残りの体育祭も楽しもう!
「小雪ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「先生!?」
矢崎さんと野咲さん…2人とも何かただならぬ雰囲気を醸し出して先に戻ってと言うので僕達は先に生徒席に戻ってきた。
小雪ちゃんは生徒ではないんだけど向こうで絢斗と一緒に見てるらしいからと一緒に生徒席に向かう。
そんなところに僕達の担任…清水先生が奇声を上げながら走ってきたのだ。
「小雪ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ねえね…!? むぐっ…!?」
「ねえね!?」
先生席から人を蹴散らしながら奇声を上げて走ってきた先生は隣の小雪ちゃんに抱きついた。
というかねえね!?
「むぐぐぐぐぐぐぐ…むぎゅぅぅ…………ねぇ…ね…」
あ、潰れてる…小雪ちゃんが潰れてるよ先生…。
僕も慌てて小雪ちゃんから先生を引き剥がしにかかるけど…なんでこんなに強いの…。
小雪ちゃんは先生に潰されて声も出せずに口をパクパクしていた。
「小雪小雪小雪〜!!!!!!!!!! 可愛かったぞ!!!!!!!!」
「…は…なっ……し…て……」
「先生!!!!!!」
結局先生が我に返って小雪ちゃんを離したのは、小雪ちゃんがそろそろ意識を手放そうとしていた頃だった。
周りにも生徒たちがワラワラと集まってきていて先程まで可愛さ全開でみなを虜にしていたラ〇が自分たちの先生に抱きしめられている姿を見物していた。
みんなで止めなかったらきっと小雪ちゃんは……。
「げほっ…げほっ…」
「すまない小雪…小雪のそんな可愛い姿見てしまったら…私は…」
「先生…説明貰いたいんですけど…」
「あ、あぁ…」
生徒席で僕と小雪ちゃん、清水先生、それから僕を中心にクラスメイトたちが囲んでいる。
美咲ちゃんは少し離れたところで…うずくまっていた。
「小雪はな…私の妹だよ!」
「うん…一葉はねえね」
ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
ま、まあほとんどのクラスメイトは小雪ちゃん見るの初めてだから気にならないと思うけど僕からしたらすっごい衝撃だよ!?
南も絢斗もびっくりしてるよ!?
「まあそういうわけだ。小雪と仲良くしてくれてありがとう」
「は、はい…!」
「「「それじゃあ…」」」
衝撃の事実が投下されて真実もわかったところでクラスメイトの女子たちの目が光っている…中心は南とその他大勢の女子…男子もその後ろで目を輝かせている。
い、嫌な予感がするよ??
「2人ともちょ〜っと失礼するよ〜!」
「写真も沢山撮ろうね〜!」
その後は僕と小雪ちゃんが双子セットでもみくちゃにされた。
「小雪ちゃんって言うんだ〜可愛い!!」
「何年生? どこの学校? どこに住んでるの? お姉さんとお出かけしない?」
まあとにかくもみくちゃにされて写真撮られたよ…。
触られたりもしたけどメイドさんはお触り厳禁なんだよ?
美咲ちゃんはと言えば…。
「ぁぅぁぅぁぅ…私はなんて恥ずかしいことを…もうお嫁にいけません………」
「似合ってたから問題ないと思うよ…美咲〜」
「そうだよ〜、美咲すごくかっこよかったよ〜?」
クラスメイトに囲まれた途端我に返ってしまったらしく紗良ちゃんと真由ちゃんに慰められていた…。
まだ騎士王様の衣装だからなんとも……。
次の競技もよそに写真撮影が行われて、実行委員の生徒が次の借り物競走の選手が僕達のクラスだけ来ないと呼びに来たところで解放された。
本当なら着替えていいはずだったんだけど…美咲ちゃんは動けなくなっちゃって着替えに行けなくなっちゃうし、僕と小雪ちゃんはみんなにホールドされてなでなでされるから着替えることを許されなかった。
「次はプログラムNo.16借り物競争です!」
僕は紗良ちゃんに捕まった状態、小雪ちゃんは先生に捕まった状態で真由ちゃんの借り物競争を観戦する。
ちなみに美咲ちゃんは今は一人にしてくださいとの事だった。
合図とともに校庭に並べられた紙に向かって選手が走っていく。
あ、さすがに真由ちゃん速い。
お題をめくって…それを読んだ真由ちゃんは迷わず僕達の方へ走ってきて…僕と小雪ちゃんの手を掴んで…。
「ふたり借りてくね〜!」
とみんなに言って僕と小雪ちゃんは引っ張られて前に引きずり出されたのであった…。
僕と小雪ちゃんを連れて司会の所にやってきた真由ちゃんは司会の実行委員に紙を渡す。
『一番乗りでやってきたのは鈴木真由さんです! お題は〜…可愛いと思ったものです!』
会場内は納得〜みたいな声とでもなんで2人?という疑問の声、2人まとめて可愛いもんねという答えのような声が聞こえてくる。
『それではお題クリアということで…えっ?』
そこまではまだ良かった…のだが前ぶれなく真由ちゃんが司会からマイクを取り上げた。
『可愛いふたりにはこれからポーズを決めて一言言って貰いまぁす!!』
「「「いぇぇぇぇぇい(やったぁぁぁぁぁ)」」」
ま、まままままま真由ちゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁんんんんんん!!!!!!!!
僕と小雪ちゃんがこの衣装を着た時から決まってたのだろうか…結局僕達は何か言わないと帰れなくなってしまった…。
「楓ちゃん、小雪ちゃん、ごにょごにょごにょ………」
「… はい…ワカリマシタ…」
「…うん……」
僕と小雪ちゃんにこそこそと指示を出した真由ちゃんは再び会場に向かって…。
「私がせーのって言ったら『まぁ最高で2日半も寝続けた俺には大したことでもねぇけどな』って言ってください!」
「「「はーい!!!」」」
うぅ…なんで仮装障害物競走終わったのにこんな目に…涙出てくるよぉ…。
でも当然進行は止まらないわけで…。
「せーの!」
「「「まぁ最高で2日半も寝続けた俺には大したことでもねぇけどな!!」」」
「ご、穀潰しの発言ですよ。聞きました姉様?」
「ろくでなしの発言ね。聞いたわよレ〇」
「「「きゃぁぁぁ〜〜!!」」」
あれ…男子の声は聞こえない…やっぱりこんなのやるべきじゃなかったんだよお…穀潰しとかろくでなしとか言われたら嫌なんだよみんな……。
数人を除いて男子がみんな倒れていたのを知ったのはしばらく後の話だった。
ーーーーーーーー
「……ぅぅ…」
「美咲さん…まあ…お疲れ様…よく頑張ったよ」
「…ぁりがとぅ…ござぃます……」
俺が実行委員の担当が終わって生徒席に戻ってくると観戦する生徒の後ろの方で小さくうずくまっている美咲さんを発見した。
競技の間はあんなに堂々としていたのに戻ってきたら恥ずかしさでこうなってしまったらしい。
「…うぅ…でも…」
そうだよなぁ、普段の性格から考えたらそもそもこの競技に出ること自体難しいくらいなのになんか競技中はなりきっちゃってたし…こうなるのも仕方ないか。
とりあえず俺は仮装障害物競走お疲れ様の意味を込めて買っといたペットボトルを差し出す。
「まあ無理はしなくていいよ…これ、アイスティ、紅茶好きだったでしょ?」
「…はぃ…いただきます…」
「いまはゆっくり落ち着いて…」
「私…変じゃなかったですか…?」
「うん、全然変じゃなかったよ。すごく似合っててた、かっこよかったし可愛かったよ」
「…ありがとうございます…嬉しいです…」
ーーーーーーーー
「これにて体育祭の閉幕を宣言致します!」
長いようで短い体育祭が終わった…。
僕達が着替えるのを許されたのは全員参加の大玉送りの直前だった。
美咲ちゃんも何とか引きずりながら更衣室に向かって体操服に着替えて大玉送りに参加した。
体育祭の結果としては赤組は2位で終わったけど仮装MVPには僕と美咲ちゃんが選ばれた。
美咲ちゃんは絶対前に出たくないと首を振っていたけど、紗良ちゃんと真由ちゃんに行かないと次進めないから頑張ろうね〜と言われて僕に張り付きながら前に出た。
外部参加のMVPには小雪ちゃんと野咲さんが選ばれたんだけど、野咲さんはもう帰っちゃったみたいで小雪ちゃんだけ表彰になった。
そして各クラス教室に戻って帰りのHRを済ませて外に出た。
「誰だろうあの人?」
「体育祭に来てたんじゃない?」
「普通にイケメンじゃない!?」
「誰か待ってる感じだよね…」
「え、誰かの彼氏!?」
「きゃ〜」
なんか校門ら辺に他クラスの女子が集まっててそんな会話をしていた。
「誰かの彼氏さん? が待ってるみたいだね」
「だな、俺も誰かを待ちたいよ…」
僕と絢斗はそんな会話をしながらたむろしている女子を通り過ぎて校門を出た…ところで待っていた人の顔が入ってきて…。
「涼くん!?」
「あ、楓。お疲れ様、待ってたよ。綾斗もお久しぶり」
「あ、久しぶり」
「「「きゃ〜、まさかの楓ちゃん! か・え・でちゃ〜ん、ちょ〜っとだけお話聞こうかな?」」」
後ろを向くとさっきの女子たち…全員目をギラギラさせてる…。
あ、これは説明するのに長くなりそう…。
「「「そっちの彼氏さんはちょっと待っててね!」」」
「か、彼氏!?」
「俺はそんなんじゃ…」
「……じゃあ楓、俺用あるから帰るわ」
「絢斗の裏切り者ぉぉぉぉぉ〜!!!」
絢斗は逃げるように帰っていった…。
えっ、僕絢斗に何かした!?
「「「じゃあ楓ちゃんはちょっとこっち来ようね〜」」」
「え、なになに、楓ちゃんの彼氏?」
「真由ちゃん!?」
「それはあたしも聞きたいな〜」
「紗良ちゃん!?」
あ、クラスメイトも混ざってきてこれは逃げられないなぁ……。
結局僕が解放されたのはそれから30分ほどひたすら誤解を解いた後だった。
「涼くんごめんね…」
「いや、まあ俺が悪いし…」
今は涼くんは駅に向かって、僕は家に向かって歩いている。
途中までは一緒なので話しながら帰っているのだ。
清水くんと小雪ちゃんも途中までいたんだけど僕の事情聴取を待ちきれないと帰ってしまった。
正確に言うとそろそろ先生が来ると言うことで小雪ちゃんが逃げるように帰りたいと言い出した。
…ま、まああんな潰されたら逃げるよね…。
「そ、そういえば涼くんっていつから来てたの?」
「ん? ラジオ体操してる辺りからかな…」
「そ、それって一番最初じゃん!」
「まあそうだな、楓のチアも見たよ」
「あぁ…恥ずかしい…」
あれ見られてたのは一生残る恥ずかしいやつだよぉ……。
「似合ってたし楽しそうだったじゃん…」
「あれはヤケクソで…」
ちょっと微妙な顔でそう言う涼くん…と思ったらひとつ大きくため息をついた。
「でももうみんな見てるんだしあんな露出多い格好はよくないと思う…」
「…だって仕方なかったんだもん…」
「もうああいうの着るなよ…みんな見てるんだから」
まあ心配してくれるのは嬉しいけど…。
「うん…気をつける…涼くんっていつも僕の服のダメって言うよね…」
「…そんなことないよ…お前が大胆な格好ばっかりするから」
「僕がああいうの着るのってやっぱり変?」
「いや、変じゃないし…似合ってるけどさ…みんな見てるじゃん?」
少し慌てて言い直した涼くんはそのままそっぽを向いてしまった。
結局理由はみんな見てるしか言わないけど…なんで涼くんがそこまで気にするのかな。
「さっきからそればっかだね…?」
「ま、まあ気をつけてよ、」
「うん…そういえば涼くん涼くん、今日の仮装どうだったかな?」
「あぁ…に、似合ってたよ…小雪も楽しそうでよかった」
「小雪ちゃんも楽しそうだったよね! 見ててくれてありがと!」
「……早く行くぞ、電車乗り遅れる」
僕が覗き込むようにそういえば涼くんは照れくさいのか目をそらすようにして歩を早めた。
スタスタ歩いていってしまう涼くんを少し眺めて慌てて走って追いかける。
「ま、待ってよ〜。さっき言ってた時間まで結構あるよ?」
「し、知らないなぁ、早く行こう」
「もぅ…涼くんって意地悪だね…?」
ちょうど夕日が空をオレンジ色に染めてノスタルジックな雰囲気の中涼くんを追いかけて駅へと向かう。
こうして僕の高校初の体育祭は幕を閉じたのだった。
ーーーーーーーー
「矢崎郁がどうしてここに…?」
「あの子たちの服を作ったのは僕だからね」
「そう…意外ね、コスプレ衣装も作るなんて」
「君こそコスプレしてるなんてね。あの頃はこういうの嫌いだと思ったけど?」
「あの頃はね…」
「そうだよねぇ、服から逃げてこんなことしてるとは思わなかったよ」
「逃げたわけじゃ…」
「逃げたんだよ。あれだけの才能がありながら服の道に進まずに逃げた弱者じゃないか」
「あなたにだけは才能と言われたくない。私はあなたがいなければ…」
「そうだねぇ、君を潰しちゃったのは僕だ」
「…」
「でも僕は君の才能は認めてたよ? まぁ夢から逃げた君は尊敬する価値もないけどね」
「黙れ…」
「黙れ? おいおい、それが逃げた人間が言うことかい?」
「っ…」
「君は逃げた負け犬、今を掴んだ僕に何が言えるんだ? こういう世界に負けて逃げたのは君だろう?」
「…」
「ふん、これ以上何も言わないよ。あの子たちにも関わらないであげてくれるかな? 君の負け犬が移っちゃったら可哀想だ」
「矢崎郁…あなたは変わらないのね。そういうところも少しも変わってない」
「こうじゃなきゃこの世界でやっていけないよ」
今回はなんかこう書くのが難しかった...人間の感情とか他の人の干渉とか結構難しいもので特に美咲まわりの苦労しました...。
あとは最後の方の涼と楓のシーンとか。
さて、体育祭もこれで終わりなので次からイベントに向けて走っていきます!
楓のステージはどんなものになるのか!
どんなイベントになるのか!
楽しみにお待ちいただければと思います。
そういえばですね、だいぶ前...話の中の時間だと2週間前くらいにスパチャ解禁と言ったにもかかわらず忘れ去ってました...というわけで予定ではあったけどちょっと設定に時間かかってたら体育祭期間は言ってチアの練習で配信出来てなかったということにしときます...なので次の回の配信でスパチャやるのでほんとごめんなさい..._○/|_ 土下座
それでは今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございました!!
ブクマ登録、高評価、コメントして頂けると楓のコス衣装が増えるかもしれません!()