ジャンボパフェで...そんなサービスいらないよっ!?
「ぶつぶつ…」
「楓…ごめん…」
「向こう向いててって言ったのに…」
「楓が転んで心配で…って言い訳だよなごめん」
涼くんに下着姿…見られちゃってちょっと拗ね気味の僕。
水着は平気なのに下着はダメなの不思議って話す男子に、男の子の頃は確かにって思ったこともあったけど、実際に見られると確かに恥ずかしい…めちゃくちゃ恥ずかしい…。
だってだって、水着はそもそもそのためのものだけど下着は違うもん…本来誰にも見せない部分を見られちゃうって全然違う…顔から火が出そうなくらい恥ずかしい…。
え、僕変な下着着てないよね!?
胸とか…大きくはないけど形はいいと思うし小さすぎることもないと思うし…涼くんってやっぱり大きい方がいいのかな…って僕は何考えてるの!!
涼くんの好みなんて今はどうでもいいのっ…ていうか僕が気にすることじゃないもんね?
もう見られちゃったものは仕方ないんだし甘いものでも食べて切り替えよう…うん、そうしよう…うぅ…。
「うぅ…」
「ごめんな…」
「甘いもの食べる…パフェ食べたい…」
「パフェ?」
「うん…行こ?」
まともに見れない涼くんの手を握ってカフェのある方に歩いていく…これは別にまともに見れないからはぐれないためで…手握りたいとかじゃないもん…。
違うもん…。
お店に入るとすぐに席に案内されてメニューを開く。
「どれ食べる?」
「いちごの一番大きいやつ…」
「おぉ…結構でかいけど大丈夫?」
「大丈夫なの! 甘いものは別腹だもん!」
「だもんって…じゃあ俺は楓の少しもらおうかな、コーヒーだけでいいや」
「じゃあ僕紅茶頼むね」
涼くんがメニューを閉じて店員さんに声をかけると、すぐにウェイトレスのお姉さんが来てくれた。
「ご注文お決まりですか?」
「デラックスジャンボスペシャル…カップルいちごパフェ!?」
「それひとつとコーヒーと紅茶ください!」
「かしこまりました、ご注文は以上でよろしいですか?」
「はい!」
いちごパフェの名前を読み上げて固まった涼くん無視してササッと注文を済ませる。
ふふふ、僕は気づいてたもんね、カップルって単語入ってたら涼くん言い難いかなって思って…ぼ、僕も恥ずかしくなってきたよ!?
「涼く〜ん?」
「カップル…いいのか楓…」
「パフェはパフェだし?」
「まあ…だよな…」
しばらくして運ばれてきたパフェを見て絶句したわけなんだけど…。
「写真よりでかくね?」
「これはちょっと…涼くんも食べよっ!」
「お、おう…」
「でもあれ、スプーン一個しかない…」
「すみませーん、スプーン一個ください」
涼くんがすぐに店員さんに声をかけてスプーンを頼む。
「申し訳ございません、こちらカップル用ですのでスプーンはひとつになります」
「まじか…」
「僕食べるしかないのかな…」
これってだって…ふたりで食べるなら間接キスするってことでしょ…!?
ダメダメ、絶対だめだもん…いくらなんでもダメだよ…。
「お客様、こちらのメニュー注文された方はお写真撮るサービスしております。どちらかがあーんして写真撮りますので」
「それって絶対ですか?」
「絶対です♪」
これはやるしかないのかあ…もう心決める…僕頑張る…。
パフェ用スプーンを手に取ってパフェをひとくち分すくう。
ソフトクリームといちご、それにいちごのソースがかかったとても美味しそうなパフェ。
恐る恐る涼くんの方に差し出して…。
「涼くん…あ、あ〜ん…」
「う…いいのか…」
「ほら、彼女さん待ってますよ。あーん」
「あ、あ〜ん…はむ…」
「はい、チーズ」
「涼くん美味しい?」
「甘い…」
「パフェだもん」
「まあ、そうなんだけど…」
照れくさそうに不貞腐れる涼くんを見るのちょっと楽しいかも。
こういう可愛い所もあるんだよね…涼くん。
「じゃあもう一枚撮りますね〜」
「え、まだ撮るんですか!?」
「はい、今度は彼氏さんが食べさせてあげてくださいね〜」
「涼くん、お願いね…!」
「なんか楓楽しんでない?」
「えへへ〜、どうかな〜」
涼くんはしぶしぶスプーンを受け取ってパフェをひとくちすくって僕に差し出してくる。
「ほら、あ〜ん…」
これ...今気づいたけどやられるのめちゃくちゃ恥ずかしい…。
涼くんも気づいてるのかすごくにやにやしてるし…。
「えぇい…あーん! あむっ」
「はい、いちご〜。綺麗に撮れましたよ〜、現像してお持ちしますね〜」
店員さんが満足気な表情をしながら奥に戻ったのを確認してふたりでため息。
「はあ…ごめんな楓」
「ううん、ちょっと楽しかったし」
「やっぱり楽しんでたな」
「なんのことかな〜。ほら、もう一口食べてよ…あ〜ん」
「あ〜ん」
店員さんのおかげで抵抗なく食べさせ合いしちゃったけど後で冷静になって悶えた二人だった。
♣♠♣♠♣♠♣♠♣♠
「じゃあまた今度な」
「うん、今日はありがと…楽しかったよ!」
「おう」
太陽も落ちてきて空がオレンジ色に染まり出した頃、僕達は藤沢の駅に戻ってきた。
遅くなるのも良くないということで今日はここで解散、ちょっと寂しい気もするけどでも仕方ないよね。
涼くんも夜ご飯の時間とかあるから…。
「楓、これ」
「えっ…これ僕に?」
そう言われて手の上に置かれたのは可愛い小袋。
中を開けてみると出てきたのは桜色のブレスレットだった。
金属製で二個のリングが絡むように自由になっていて少し動かすと飾りも一緒にシャラシャラ可愛らしい音が鳴っている。
「なんか似合いそうだなって思ってさ、迷惑だったら捨てちゃっていいから」
「迷惑なんてことないよ! えへへ、凄く嬉しい…つけてみてもいい?」
「ああ、つけてみて」
僕は右手首にブレスレットを通す。
ちょうどいいサイズのブレスレットが手首に収まって太陽の光を反射してキラキラと輝いている。
「綺麗…」
「気に入ってくれたなら良かった」
僕の腕で輝く桜色のブレスレット、今日の服にはちょっと合わないかもしれないけど持ってる服でいくつかこれにピッタリなのもある。
今度はそれを着て涼くんとデートしたいな…って、またデートしたいとか…。
「じゃあ、電車の時間だからそろそろいくよ」
「あ、うん…涼くん涼くん、今度これにピッタリの服着てくるから、またデートしよ」
「お、おう…また予定作ってデートしような」
「うん、今日はありがとっ、すごく楽しかった…えへへ」
今日は素敵な夢が見れそう…腕で綺麗な音を奏でるブレスレットを見ながら僕はそう思ったのだった。
あ〜んでお写真撮りますよ〜
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