きさきちゃんはびっくりする / 空お姉ちゃんと水着選び!
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天上 きさき @Tenjo_kisaki
召使いのみんな〜!
今日は雑談配信してくから8時に集合だよ〜!
(リプ)783(RT)2765(♡)5833
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今日も私はきさきになる。
いつも変わらず召使いのリスナーたちに答えるように期待されたきさきになっていた。
リスナーからのマシュマロを消化しながらのんびり雑談配信を楽しむ。
[きさきちゃんの最近の推しは誰ですか? 期待の新人とかいますか?]
『うーん、最近の推しは変わらず吹雪ちゃんかな〜。期待の新人はちょっとわかんないなぁ…』
吹雪ちゃん強いなぁ…
前のイベントの時も終わったあとの配信大興奮だったもんね…
新人と言えば1週間前くらいにデビューした甘夢かえでちゃんでしょ!
きさきちゃん知らなかったの意外だな〜
『甘夢かえでちゃん? 最近他の人の動画見る時間なくて…ちょっと調べてもいい?』
夏休みも残り2週間となれば課題に追われる学生も増えてくるだろう…私もこの約一ヶ月はVtuber活動に時間を回しすぎたせいで全く課題が進んでいない…。
リスナーから聞いた新人さんの動画を見るべくVtubeで甘夢かえでの名前を検索すると、既に登録者10万人に迫るチャンネルが一番上に表示される。
自己紹介動画以外はまだ配信しかしてないようでアーカイブがいくつか残っている。
新人でこの登録者に再生回数だとしたら、どこの所属だろうか。
『結構登録者も多いね。どこの所属なの?』
そう言って甘夢かえでの自己紹介動画を再生する。
その子個人勢だよ
かえでちゃん一応個人勢だよね
形としてはIKUYAZAKI所属なんだっけ?
勢いあるよね〜
企業勢顔負けな伸び方してる
『え? 何ですかこの子…』
きさきちゃん?
固まっちゃった…
まあかえでちゃんなら仕方ないよね〜
この子ならねぇ
『え、これで個人ですか? 意味がわかりません』
きさきちゃんキャラ崩壊してるキャラ崩壊してるよ〜
きさきちゃんマジトーンじゃん笑笑
イメージ崩壊してるよ〜
きさきちゃん〜
『だって意味わかりません? わたしのモデルと比べ物にならないくらいすごいですよこれ』
キャラ崩壊してるきさきちゃんも悪くないな
その子のアバター作ったのIKUYAZAKIだよ
だれそれ
調べればわかるけどなんかすごいデザイナー
きさきちゃん知らない?
『そうなのですか?IKUYAZAKIがアバターを…それはすごいですね…』
きさきちゃんのイメージがどんどん壊れていく…
なんかいつもよりお嬢様っぽい
それな、いつもの天真爛漫な感じとはまた違うけどすごくいい
でも悪くない踏んでほしい
変態湧いてて草
IKUYAZAKI担当はずるいよなぁ
『この子、絶対注目株ですね。ちゃんとチェックしときます』
おーい、きさきちゃんキャラ崩壊はもういいの〜?
かえでちゃんはチェック必須だよね
ザックくんも注目してるよね〜
キャラ戻ってきて〜
『え、あ、ごめん〜。なんかびっくりして変になっちゃった』
戻ってきた〜
でも敬語のきさきちゃんもいいかも
たまに発動してくれたら嬉しい
『今後気をつけるからもうないかな〜、だって私はこれが普通だからね〜』
もう遅い笑
まあそういうことにしとこ
意外なきさきちゃんが見れたから満足しよう
次のまろいこ
『あ、そうだね! 次のまろ行こっか〜!』
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絢斗<今度のどうする?]
楓<どうするって何が?]
絢斗<ほら、女の子になっちゃったから行きにくいかなと思ってさ。無理しなくていいよってこと]
楓<あ、そういうことね。うーん、僕は全然平気だよ]
絢斗<楓って強いよな…俺が楓の立場になったら多分無理だわ]
楓<そう? あ、でも水着とか買わないと…女の子の水着ないから…]
絢斗<あ、そっか、じゃあ買いに行かないとか〜]
楓<女の子の水着かあ…買いに行くの勇気いるなぁ…絢斗一緒に来る?]
絢斗<いや…それは流石にパス…]
楓<だよねぇ…]
絢斗<お母さんは?]
楓<ままにお願いしたらちょっと大変そうだから…南にお願いしようかな]
絢斗<おう、ごめんな付き合えなくて]
楓<全然大丈夫、しょうがないよ…]
楓<じゃあまた日曜日に!]
絢斗<水着楽しみにしてるな〜!]
楓<…なんか変態っぽい]
絢斗<仮にも女の子が水着買いに行くって言ったらこう言うべきかと思って]
楓<絢斗が元男見て鼻の下伸ばすような人じゃないと願ってるね]
絢斗<伸ばさねえよ!!]
楓<ならよかった]
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「楓く〜ん!」
翌日、早速水着を買いにテラ〇モールにやってきた僕。
辻堂駅の出口でぶんぶん手を振りながら僕の名前を呼ぶ空さんの姿。
「空さん! 今日は急なのにありがとうございます」
「ちょうど暇だったんだから全然気にしなくていいよ〜(このために徹夜したけど…)」
目の下に大きなクマを作った空さんが何か呟いた気がしたがよく聞こえなかった。
合流できた事だしさっそくとテラ〇モールの方へ歩き出す。
「それより、私でよかったの? 南誘ってたんでしょ?」
「そうなんですけど…今日はどうしても難しいって…」
「そっかぁ、南も忙しいのかな…」
「空さんも全然寝れてないように見えますけど大丈夫ですか?」
「私? 全然平気! 元気元気…」
「目の下クマ作ってますけど…?」
ハッとしたように目の下に手を当てる空さん。
「えーと、これは楓くんと買い物行くと思ったら楽しみになっちゃって〜…サボってた仕事全部頑張っちゃいました…」
「徹夜したんですか…嬉しいですけど空さんが体調崩しちゃったらダメなんですから気をつけてくださいよ…?」
「楓くんはいい子だなぁ〜」
「もう…」
そう言って立ち止まって僕を抱きしめる空さん。
僕はされるがままに頭を撫でられるのを心地よくなってしまっている。
そういえば未だに僕のことを楓くんと呼ぶのは空さんくらいだ。
「そういえば空さん…その呼び方…くんって」
「え? 前に今まで通りでいいって言ってたの楓くんだよ?」
「あの時はまだ女の子を受け入れられてなかったって言うか…」
「もう呼び方変えてほしいってこと?」
女の子になった頃は確かに女の子扱いされるのも違和感だらけで前通り呼んでくれるのが嬉しかったのに、最近空さんのくん呼びが違和感だらけになってきている。
これも女の子を受けいれたからなのかもしれないが、今はくん呼びは嫌になっている僕がいる。
「えと…はい」
「じゃあ…楓ちゃん? ん〜、でもちゃん呼びは私もまだ慣れないかも…」
「楓って呼び捨てじゃダメですか…?」
「呼び捨てでいいの?」
僕は空さんに抱かれたまま上を向いて、空さんの顔を見てはいと頷いて再び空さんの手に頭を委ねる。
「じゃあこれからは楓って呼ぼうかな! 確かにすっかり女の子になっちゃった楓をくんって呼ぶの私も違和感だったんだ〜」
「僕もその方が女の子として見てもらってるって感じがして嬉しいです…」
そう言ってもう一度空さんに顔を埋めて撫でて貰ってから、空さんの手を引いて再び歩き出した。
僕もこんなふうに話せるお姉ちゃんがいたらよかったな…南が少し羨ましいかもしれない。
空さんみたいなお姉ちゃんとお出かけしたらきっとこんな感じに幸せになれる。
「お姉ちゃん…」
「え? お姉ちゃん?」
そう言われてハッと我に返る。
「あっ、ごめんなさい空さん…僕にも空さんみたいなお姉ちゃんがいたらな〜って思ってたらつい…」
「ううん、全然…お姉ちゃんかぁ…」
「空さん…?」
空さんは何か小声で呟きながらうんうんと顔を振っている。
しばらくそうしてうんと頷いた空さんは僕に向き合って僕の両手を取って口を開く。
「楓! 今日から私のことはお姉ちゃんと呼ぶこと!」
「えっ? お、お姉ちゃん…?」
「今日から私が楓のお姉ちゃんになってあげる!」
そう言って再びぎゅーっと抱きしめられる僕。
確かにそうは思ったけど…急に空さんはどうしたんだろう…。
でも僕も空さんにこうして甘えるのは好きだからそれもいいのかも…。
「楓はお姉ちゃんが欲しかったんでしょ? 私がなってあげる! それからお姉ちゃんには敬語を使わないこと!」
「え、えーと…わかったよお姉ちゃん…」
「うんうん、南は空ねえ空ねえってお姉ちゃんって呼んでくれないからな〜」
「そ、そうですね…?」
「敬語禁止! 私お姉ちゃんって呼ばれたかったんだ〜」
「そうなの…? お姉ちゃん…」
僕が言われた通り敬語を使わずに話すと空さんは嬉しそうにヨシヨシと僕の頭を撫でてくれた。
空さんがお姉ちゃん…昔から確かにそういう存在だったしこれもいいのかも…空さんもいいって言ってくれてるしもっと甘えたいな…。
もっと甘えたいしこうやって撫でてくれるの嬉しいんだけど…
「お姉ちゃん…すっごい見られてる…」
「え? ほんとだ〜、じゃあ行こっか楓!」
なんか今日の空さんはちょっと変…徹夜したからなのかなぁ…。
でも僕も空さんに気兼ねなく甘えていいならそれは凄く嬉しいし…今日は甘えとこうかな…!
再び歩き出して店の入口で店内のパンフレットを貰って水着の売ってそうなお店を探してみる。
今まで全然気にしたこともなかったから全然わからない…。
「どこのお店行くか決まった?」
「えぇと、全然わからない…」
「まあしょうがないよ…じゃあ楓はどんなのがいいとかあるの?」
「うーん…女の子の水着は全然わからないからお姉ちゃんが選んでくれたら…」
「お姉ちゃん…うんうん、お姉ちゃんに任せて! バッチリ似合うの選んであげる!」
そう言ってパンフレットを閉じた僕の手を取って歩き出す空さんに引っ張られてテラ〇モールの中に入っていった。
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「楓は素材がいいから悩んじゃうなぁ…」
「うぅ、僕にはよくわかりません…」
とあるお店にやってきた僕と空さんはさっそく色んな水着を見ながら話していた。
右も左も前も後ろも上の方まで水着だらけでつい一か月前まで男の子だった僕にはなかなかいずらい空間だ…。
「楓は凄く清楚で可愛らしい感じだからあんまり派手なものとか際どいのより可愛らしい水着の方が似合うと思うんだよね〜」
そう言って手に取ったのは薄ピンクでリボンとフリルが付いた可愛らしいビキニタイプの水着。
ビキニとは言っても下はフリルがスカートみたいになっていて上もフリルで胸元が隠されるため、際どいという印象は受けない。
「楓はこういうのどうかな?」
「とっても可愛いと思う…かえでによく似合いそう…」
「じゃあ今度この水着を着たかえでのイラスト書いて先輩に作らせちゃおうかな〜」
そう呟いたお姉ちゃんは同じようにフリルをあしらえた水色の水着などいくつか手に取って僕に見せてくる。
どれも可愛くて自分で言うのもあれだけどよく似合うと思う。
胸はあんまりないから胸元が強調されないこのデザインなら胸の大きさも気にならないだろう。
「とりあえずこれ着てみよっか。それでもうちょっと考える!」
「じゃあ試着してくるね…!」
結局お姉ちゃんも一緒に試着室に入って、選んできた水着を試着することになった。
着るためには服を脱がないといけないからお姉ちゃんとはいえちょっと恥ずかしい。
今日の服は前にお姉ちゃんに選んでもらったものを着てきた。
一枚ずつ脱いでいくのだがお姉ちゃんの前だとものすごくドキドキして恥ずかしい。
下着以外全部を脱ぎ終わった僕にお姉ちゃんが声をかけてくる。
「楓思ったより胸あるね…」
「そ、そう…? 僕小さいくらいだと思ってた…」
「うん…確かに南とか私よりは小さいかもだけど十分だと思う…形も綺麗だしいいなぁ可愛いなあ〜」
「お姉ちゃんの方がみんな羨ましがると思う…」
そう?とこてんと顔を傾けて一つ目の水着を手に取るお姉ちゃん。
お姉ちゃんってすごく綺麗だしスタイルも良くて絶対モテるのに彼氏とか浮いた話を全く聞かない。
お姉ちゃんが最初に取ったのは最初に選んだ薄ピンクのフリルとリボンの付いた水着。
可愛らしくてちょっと子供っぽいかもしれないけど僕の身長なら違和感なく可愛く着れると思う。
「うん、すごく似合ってる…ちょっと子供っぽいけど楓はどうかな?」
「とっても似合ってると思う…」
下着姿の自分は散々鏡で見てきたが女の子の水着を着る自分は初めて見る。
不思議なことにもう慣れたはずの自分の体を見るのがすごく恥ずかしい。
お姉ちゃんがいるからかもしれないが水着姿の自分は自分でないようで頬が熱くなるのを感じる。
「楓はあんまりな感じ…?」
「ううん、すごくいいと思うんだけどなんかドキドキしちゃって…」
「あ、女の子水着着るの初めてだもんね…じゃあ気に入ってくれた?」
「うん! でも他のも着てみたいかも」
そう言って持ってきた水着を次々と着ていく僕。
水色のフリフリした水着は同じくとても似合っていた、胸元にリボンに結ばれた白のビキニにパレオ?を巻いた大人っぽい水着はちょっと大人っぽくて清楚な感じで良かったけど特にドキドキして仕方なかった。
その後も店内に戻っていくつか見て回ってまた試着もしたけど結局手元に残ったのは最初に選んだ薄ピンクの水着とパレオを巻く白いビキニ。
「うーん、どっちも似合ってるんだよねぇ…」
「こっちはやっぱりちょっと攻めすぎじゃないかな…」
「パレオあるしいいと思うんだよね…楓が思ったより胸あったから、こっちもすごく似合ってた…」
「うーん…」
両手に乗せられたそれぞれの水着とにらめっこして唸る僕とお姉ちゃん。
僕としても心が安心なちょっと子供っぽい薄ピンクの水着か…それともちょっと攻めたドキドキする白い水着か…。
「両方買っちゃおうか」
「えっ、両方?」
「うん、片方は私が買ってあげる」
「え、そんなの悪いよ…」
「その代わりちゃんと両方着てくれるならね!」
言われてもう一度手元の水着を見つめる。
どっちも似合ってたし正直今は決められそうにない…。
「うん…じゃあお姉ちゃん…こっち買って…?」
「うん、任せて! じゃあ早く買っちゃって次は私の選んでね!」
「えっ? お姉ちゃんの水着選ぶの…?」
何言ってるのって顔でこちらを見つめるお姉ちゃん。
待って聞いてない…お姉ちゃんの水着を僕が選ぶの…?
「だって私だって今年の水着買ってないんだから…今度海行く時ちゃんと新作着たいじゃない」
「えっ? お姉ちゃんも来るの?」
「え?」
再び何言ってるの?という顔で見つめるお姉ちゃん。
「もしかして南何も言ってないの…?」
「えっと…なにも…」
「あのバカ…とにかく私も行くから!」
「それは凄く嬉しいんだけど…僕が選ぶのは…」
「楓の選んであげたのに私の選んでくれないなんてひどいよ〜?」
だって僕自分の選べないくらいわかってないのに…。
とか思ってる間にさっさか会計を済ませて袋を手渡してくるお姉ちゃん…。
「楓が似合うと思う水着を選んでくれればいいの、ほら、選んで選んで」
「わかったよぉ…」
これは逃げられないなぁとお姉ちゃんに似合う水着を考え始めるのだった。
文が安定しないなぁ...日によって気分によって聞いている曲によって調子が変わるの嫌になります...安定して読みやすく面白い文章がかけてこそって感じでこれからも頑張りたいです!
さて、今回は海へ向けて水着を買いに行きます!
それから1話のステージ依頼となるきさきちゃん登場です。
まあここで登場した意味というのはおいおいって感じですかね。
実は頑張っちゃいまして次の話も既に書き終わりました。
午前中で2話書き上げるやる気は褒めて欲しいんですけど文が納得行かない悲しい2話...多分もう1話くらい今日中に書くと思います。
海回に向けた話なので比較的ストーリーを作りやすいです。文章酷いけど...。
それでは今回も最後まで読んでくださりありがとうございました!
ブクマ登録、高評価、コメントしてくれると楓の甘えんぼ度が加速します!笑