楽しみな楓ちゃん
「涼くんお疲れ様〜!」
『お疲れ〜、今度はどんなコラボしようか』
「あ、またしてくれるの?」
『そりゃ当たり前だろ』
「えへへ、嬉しいな…」
ゲーム配信を終えて夜ご飯の準備をしながら涼くんと電話を繋いで今日のコラボについて振り返っていた。
『それでさ、急かもしれないんだけど明日一緒に出かけない?』
「一緒に? どこ行くの?」
『カラオケ行こうと思ってさ、歌の練習もパイキャスとかで配信しようかと思ってるんだけど』
「邪魔じゃない?」
『全然、デートだと思ってきてくれていいよ』
「でっ…でーと…」
『ごめんっ、冗談だよ。デートは嫌だよな。まあ普通にカラオケ行くだけだから良かったらどうかな』
「うん…じゃあ行こうかな。…デート、楽しみにしてるよ?」
『お、おう…じゃあまた明日な』
「うん、おやすみなさいっ!」
ぷつっと電話が切れる音がして、静けさが戻った。
デート…デートかぁ…楽しみだなぁ…。
ってなんで僕はこんなにワクワクしちゃってるの…?
涼くんとは別に友達だし、僕は元男の子なのに男の子とデートするのが楽しみで仕方ないなんて…。
まさか好きとか…そんなわけないよね…!
「あっ、麺茹ですぎちゃってる…!!」
ピーとなり続けるタイマーを慌てて止めて日を消して鍋からザルに麺を出す。
今日は簡単なスパゲティで夕食を済ませて、明日のカラオケのためにも早めに寝よう。
♣♠♣♠♣♠♣♠♣♠
「楓」
「涼くん」
「遅かった?」
「ううん、僕が早かっただけだよ〜」
「そっか、ごめんな待たせて」
「大丈夫!」
た、楽しみすぎて30分も早く来ちゃったとか絶対言えないもんね…。
藤沢駅で待ち合わせた僕と涼くんはそのまま相談しといたカラオケ店の方へ歩き出した。
あ、楽しみすぎて眠れなかったとかないんだよ?
ほんとだよ?
「今日は声だけの配信だけど楓は大丈夫だったよね?」
「うん、全然平気だよ! えへへ、何歌おうかな〜」
「なんか楽しそうだね」
「えへへ、だってデートだもん?」
「で…」
「あっ、今のなし…冗談だよ? 忘れて忘れて!」
「お、おう…」
や、やっちゃった〜…。
デートって変に意識して楽しみにしてきたなんて恥ずかしすぎて言えないよぉ…。
服とか、化粧とか、時間かけて悩んでたなんて言えないもん…。
ちなみに今日の僕の服は白のフレアブラウスVネックトップス、深緑のベイカースカート、キャンバススリッポンスニーカー、デニムマリンキャップを被っている。
すごく悩んで悩んで、それこそ服選びに2時間くらいかけちゃってあっちこっち右往左往した結果気合い入れすぎてたら困っちゃうよねとこれに落ち着いた感じだ。
でも可愛いの選んだと思うから褒めてくれたっていいんだよ?
涼くん褒めてくれないけど…むぅ…やっぱり褒めて欲しいっ!
「ねえ、涼くん!」
「ん?」
「何か言うことない?」
「え、あ〜…」
「むむむむ…」
「服…似合ってる…とか?」
「えへへ、それそれ」
「あぁ…可愛いよ。すごく似合ってる…なんか俺なんかに褒められても嫌な気分にさせたらと思って…ごめん」
「ううん…ちゃんと褒めてくれたもん…ありがとっ…!」
「っ……」
よかった〜、えへへ、褒めて貰えた〜。
時間かけて考えて変だったらどうしようと思ったもん…えへへ、嬉しいなぁ…。
あ、そういえば僕も涼くんの服褒めてない…。
改めて見ると涼くんスタイルいいなぁ…足細くて長くて…一見華奢なのに上着から除く上半身はしっかりしてて…海の時もがっちりしてたもんね…。
ってなんで僕こんなに涼くんの身体見てるの!?
今は服だよ服!
えっと…。
「りょ、涼くんもかっこいいよ?」
「んなっ、」
「あ、照れてる…」
「不意打ちだし」
「でもかっこいいのはほんとだよ?」
「…ありがとう…」
な、なんかちょっと褒め方間違えたような気がするけど…喜んでくれたし大丈夫だよね…?
えへへ、涼くんかっこいい…ってなんで、もういいよ!!
「楓、言い難いんだけどさ…」
「へっ?」
「なんか…俺見てにやけてるのどうしたの…?」
「えっ…なっ、なんでもないよ!? ほんとになんでもっ、いたっ」
「おいおい…」
僕は急な涼くんの言葉にあたふたして目の前の電柱に正面衝突…。
僕何やってるんだろ…。
今日なんでこんなにダメダメなんだろ…。
涼くんとデートって意識したらいつも通りでいられない気がする…。
デートって単語がいけないんだよね!?
意識するからいけないんだ…これは普通にカラオケに遊びに来ただけ…コラボ配信するだけなんだから…そうだ、仕事と思おう…仕事仕事仕事…。
「ほんと大丈夫か?」
「大丈夫だよ!」
「さっきから仕事仕事って…もしかして体調悪いとか?」
「全然平気だよ!」
「あのさ…それ俺じゃないんだけど…」
「へっ」
そう言われて目を開けると目の前に立っていたのは見覚えのないおばあちゃん…。
あらまぁ、と言うおばあちゃんにすかさず謝って涼くんの方に戻る。
ほ、ほんとにどうしちゃったの僕…。
「ごめん、ちょっと腕借りるね」
「えっ」
ごめんと言って涼くんが僕の手を握る。
咄嗟に涼くんの顔を見れば向こうをむく涼くんの耳が赤くなってる気がする。
「なんか今日の楓は危なっかしくて見てられない…手握ってていい?」
「う、うん…って、ひゃわわわわわ、待って待って…手握ってる…僕涼くんと手握ってる……」
「実況しないでくれ…恥ずかしくなってくる」
「ごめん…」
「それとカラオケ着いたぞ」
「えっ」
「早く行くぞ」
「うん…」
僕が一人で混乱して騒いでる間に気がついたらカラオケ店の前までやってきていた。
うぅ…昨日配信で恋人恋人と付き合ってるとか言われるから余計意識しちゃうし…涼くんの手大きいな…えへへ…手握ってる…ってなんで喜んじゃってるの!
僕達そういうのじゃないし好きとかでもないんだから…女の子になってから男の子の免疫なくなってるのかなぁ……。
もうちょっとちゃんとしないと涼くんに迷惑かけちゃう…。
「JEYとDANどっちがいい? ……楓?」
「……うん……よし…でも…」
「おーい、楓〜」
「ひゃっ…どうしたの…?」
「いや…どっちがいい?」
「えっと…僕はどっちでも…?」
「じゃあJEYでお願いします」
いけない…また周りのこと入らなくなっちゃってた…今日の僕は本当に変だ…この調子で配信大丈夫かなぁ…。
昨日色々書いてたらなんか甘々になってた...まあそろそろ二人の関係も進んでくって考えたら楓が勝手に意識してるのも悪くは無いかもしれない...だって今日の気分で書いてるもん。
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今後も少しずつ増えていくと思いますので良かったらフォローしていただいて読んでみてくださればと思います!
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こちらは色々と確認してからになりますのでDMでまずは話しかけてみてください!
それではまた次回おあいしましょう!
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「アルビノモデルの幼馴染によって俺の日常が崩れる音がしています」