになったことなんかなかったから、こういう時どうすればいいか全く分からない。


 もういっその事電話でもかけてしまえれば逃げ道もなくなるし楽かもしれないけど、あいにく今日はリハーサルがあると聞いてしまった。


 さすがに知っててリハ中の楓に電話はかけられない。


 となればどうすれば…方法としてはPINEにメッセージを残すしか残されてないのだからそうすればいいのにそれが出来ない。


 ぷるるるる…。


「着信?」


 夜も更けて11時になるというのに誰からだろうか…って、楓!?


「はい、もしもし?」


『涼くん、今平気かな…』


「大丈夫だけど」


『明日来るって言ってたから予定確認したくて…こんな時間にごめんね』


「いや、大丈夫…」


 電話先の楓は少し元気がなさそうな様子が見受けられる。


 リハーサルで疲れたところをわざわざ電話をかけさせてしまったのかもしれない。


 早くメッセージを入れておけば苦労かけずに済むのに…。


『僕のステージだけど、11時と3時からの予定だから』


「わかった」


『じゃあ、今日はもう寝るからおやすみなさい』


「ちょっと待って」


 咄嗟に呼び止める。


 せっかく電話できてるのだ、情けないけど向こうからかけてくれた今聞くしかないと思う。


「明日さ、ちょっと時間作れたら会えないかな」


『えっと…ごめんなさい…ちょっと難しいかな…』


「なら明後日は」


『難しいと思う…』


「そっか…じゃあ終わったら打ち上げしよう」


 大樹も小雪も、南さんも絢斗達も誘ってお疲れ様のパーティが出来たらきっとその中で少し話せると思う。


 場所はファミレスとかでもいいし、カラオケでもいい。


『ありがと…でもごめんね…打ち上げもちょっと行けないかな…』


「なん…そうか…わかった」


『ごめんね』


「じゃあまたデーt…」


『ごめんなさい』


 またデートしようと言いかける。


 こないだ楓もまたって言ってくれた。


 きっと時間を合わせてならまた一緒に出かけられる。


 ………でも、そっか…。


 こんなこと言ったら自意識過剰かもしれないけど信じられなかった。


 きっとまたデートできると心から信じきっていた。


「わかった…ごめんな…変な事聞いて」


『ううん…おやすみなさい…』


「ああ…おやすみ…」


 そうだよな…。


 初めからわかってたはずなのに両頬を流れる涙が止まってくれない。


 勝手に期待して勝手に振られて勝手に泣いて…心の奥底から苦しくて仕方がない…。


 明日明後日、楓の前に立てる自信が無い…何か言い訳作って逃げ出せたらどんなに楽だろうか。



とある配信で笑い転げてたら書き進まないこと書き進まないこと...。

やっと投稿できる...!!


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