甘えんぼ楓ちゃんのコラボ配信!
お姉ちゃんの水着を選ぶという難しいミッションをクリアして疲れ果てた僕は、お姉ちゃんに連れられてフードコートにやってきた。
ちなみにお姉ちゃんの僕の白と同じデザインの胸元にリボンは付いているものの大人っぽい黒のビキニになった。
無難なものを選んでしまったなとは思ったけどお姉ちゃんが僕に選んでくれた白の水着と对になっているようなデザインでこれしかないと思ったのだ。
僕と同じでパレオ付きだから今度の日曜日は僕もそっちかなぁなんて思いながら、ひそかに覚悟を決めたのだった。
「楓は今日も魚なんだね〜」
「なんか疲れちゃってシンプルに好きな物でいいかなって」
「でもその海鮮丼すごく美味しそう!」
「じゃあ…お姉ちゃんにはマグロをプレゼント…」
「ありがと〜、食べさせて〜」
そう言ってこちらに口を開けてくるお姉ちゃん。
僕は何も考えずにご飯とマグロを取ってお姉ちゃんに差し出す。
「あ、あ〜ん」
「あ〜ん…おいひ〜」
嬉しそうにしてるお姉ちゃんを見ると僕も嬉しくなってくるんだけどやっぱりちょっと恥ずかしい…。
「楓にあーんってしてもらっちゃった〜」
「うぅ…お姉ちゃんのもちょうだい!」
「いいよ〜。はい、あーん」
「あ、あ〜ん…」
僕の口にお姉ちゃんが頼んだローストビーフが入ってくる。
「おいしい…」
そんなことしながら食事を終えた僕達はフードコートを出てパンフレットとにらめっこ。
「ならよかった! 楓はこの後どこ行きたい?」
「えっと…僕はどこでも…?」
「私も特に用事ないけどこのまま帰るのもなんかもったいないよね…」
僕も今日は元々配信の予定は入れてなかったから特別急ぐ理由もないのでどこかで遊べるならそうしたい。
「うーん…じゃあ映画でも行っちゃう?」
「映画…」
「ちょうど見たいものもあるんだけど楓は映画やだ?」
「ううん、映画行きたい!」
映画かあ…長らく行ってなかったからなんだか楽しみになってきた!
「じゃあ映画館行こっか」
「あ、お姉ちゃんは何が見たいの?」
「今更?って感じするけど天候の娘見たいんだよね。行きたいとは思ってたんだけどなかなか行く機会なかったから」
それならちょうど僕も興味があった映画だ。
人気作品ともあってほとんど席は埋まってしまっていたが、運良く真ん中の方に2個隣同士で席が空いていたのでそこのチケットを買ってポップコーンを手に席に着いた。
『今は…雨だよ!』
『外見りゃわかるわ』
天気を口にする少女と家出少年のドタバタしながらも儚い恋愛物語。
ラストシーンの時隣をふと見たらお姉ちゃんはぐすと涙を流していた。
僕…? 泣いてなんか…ええ泣いたよ泣きました泣きましたよーだ!
思ったよりあっという間に映画は終わって映画館の外に出てくる。
「あぁ、面白かった〜」
「うぅん、僕も〜」
2時間座って身体が固まった僕達は、外に出るなり2人揃って大きく伸びた。
「楓ずっと泣いてたよね…」
「お、お姉ちゃんだって最後泣いてたよ!」
「わ、私は泣いてないよ〜? 涙で潤んで見間違えたんじゃないの〜?」
「目の下赤いのに〜」
ばれた?なんて笑うお姉ちゃんにつられて笑う僕。
水着やショッピングに思ったより時間をかけてしまって、お昼が遅めだったのもあって既に時刻は17時を回った頃。
「もうこんな時間だね…そろそろ帰る?」
「うん…そうしようかな…」
今までよりお姉ちゃんと近くになって楽しかった時間も終わり…正直寂しい…。
できることならもう少し遊んでいたいけどあんまり遅くなると心配されちゃうし…。
あ、そうだ…。
「お姉ちゃん、お姉ちゃんは今日忙しい?」
「私? 昨日頑張っちゃったから全然忙しくないよ」
「じゃあ…うち来る…?」
「え? 楓の家? そういえば一人暮らししてるんだっけ…大丈夫なの?」
お姉ちゃんが僕の今の家に来たことは無い。
かえでのデザインをしてくれてここまで面倒見てもらっているのに配信環境も見せれてないのは…というのは言い訳で本当はもっと一緒にいて甘えていたいというのが本心。
「配信環境見せたいし…もっと甘えたい…」
「甘えたいの? 私に?」
「うん…」
「じゃあしょうがないな〜、今日はとことん甘えさせてあげよう!」
そう言ってぐいぐい僕を引っ張ってお姉ちゃんが歩き出す。
なんかお姉ちゃんの方が乗り気っぽい…?
それにしてもこんなに甘えたい気持ちが強いなんて…僕は本当にお姉ちゃんという存在が欲しかったのかな…。
ーーーーーーーー
「へぇ…これはすごいね…」
「ぱぱが全部買ってくれて…」
「今日は配信しないの?」
「その予定…」
配信部屋のパソコンの前でうーんと唸るお姉ちゃん。
部屋の中はだいぶ整頓されてきて数種類のマイクもしっかりと棚に並べられている。
「うーん、配信しないの?」
「予定では…」
「配信しちゃおうよ、かえでのままとして私も出てあげる!」
「ええ!?」
それはつまりままがコラボとして来てくれるってこと!?
「大丈夫なの…?」
「私は全然平気! 配信してるから知ってる人結構いるし」
そうなのだ、不定期ながら星空月夜の絵描き配信はお姉ちゃんの声が可愛いくて喋りが面白いのもあってすごく人気なのだ。
僕も何度か見に行ったことはあるがその時はお姉ちゃんだとは思わなかった。
「じゃあ…お姉ちゃんとコラボ配信するって告知しないと…何時からにする?」
「私は何時でもいいよ、ご飯食べた後がいいから21時くらい?」
「じゃあ告知してくるね!」
「私のとこでも告知してくる!」
お互いのぱいなったーで告知をすればあっという間にものすごい数のリプとRTといいねが来る。
まだデビューして一週間くらいなのにこんなに有名になれたのはやっぱりお姉ちゃんと矢崎さんのおかげなのかな…。
夜ご飯はお姉ちゃんが僕の希望で簡単なチャーハンを作ってくれた。
お姉ちゃんの料理を食べるのは初めてで、結論から言うととっても美味しかった。
なんで彼氏いないんだろう…。
ーーーーーーーー
『ご主人様こんばんは〜!急な告知なのにこんなに沢山来てくれてありがとうございます!』
かえでちゃん待ってた〜!
かえでちゃん成分足りないところだったからマジでありがたい
さっきの告知ほんとなの?
星空月夜先生とコラボ!
『ほんとですよ〜、皆さんこんばんは〜。星空月夜です』
ほんまじゃん!
星空先生や!
いつも絵描き配信見てます!
かえでちゃんを産んでくれてありがとう!
『今日はままと僕で色々話したりしていくね!』
『皆さん最後までお付き合いくださいね!』
予定通り21時から開始したコラボ配信。
星空先生パワーでいつもより遥かに多いリスナーを迎えている。
お姉ちゃんと呼んでと言われたのだが配信だからままと呼ぶべきかお姉ちゃんと呼ぶべきか…。
と思っていた矢先にさっそくお姉ちゃんがそう呼ぶしかない状況を作った。
『かえでちゃんとはリアルでも面識があってこのコラボが実現したって感じですね〜。リアルではお姉ちゃんって呼んでくれてるんですよ?』
『お、お姉ちゃん!』
まじかうらやましぃぃぃぁ
かえでちゃんのお姉ちゃん呼び最高すぎて幸せ
お兄ちゃんって呼んで欲しい
メイドにお兄ちゃんとか呼ばれるの死ぬ自信ある
いつかそういう配信もありだな〜
それにしてもどうして星空先生がいきなりVtuberデザインしたか謎が解けたね
それな、企業ならともかく個人に?って感じだったし
リアルで知り合いは強い笑
『そういうわけなんですよ〜』
『僕はお姉ちゃんが星空ままだなんて全然知らなくて突然言われた時はほんとにびっくりして…』
『確かにものすごくびっくりしてたよね〜』
そらびっくりするわ
知り合いがこんな大物先生だもんな
でもその奇跡に感謝
私もかえでちゃんのお姉ちゃんになりたい…
え、リアル姉妹じゃないよね…?
『ほんとの姉妹じゃないけど小さい頃からお姉ちゃんみたいな存在だったんだよ!』
『私はリアル姉妹でも全然構わないんですけどそこは仕方ないですね…』
その後も色々リスナーとの会話を楽しみながらせっかくのコラボということで質問コーナーをすることにした。
主に僕の視聴者さんからお姉ちゃんへの質問だ。
[星空ままはかえでちゃんをデザインする時どんなことを意識して描いたんですか?]
『うーん、楓をイメージして…って感じですかね〜。楓をそのままVtuberにしたらと思って描きましたよ! メイドさんは楓の方からの希望でしたけど』
メイドさんはかえでちゃんの希望だったんだ!
え、待ってリアルからこんな可愛いとかもっと好きになる
かえでちゃんと会いたい〜!
冬コミ楽しみすぎる!!
[星空ままにお願いです! かえでちゃんの服を沢山デザインしてください! いつもの服も素晴らしいですけどもっとたくさんの可愛いかえでちゃんを見たいです!]
『予定してますよ〜!今日は2人で今年の水着を買いに行ったんですけど、その時選んだ水着をデザインしようかな〜って思ってます』
『お、お姉ちゃん! は、恥ずかしいから!!』
慌ててるかえでちゃん可愛すぎか!
どんな水着なのか気になるし水着助かる
それな、水着衣装楽しみすぎる!
かえでちゃん実際に着てると思うと(;//́Д/̀/)ハァハァ
変態湧いてて草
星空まま早く描いて!
YAZAKIぱぱは早く作って!
[星空ままは今後もVtuberのデザインをする予定はありますか?]
『今のところ予定は無いですね…依頼があればデザインしますけど基本的に企業Vtuberのデザインはしないつもりです』
『そうなの?』
『うん、一応私はIKUYAZAKIの所属イラストレーターだからね〜。IKUYAZAKIに依頼が来て私のとこに頼まれたら描く感じかな』
なるほど
おい誰かデビューしろ!
かえでちゃんレベルのモデルとか最強だなぁ
もしデビューしたとしたらかえでちゃんの妹か弟になるのか
最高やん
[IKUYAZAKI製アバターであるかえでちゃんがVtuber界隈を賑わせていますが一言お願いします]
『ありがたいと思ってますね〜!デザインした甲斐があったというものです!』
1時間の枠はあっという間に終わって、時刻は10時になっていた
「お姉ちゃんお疲れ様!」
「楓もお疲れ様〜!」
「お姉ちゃんやっぱりすごい…話すの慣れてるし惹き付けられちゃう」
「そう? ありがと!」
お姉ちゃんは人を惹き付ける何かを持っている。
僕にはないきっと才能みたいなものだと思う。
そういえばもっと甘えたくて家に呼んだのに結局甘えられていない。
「お姉ちゃんはこの後どうするの?」
「んー、もう少ししたら帰るかな〜。もうこんな時間だし」
そっか…やっぱり帰っちゃうよね…。
「泊まってかない…?」
「えっ? 楓それって誘ってるつもり?」
「え、いやっ、違うよ? そういう事じゃなくてもっと甘えていたいというか…」
さ、誘うなんて…。
僕はまだそういうことあんまりわかってないし…。
「それ私以外に言ったらダメだからね? 下手したら襲われるよ?」
「いっ、いわないよ! お姉ちゃんだからだし!」
「うーん、でも泊まる準備ないからなぁ…」
「そうだよね…じゃあまた今度お泊まり会とか…」
「なんか今日の楓はすっごい甘えんぼさんだね。いいよ、今日は泊まってく! こんな時間だしね!」
そう言ってお姉ちゃんは今日の買い物袋から何かを取り出す。
あ、あれってパジャマだ。
「実は私も新しいパジャマ買っちゃったんだよね〜、ちょうどいいからこれで寝ればいいよ!」
「下着とか平気…?」
「あ、それも新しいの買ったから大丈夫!」
「いつの間に…」
笑って新品の下着とパジャマを見せつけてくるお姉ちゃん。
確かに水着以外にも色々服屋さん回ってお姉ちゃんも僕も色々買ってたけど、まさかタイムリーに下着とかパジャマ一式を買っていたとは…。
でもこれならお姉ちゃんとお泊まりできる!
「じゃあ僕お風呂入れてくるね!」
「一緒に入る?」
「え、っとそれはちょっと恥ずかしいかも…」
「元々男の子だったから? 私は気にしないのに〜」
さすがにそれは恥ずかしいからお断りさせてもらおう…。
お泊まりまでしてもらって甘えると言っているのもなかなかだとは思うけれど…。
ーーーーーーーー
「楓〜、お邪魔するね〜!」
「え、お、お姉ちゃんっ!?!!!???」
「やっぱり一緒に入りたいよ〜?」
結局お風呂に突入してきたお姉ちゃんのせいでお姉ちゃんの裸をまじまじと見つめることになってしまった…。
元男の子としては非常に悩ましかったけど女の子として生きていくならちゃんと慣れなきゃなのかななんて自分に言い聞かせて気持ちを押さえ込んだ僕であった。
その夜はお姉ちゃんに抱かれて眠るまで撫でてもらったりと散々甘えさせてもらった。
女の子になった自分を受け入れたつもりでも心のどこかで不安やストレスがあったらきっと誰かに甘えたくなるのは仕方ないのかもしれませんね...。
兄弟姉妹というのは時に親以上に身近に甘えられる存在だと思います。
楓にとって空さんは小さい頃から姉のような存在であり無意識に姉を求めていたのかもしれません。
さて、空さんのことをお姉ちゃんと呼び始めた楓ではありますが次次回くらいにはいよいよ夏の海へ出かけることでしょう...初めて女の子として海に行く楓を待ち受ける試練とは....!
次回はあまおとも忘れ去っていた収益化とスパチャ関連の話を入れようと思います笑
ほんとに忘れてました笑
では今回も最後まで読んでくれてありがとうございました!
ブクマ登録、高評価、コメントしてくれるとスパチャ額が上がっていきます!
コメントしてくれるとあまおとのやる気がもりもりアップします!笑