プールで遊ぼう!!
「おーい、楓こっちこっち〜」
「絢斗おまたせ〜」
ロッカールームを出てまず目に入るのは波のプール、扇形の大きなプールのそばの日除けエリアに絢斗の姿を見つけた。
お姉ちゃんほど大きくはないけど女の子になって膨らんだ胸が揺れて走りにくい…普段は服着てるからそこまで気にならなかったけど結構恥ずかしい…。
「おぉおぉ、楓その水着結構攻めたな〜?」
「そ、そんなことないよ!! そんなことあるかもだけど…」
絢斗の言葉に無意識に手が胸と股を隠してもじもじしてしまう。
「そんなに恥ずかしがるならもう少し控えめなのにすればよかったのに…無理してないか…?」
「い、いいの! それよりどうなの!? 変じゃない?」
そう言って腕を後ろに組んでくるっと回って見せる。
パレオがひらっと舞ってふわっと戻ってくる。
絢斗はうんうんと頷いて口を開く。
「すごくいいんじゃない? よく似合ってると思うよ、ちょっと大人っぽすぎる気がするけど…」
「そ、それって僕のこと子供っぽいって言ってない!?」
「いやいや、まだまだこれからだと思うぞ?」
「むぅ…」
絢斗はデリカシーの欠けらも無いよね!
せっかくイケメンでモテるのに女の子の扱いが下手な気がするよ!
あれ…顔赤くなってる…男の子の時は気が付かなかった…へぇ、もしかして絢斗って女の子に慣れてないのかな?
「絢斗〜、僕だって少しは胸はあるんだよ?」
「ん? なっ、何してんだよお前!」
「だってあんに胸ないって言われた気がしたし〜?」
僕は向こうを向いてしまった絢斗を呼んで前かがみに胸を寄せて見せた。
確かに高校一年生て考えたら小さいとは思うけど体の大きさからしたら小さすぎることもないと思うんだよね!
同じくらいの身長の子よりはあるとおもうんだ!
「お、女の子がそんなはしたないことすんなよ!」
「え〜、だって乙女のハート傷つけたの絢斗だよ?」
「わ、悪かったよ、楓は魅力的だからやめとけ、みんな見てるから」
「えっ?」
そう言われて僕は周りを見る。
確かに絢斗の言う通り何人かこちらを見ている人がいる。
確かに前かがみにお尻を突き出して胸を寄せている女の子がいたら男なら見てしまう…って僕は何をやってたの!?!?!?
「はぁ、楓は特に可愛いんだからこうやって目を引くんだよ。これに懲りたら気をつけろよ?」
「…うぅ…はぃ…」
はぁ、と大きくため息を着いてなだめられては僕が悪いみたいではないか…うん、悪かったかな…。
も、もうやらないように気をつけよう…。
「それにしても楓の口から乙女のハートなんて言葉が出てくるとはな〜」
「わ、忘れてください…」
「う〜ん、後で空さんと南にも教えてあげようかな〜」
「や、やめて…」
あぅぅ…さっきとは逆に絢斗にいじめられている…お姉ちゃん、南、早く来て…いや、来ないで…先に絢斗を説得しないと…。
「楓〜! 絢斗く〜ん! お待たせ〜」
「おまたせ〜」
あっ…来ちゃったよ…。
「あ、絢斗…さっきのは秘密に…」
「ん〜? なんのことかわかんないな〜」
にししと笑ってお姉ちゃんと南が売店で買ってきたトレーを受け取る絢斗。
4人分のドリンクとチュロス、ちなみにかき氷はもう少し遊んでから食べることになった。
「そ、空さん、水着素敵です! その、大人っぽくてでも可愛くて…」
「あ、絢斗どうしたの…?」
「さっきの僕の時と反応が全然違う…」
明らかにさっきまでとは様子の違う絢斗に僕と南はびっくりしていると、南が顔を寄せてきて耳元で囁く。
「楓の水着褒めてくれなかったの…?」
「う〜ん…乙女のハートを傷つけられたかな…」
「か、楓の乙女のハートを…許せない」
うん、僕もなんか腹が立ったからお姉ちゃんを前にして鼻の下を伸ばす幼なじみの脛を蹴ってやった。
「いてっ、何すんだよ楓!」
「ん〜? なんか腹立ったから」
「腹立ったからって蹴るとか酷いぞ!」
「お姉ちゃん見て鼻の下伸ばす絢斗が悪いんだよ〜」
「ほんとだよ〜、楓行こっ!」
もう一度南と揃って言ってやってプールの方へ走っていく。
波のプールはどんどん暑くなっていく気温には最高に冷たくて気持ちが良かった。
ちなみに日焼け止めはさっきロッカー室で塗ってもらってきたよ!
後ろを見れば絢斗とお姉ちゃんが話していて、お姉ちゃんが笑っている姿が見える。
「ねえ楓、絢斗って絶対空ねえのこと好きだよね」
プールの中で再び耳元に寄ってきた南が言う。
「そ、そうなのかな…?」
「え〜、絶対そうじゃん! 私の水着にはなんの感想もなかったし楓も空ねえみたいに褒めて貰えなかったんでしょ?」
「う、うん…たしかに…?」
絢斗か空ねえを好き…だとすると随分長い恋になるのかな…そっかぁ…なら叶うといいな…!
「もし絢斗がお姉ちゃんを好きなら叶うといいね…」
「うん…でも…」
「でも?」
「ううん、なんでもない! 絢斗の努力次第だよきっと! 応援してあげよ!」
「うん!!」
恋かぁ…僕も誰かを好きになるとかあるのかな…その時僕って男の人を好きになるのかな…女の人を好きになるのかな…。
でもいつか素敵な恋が出来たらいいな…!
「楓! もっと向こうの方にも行ってみよーよ!」
「え、あっ、引っ張らないで〜」
波のプールのもっと奥の方、つまり波が出ている所まで南に引かれていく。
僕あんまりちゃんと泳げないのにぃ…。
南は水泳やってたから泳げていいよね…南に引っ張られると進むの速い…。
「でもちょっと待って鼻に水入ってるっ! げほっげほっ」
鼻に水が入るとツーンと痛みが走るよね!
いたぃ…。
「えっ、あ〜、ごめんね楓…だいじょぶ?」
「げほっ…うん…僕あんまり泳げないから…」
「ごめんね…もっとゆっくり進むね?」
「うん…」
結局ぐいぐい引っ張られて溺れないようにするのがやっとだった僕だった。
その後も絢斗とお姉ちゃん達と合流して波のプールや流れるプールで遊んでいたらいつの間にかお昼時に差し掛かっていた。
「…沢山遊んだらお腹減った…」
「私も〜…楓何食べたい?」
南にそう言われて近くの売店に目を移す。
何がいいかな…売店ごとにメニューも違ったけど…あ、焼きそばがある…プールといえば…かはわからないけど焼きそば食べたいかも!
「うーん、あ、焼きそば食べたい!」
「あ、私も私も〜」
「じゃあみんな焼きそばでいい? さっきは買ってきてもらったし俺が行ってくるよ。席確保しといてもらえる?」
「あ、じゃあ僕は飲み物買ってくるね!」
「ありがと〜!」
「みんな何飲む?」
みんなの希望を聞いてから僕は飲み物の売ってる売店の方に移動した。
えーと、南がジンジャエールでお姉ちゃんがアイスティ、絢斗がコーラ…僕は何にしようかな…お姉ちゃんと同じアイスティにしようかな!
代金を払ってトレーに4人分の飲み物を受け取ってさっきお姉ちゃん達いた所まで戻る。
「あれ、楓ちゃんだー」
「えっ? あ、清水くん」
突然呼ばれて振り返るとそこにはテラ〇モールで出会った水野くんの友達の清水くんがいた。
「おー、久しぶりだなー」
「久しぶりだね、清水くんも買い出し?」
「そんな感じ、分担して俺が飲み物」
「じゃあ僕と一緒だね」
清水くんはそうだなーと言って屈託のない笑みを浮かべた。
今は水着で上裸なのだが鍛えているのか腹筋が割れていて眩しい…僕はいくら筋トレしても全く腹筋割れなかったのに…。
「楓ちゃんの水着素敵だなー、ちょっと大人っぽくて似合ってるよ」
「ほんと? ありがと〜! 僕の連れは全く褒めてくれないんだもん、僕には大人っぽすぎるとか胸が小さいとか…」
「楓ちゃん可愛いから照れ隠しじゃないのー? ちゃんと女の子は褒めてあげないとなー、それに楓ちゃんは全然子供っぽくないよ」
「ありがとう清水くん…」
そっか…僕子供っぽくないのかな…褒めて貰えるってやっぱり嬉しいな…!
絢斗が何も言ってくれなかったのは僕が元男って知ってるからだと思う…南を褒めなかったのもお姉ちゃんにしか目が行ってなかったのからだと思うと仕方ないのかな…。
でももっと褒めてくれてもいいよね!!
「涼達も向こういるけど会う?」
「あ、僕達も向こうだから会いに行こうかな!」
「あいついっつも楓ちゃんの話するから水着拝めて喜ぶぞー」
「そうなの?」
「おー、夢川さん…いって!」
「遅いと思ったら何言ってんだよ大樹」
清水くんが急に叩かれたと思ったら後ろから水野くんが現れた。
水野くんは上にラッシュガードを着ているけど前を開けているから筋肉が見えて…まぶしい…。
「あ、水野くん!」
「お、おう、夢川さん…」
「歯切れ悪いぞ涼くんや」
「うるせ、余計なこと言う前にさっさと向こう言ってろ」
「へいへい」
水野くんにキッと睨まれて清水くんが向こうの席の方に歩いていった。
「その、久しぶりだな」
「うん…久しぶりだね?」
「その、似合ってるよ…水着…」
「えっと、ありがと…」
確かに水野くんの歯切れが悪い…僕が元々男の子だったって知ってるからこんな水着着てたら気持ち悪いかな…。
多分気を使わせちゃってると思う。
「元男がこんな水着着てたら変かな…?」
「そ、そんなことないだろ…前の夢川さんがどうだったかとか知らないけど…少なくとも今は女の子なんだからいいんじゃないのか?」
「そうかな…ありがと!」
「おう…だけどこれ羽織っててくれない?」
そう言って水野くんは自分が着ていたラッシュガードを脱いで僕に渡してくる。
ラッシュガードで隠せって…。
「え、なんで…? やっぱり変かな…」
「いや、そういう事じゃなくて…なんか…あー…そんなんじゃ色んな人に見られるだろ、だからこれでも着とけって」
「え、うん…? ありがと…?」
よく分からなかったけど言われた通り受け取ったラッシュガードに手を通していく。
「ちゃんと前閉めろって」
「う、うん…」
言われたままに前を閉めればだぼっとしたラッシュガードに太ももまで隠れて水着が綺麗に隠れた。
確かにさっきから視線は沢山感じてたから気を使ってくれたのかな…変じゃないって言ってくれたしいいのかな…。
「夢川さんは…その…可愛いんだからすごい見られてると思うからさ…なんか嫌で…」
「えっ、うん…ありがと水野くん…」
無言になる僕達二人。
戻るかという水野くんの一言があるまで特に会話もなくそこに立っていた。
席の方に戻ると絢斗が既に人数分の焼きそばをテーブルに並べていた。
丸テーブルに四人席だったんだけど隣のテーブルに清水くんと女性二人が座っていて、お姉ちゃんと話していた。
「楓遅いよ〜」
「えっとごめんねお姉ちゃん…ちょっと話してて」
「楓ちゃん、俺らと一緒でいい?」
「えと、うん」
「あ、こっちのふたりは…」
清水くんがそういうと反対側に座っていた女の子が立ち上がる。
黒のお嬢様ヘアに青のリボンをつけているまさにお嬢様といった印象、白のビキニタイプの水着、下はスカートになっていて上に水着と同じ色のラッシュガードを羽織っている。
頭には麦わら帽子を被っていて本当にどこかのお嬢様みたいだ。
お姉ちゃんと同じくらいの身長、胸は…大きい…。
もう1人の座っている子は見たところ僕よりずっと小さくてワンピースタイプの水着を着たツインテールの女の子…見たところ中学生か小学生…。
髪に雪の結晶をかたどった髪留めをつけている。
「私は天羽妃更と言います。よろしくお願いしますね」
「えっと、夢川楓です。よろしくお願いします…」
優雅にお辞儀した妃更さんはふわっと座る。
背筋をピンと伸ばして足を揃えてすごく綺麗…麦わら帽子がよく似合っている。
「ほら、小雪も自己紹介しなー」
「ぇ…うん…清水小雪…です…」
清水くんにそう言われると下を向いてモジモジと恥ずかしそうに小声で自己紹介をした。
清水ということは清水くんの妹さんかな…?
中学生くらいかな…すごく可愛い…。
「小雪ちゃんよろしくね!」
「うん…よろしくね…楓ちゃん…」
友達と妹の集まりって感じなのかな…?
「こいつ人見知りだからさ、みんな仲良くしてやってくれるとありがたい」
「うん、もちろんだよ〜」
「小雪ちゃんおいで〜」
お姉ちゃんが手招きすれば小雪ちゃんはすたっと床に降りてたったったっと走ってお姉ちゃんの膝に飛び乗る。
名前の通りちっちゃくて可愛い…。
「小雪ちゃんは何年生なの?」
ちっちゃい子と話す時ってだいたいこれ聞くよね…というわけで僕も聞いてみた。
「えっと…1年生…」
「じゃあ今年から中学生なんだ!」
「えっと…違う…」
「楓ちゃん楓ちゃん、小雪は高校生だよ。楓ちゃん達と同い年」
「えっ!?!?」
なんと!?
こんなにちっちゃくて可愛い子が僕と同じ学年!?
僕もちっちゃいとは思ってたけどこんな可愛い天使が僕と同じ歳でいいの…!?
「小雪ちゃん…」
「楓…ちゃん…?」
「かわいいっ…!!!」
「…楓が壊れた…」
「楓の前のお姉ちゃんもこんな感じだからね…?」
その後は冷めないうちに焼きそばを食べた。
「こういうとことかお祭りとかの焼きそばってなんか美味しいんだよね…」
「わかるー、家で食べる焼きそばと違うよなー」
「私も焼きそばはこういう味が好きだなぁ…」
「小雪も…焼きそば好き…」
「じゃあ小雪ちゃんに食べさせてあげる! はい、あ〜ん」
「あ…あ〜ん…」
自分の焼きそばを箸でつまんで小雪ちゃんの前に差し出せば、小雪ちゃんは小さい口を開いてパクッと口に収める。
「楓…お姉ちゃん出来て嬉しいんだね…」
「こんな楓初めて見た…」
「まあいっつもいじられる側だからなぁ」
お姉ちゃんと南、絢斗の言葉はもちろん僕には届かなかった。
さて、出会いました楓と涼くん!
今回はそこまでアクションなかったですがプール海編はもう少し続きます!
そして何より満を持してやっと登場した2人がいます!
満を持してっていうか誰やねんという言葉が聞こえてきますが...まあわかる人にはわかる...わかる人には...多分。
私が何を言いたいかわかった人はぜひコメントで教えてください笑
妃更は完全なるお嬢様キャラです。
小雪は清水くんの妹...そしてこのお話上おそらく1番のロリっ子です!
みんな好きでしょロリっ子!
楓はロリっ子...とは言いつつも148cmで身長にしては胸ちゃんとありますから......。
安心してください小雪ちゃんは膨らみ掛けのぺったんこ娘です!!
※作者はロリっ子は好きですが重度のロリコンではありません。(?)
まあこの2人に関しては気づく人もいるんじゃないかなぁ...。
今回はこの辺で...今日も長いあとがきにお付き合いいただきありがとうございます...。
次の話も続いているのでぜひ読んでいただければと思います!
ブクマ登録、高評価、コメントして頂いた数だけ楓が小雪ちゃんを撫でます!