仮装をしよう!
昨日は投稿出来なくてごめんなさい!
『プログラムNo.15、仮装障害物競走に出場する生徒は召集所に集まってください。また、仮装障害物競走に出場する来賓の皆様も召集所にお集まりください』
カラーダンスを終えて待機場所に戻ってきた僕と美咲ちゃんに仮装障害物競走の収集がかかった。
各クラス男女4名と参加希望の来賓の方々が召集所に集まっていく。
「美咲ちゃん準備できてる?」
「うん…大丈夫…」
仮装障害物競走は体育祭の点数には入らず、衣装の完成度も低いことからあまりにもパッとしない競技で、一度は競技変更も検討されたこともあったらしい。
実行委員の案で外部の参加者を募ってみようということでやって見た結果、衣装の質も上がり目玉イベントに成長したみたい。
おかげで生徒に求められるコスプレの質も上がっちゃったんだけどね…。
去年までは予算一人3000円だったんだけど、外部参加者があまりにも完成度高い衣装作ってくるもんだから学校側も今年からクラスで5万円、一人12500円まで上げて貰えた。
確かに3000円じゃド〇キのパーティグッズくらいしか買えないよね…。
12500円あればそこそこの衣装を買えるし自分で作ろうとしても、それだけあればそこそこ出来ると思う。
僕と美咲ちゃんの場合は矢崎さんに作って貰っちゃったんだけど…ちなみに今回も僕は所属の立場でタダでやって貰っちゃった…。
美咲ちゃんは本当ならかなり高く着くはずなんだけど、僕の衣装って体で作っちゃったからタダ…結果クラスの男子に25000円ずつ使えると伝えたら驚いてたよ…。
「やぁ楓」
「ひゃっ!?」
「おや…驚かせちゃったかな」
び、ひっくりしたぁ……。
召集所で急に後ろから肩を叩かれるから変な声出ちゃったじゃん!!
振り返るといつもの笑顔で立っている矢崎さんの姿が目に入った。
後ろにはお姉ちゃんの姿も見える。
「な、なんでふたりが…」
「せっかく二人の衣装を作ったから見に来ようと思ってね」
「…矢崎さんおひさしぶりです…」
「美咲さんもひさしぶりという程でもないかな」
ま、まあそれはわかるけどね…?
知ってる人に見られるのは恥ずかしいなぁ…。
「楓楽しみにしてるからね!」
「お、お姉ちゃん…」
「お姉さんなんですか…?」
「違うよ〜、楓がそう呼びたいって聞かないのよ〜」
「違う〜!」
「楓かわいい!」
むぎゅぅ……。
お姉ちゃんに抱きしめられてその豊満なお胸様に埋もれる僕…。
うぅ…視線が集まってる気がするよぉ…。
「あいつ元々男だったんだろ…くそっ、羨ましい…」
「俺もあんな綺麗で可愛いお姉さんが欲しかったぜ…」
「あの人モデルかな〜、めっちゃかわいい…」
お姉ちゃんすごい人気…そりゃ可愛いもんね…スタイルもいいし…べ、別に羨ましいとかじゃないからね!?
うぅ……お、お姉ちゃん離してくれないし…こんな時はなにか別のことを考えよう…。
そ、そうだ!
お弁当美味しかったなぁ…お父さんとお母さんはお弁当を手に見に来ててお昼を一緒に食べたよ!
とにかくチアのこと話されてものすごくきつい時間になったけど…お父さんロケットランチャーみたいなカメラ構えてるんだもん…。
「むぐぅ…み、美咲ちゃんはその中に衣装着てるの?」
「えっと…まだです」
「…? 着替えなかったんだ…?」
「はい…」
「お、お姉ちゃん離して…むぐぐぅ」
「やだぁ〜」
矢崎さんもそろそろ離してあげたらなんて言ってくれてるけどお姉ちゃんが手を緩める気配はなさそう…もう諦めるしかないのかな…。
美咲ちゃんはあの衣装なら下に着れると思うけど…ちなみに僕は中に着れるものじゃないからこの後テントで着替えるよ!
召集所の横に用意された仮設テントが二つ、男子と女子のもので別れている。
「楓さん、そろそろいかないとです…」
「お、お姉ちゃんん…」
「じゃあ最後にぎゅう〜〜」
「むぎゅぅ…………」
そうしてやっと開放された僕は美咲ちゃんと並んでテントに向かったのだった…。
「空も程々にね。彼、元は男の子だろう?」
「は〜い」
ーーーーーーーー
テントの中は長テーブルがあるのと床がビニールシートになってて衣装が汚れないように配慮されていた。
この学校の校庭は数年前に人工芝に変わったから砂で汚れることは無いけど人工芝も意外と汚れてたりするからね…。
持ってきた衣装袋を長テーブルに置いて中身を出そうとしたところで見覚えのある後ろ姿が目に入った。
「あれ、小雪ちゃん…?」
「楓ちゃん…!」
やっぱり!
小さくて可愛らしい後ろ姿…今日はツインテールじゃなくてサラサラな髪が流れてるから自信なかったけど…小雪ちゃんだ!
着ていたワンピースに手をかけようとしたところで呼ばれた小雪ちゃんは僕の方を見てびっくりした顔をしていた。
「小雪ちゃんも出るの…?」
「うん…空ちゃんが出ろって…」
「お姉ちゃん…?」
「楓さん…こちらの方は…?」
「えっとね、清水小雪ちゃん! 友達の妹…?」
「清水…小雪です…」
「…渡辺…美咲…です」
な、なんかこのふたり似てる気がするよ…?
すごく小さい小雪ちゃんと大きい美咲ちゃん…対照的だけどなんか似てる…。
「小雪ちゃんはどんな仮装するの?」
「小雪は…これ…空ちゃんから渡されたの…」
「そうなの…え!?」
小雪ちゃんが持ち上げたのは白と黒のメイド服にピンクのウィッグ…。
ちなみに僕の衣装も白と黒のメイド服…ウィッグは水色だよ?
矢崎さんがもう決まってるって…お姉ちゃんのせいだぁぁぁ…小雪ちゃんまで巻き込んで…。
だから今日お姉ちゃん来てたんだ…まあね? 南を見に来たって可能性も考えたけど絶対僕達だよね?
写真はNGにしとこ…。
「楓ちゃん…おそろい…だね!」
「うん…なんか嬉しいような今から文句言いに行きたいような…」
「おそろい…かわいいです…」
「美咲ちゃんも…かわいい…!」
やっぱりこのふたり似てる…仲良くなれたらいいな。
僕は今すぐお姉ちゃんに文句の一言も言いに行きたい気分だよ!
「仮装障害物競走の出場選手は着替え急いでくださーい」
外で担当の生徒がテントの中に呼びかける声が聞こえる。
「じゃあ僕達も急がないとだね!」
「うん…!」
「はい…」
そうして僕と小雪ちゃんは矢崎郁製の双子メイドのコスプレ衣装を身につけていく。
軽くメイクもしてウィッグも被ればお揃いメイドの完成だ!
テントに鏡設置されてるから並んで覗き込む…かわいい…。
小雪ちゃん似合いすぎじゃない!?
僕のもすごく可愛い…。
「小雪ちゃんすごく可愛いよ!」
「楓ちゃんも…かわいい…!」
美咲ちゃんも着替え終わったかな…?
そう思って美咲ちゃんの方を見る…あれ?
「美咲ちゃん…その衣装…」
「えっ…あ、これは…実はですね…?」
ーーーーーーーー
「美咲さん…もう少し腕上げてくれないかな…?」
「む、無理です…これすごく恥ずかしいです…」
私は矢崎さんに衣装の調整をしてもらっていました。
露出度で言ったらトップレベルなんじゃないかなってくらいの衣装を身にまとってすぐ近くで矢崎さんにチェックされてます…。
皆さん衣装チェックはこんな感じなんでしょうか…恥ずかしくて死にそうです…。
「も、もう…無理…」
私はヘナヘナと近くのソファに倒れかかってしまいました。
「こんな調子で体育祭大丈夫かなぁ…」
「ご、ごめんなさい…」
「まあこんなこともあるかもしれないって思ってはいたけどね…」
「すみません…」
私がこの子がいいって押し切ったのに情けないです…。
矢崎さんはうんと頷くと隣の部屋に行ってしまいました。
怒らせてしまったでしょう…。
私は本当にダメです…こんなに親切にしてくれてる人を怒らせてしまいます…。
「はぁ…私は…」
「…美咲さん、ちょっとこっち来てくれる?」
「はい…」
向こうの部屋から矢崎さんが呼んでます…拒否権はないので申し訳ない気持ちと怖さを抱えながら隣の部屋へ行きます。
「えっ…これって…」
「うん、まあこんなこともあると思ってね。用意しといて正解だったかな」
私の目の前には私がキャラを選ぶ時に候補に入れていた衣装がマネキンに着せられていました。
青いドレスに銀の鎧、衣装の隣にはシンプルだけど存在感のある剣が飾られています。
「今度の体育祭はこっちを着たらどうかな? まあその衣装はいつか着たい時に着てくれればいいさ」
「…ありがとう…ございます…」
その後のことはまあ色々泣いてなだめられたりはありましたが…ともあれ私は、もう一着の衣装を着ることになりました。
ーーーーーーーー
「というわけでこの衣装になりました…」
「そうだったんだ…教えてくれればよかったのに!」
「ご、ごめんなさい…言おうと思ったんですけど呼ばれちゃって…」
「あ、朝の時の…」
そういえば朝美咲ちゃんが何か言いかけた時に呼ばれちゃったのを思い出す。
それにしてもすごく似合ってる…。
ダンゴを三つ編みで巻いてまとめたシニオンヘアの金髪ウィッグ、青色のドレスと銀に輝く鎧、金の柄と銀に輝く刀身の剣。
それはまさしく…。
「セイ〇ー…」
「はい…矢崎さんがあの時候補にあげてたものから作ってくれて…」
「美咲ちゃん…似合ってる…よ…!」
「小雪さん…ありがとうございます…」
すごく似合ってる…似合ってるんだけどね?
ちょーっと言いたいことがあるよ!?
「美咲ちゃん!」
「はいっ!?」
急に力強く呼ばれて硬直する美咲ちゃん。
「美咲ちゃん、その衣装の人はどんな人かな?」
「えっと…綺麗でかっこよくて…凛としてて強くて…堂々としてて…」
「そうだよね? セ〇バーやるならもっと堂々しなきゃダメだよね?」
「そうですね……?」
騎士王をやるならもっと堂々としなきゃダメだよね!
だって今の美咲ちゃん羞恥からかすごく縮こまっちゃってるんだもん。
「美咲ちゃん、キャラになりきってみよう!」
「ぇ…が、頑張ります…」
「美咲ちゃん…頑張って…!」
「はい…」
そうして準備が出来た僕達はテントの外へ出たのだった。
美咲ちゃんは…。
「美咲ちゃん…準備OK…?」
「ええ、死力を尽くしましょう」
どうしてこうなった……?
ーーーーーーーー
今回の仮装障害物競走には生徒60人くらいに加えて外部の参加者が20人ほど集まって競争する。
やっぱり生徒よりも外部の人の方が衣装の出来が段違いに見える。
予算を増やしても自分で作って普段からコスプレしてる人とかの衣装には敵わないもんね…。
僕達は矢崎さんの衣装だから置いといて生徒の中にもなかなかの衣装もちょこちょこいる。
でもやっぱり外部の人達はレベルが違うというか本格的というか…有名なアニメやゲームのキャラクター、他にもVtuberのコスプレもいる。
「あれ、きさきちゃんの衣装だね!」
「今日妃更ねえね来てる…」
「えっ…それは恥ずかしいかもね…」
小雪ちゃんと顔を見合わせて笑う。
他にも数年前にブームが来てた鬼〇の刃の蝶々の人とかそれよりまた数年前にブームだった進〇の巨人の兵長とかもいる。
第六人外の女王様もいる…後で写真撮れるかな…!
「あ、美咲ちゃん! あそこアー〇ャーの人いるよ!」
「うむ、では後で写真を撮らせてもらおう」
…ほんとなんでこうなったんだろう美咲ちゃん…。
結局自分の意思で堂々と出来なかった美咲ちゃんにキャラクターになりきってみよって言ったんだけど、セイ〇ーが降臨したみたいに口調まで変わっちゃった…。
そういえばなんだけどさっきから結構視線を集めてる気がするんだよね…。
まあ僕達はここにいる全員の中でも多分、群を抜いて完成度の高い衣装を着てるわけだし…。
僕と小雪ちゃんも揃ってすごく可愛い衣装着てるからやっぱり視線を集めるわけで…。
「楓ちゃん…恥ずかしい…」
「うん…だよね…」
「小雪、楓、恥ずかしがることはありません。堂々とすればいい」
み、美咲ちゃんに言われるのはなんか釈然としない……。
というわけで僕達の仮装障害物競走が今始まる!
…あれ…なんか忘れてる気がする…。
ほんとなら時間かかっても楓か美咲どちらかくらいは走る予定だったんですけど...着替えで終わりました...。
尺が...。
というわけで今日はお着替えで5000文字行ってしまったので走るのはまた次回ということで...。
さて、まあおわかりと思いますが楓と小雪の双子メイドに美咲の騎士王さん。
美咲は本当にあんな露出度高めの大胆な衣装を着れるのか?と疑問だった部分はやはり着ないということになりました。
いつか着てもらいますが...。
ちなみに美咲の当初のコスプレのキャラ知らない人がほとんどだと思うので紹介させてください。
ルミ〇スアー〇イン〇ィニティというゲームの〇ナというキャラです!(ゲーム名長いからまる多めにしとこ...)
本当に魅力的なキャラなのでぜひ調べて見てください!
...美咲どうしてこうなった、、、。
というわけで今回も最後まで読んでくれてありがとうございました!
コラボさせていただいた影響か昨日投稿出来てないにも関わらずpvがびっくりするくらい増えてました笑
ポイントの伸び方もすごくて気がついたら週間46位まで上がってました!
本当にありがとうございます!!
それではまた次回お会いしましょう!
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