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青い星にて戦士は往く  作者: Agaric
第3章
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第4話 情報交換

前話の最後のあたりを書き直しております。

話の流れにも関わる部分ですので、そちらを読み直してから、こちらにお進みください。

 エミーリアを、強くする。

 目標は、話にも出ていたレピスタよりも強くなること。

 ならば、そのレピスタについて、調べてみる必要があるだろう。

 地球の有名な思想家も、『彼を知り己を知れば百戦殆からず』と言っていたという。

 まさにその通りだろう。

 まず、相手を知る必要があるのだ。

 ということで、とりあえず、スマートフォンでレピスタについて検索してみる。

 すると、ニュースサイトに、灰神楽自治区の王としてのレピスタの記事が掲載されていた。

 写真から見るに、その身長は3mほど。

 肌の色は青白く、髪の毛と髭の色は白。

 堀の深い顔をしており、頭をぐるりと一周するように角が生えている。

 頭に冠を被り、ゆったりとした豪華な服を着るその姿は、様になっていて格好がいい。

 服装によって体格はわかりづらいが、かなりガタイはよく、力は強そうである。

 その写真では人受けの良さそうな、温和な笑顔を浮かべている。

「そのレピスタって、この人のこと?」

 ニュースサイトに掲載されていた写真をエミーリアと作太郎に見せる。

 すると、二人とも頷いた。

「いかにも。彼奴がレピスタである。」

 作太郎が、忌々しそうに言う。

 そのニュースサイトには、レピスタの簡単な情報しかない。

 灰神楽自治区で王の交代があったこと、その名前がレピスタであること。

 それくらいだ。

「皆操られている。不利な情報は、出ない。」

 エミーリアがそう言う。

 そうなれば、灰神楽自治区の現状は、外からではわからない。

 何も情報が表に出ていない現状、軍や警察は表立って動くことはないだろう。

 怪しいところが何もないなら、軍も警察も動かないのだ。

「わかった。まずは、軍に裏で情報を流してみるよ。ただ、軍は動けないと思う。公になっている情報が少なすぎる。」

 そう言うと、二人は頷く。

「ただ、事前に話を通しておいて、エミーリアがレピスタを害しても、どうにか見逃すようにはできるかもしれない。」

 エミーリアの望みは、自らレピスタに手を下すことである。

 王に手を下すのだ。そのままでは、犯罪者まっしぐらである。

 エミーリアが悪者に仕立て上げられるのは、気に食わない。

「で、そのレピスタとやらはどれくらい強いの?」

 そして、エミーリアがレピスタと戦いに行く以上、重要な部分は、そこである。

「少なくとも某よりは、強い。」

 作太郎が答える。

 作太郎は、先ほどの手合わせから察するに、かなり強かった。

 実力を隠した先ほどの状態で硬銀クラスは確実、本気を出せば緑透金クラスには軽く届くだろう。

 隠している実力によっては青鉄クラスの可能性すらある。

 その作太郎が、自分よりも強いと言うのだ。

 その強さは、相当だと考えた方がいいだろう。


 その後、1時間ほど情報交換を続けたが、新しい情報は出なかった。

 レピスタについて分かったのは、3点。

 1つ目、少なくとも作太郎よりは強いこと。

 2つ目、自治区の住民を操作する力があること。

 3つ目、少なくとも、エミーリアの敵であること。

 実際のレピスタがどのような者なのかは、わからない。

 しかし、エミーリアの敵であるのは、確かなのだ。


 次に、こちらの戦力を確認しなければいけない。

 今回、レピスタに対して挑むのは、エミーリアである。

「本当に、自分で倒したいんだね?」

 エミーリアは、頷く。

 その意志は、強固だ。

 どうやら、俺や作太郎にも話していない話がありそうである。

 ただの独裁者ならば、外へ助力を求めればいい話なのだ。

 それでもエミーリアは、どうしても自分で倒したいと言う。

 自分が囚われている以外の、何か事情がありそうである。


 まあ、いい。

 エミーリアにどんな事情があろうと、エミーリアがレピスタを倒したい、という構図は変わらないのだ。

 ならば、エミーリアの今後の強化方針を決めるためにも、本当の実力を把握しておく必要があるだろう。

 レピスタは、エミーリアよりもはるかに強いようだ。

 エミーリアは、強くならねばならない。

 そのためには、現在の実力を把握しておくのは、必要なのである。

「じゃあ、明日、手合わせをしようか。」

 実力を把握するには、本気で戦うのが、最適なのだ。

 俺の言葉に、エミーリアも真剣な顔をして頷いている。



*****



 宿で、一夜を明かした。

 今回も、エミーリアは同室でいいとのことであった。

 エミーリアを意識し始めてしまったので、同室は、少し嬉しい。

 時刻は午後7時。

 あの後、作太郎は俺たちについてくることとなった。

 俺とエミーリアが同室だと知った時は、作太郎は、カラカラと笑い、言い放った。

「エミーリア嬢にも、春が来たのですなぁ。」

 その言葉にエミーリアは赤くなっていたが、否定はしなかった。

 

 エミーリアとロビーに出ると、作太郎がロビーのソファで新聞を広げていた。

 作太郎も同じ宿に部屋を取り、一夜を過ごしたのだ。

「おや、お早いお目覚め。昨夜は、お楽しみではなかったので?」

 作太郎が、そんなことを言う。

「いや、まだそこまでではないからね。」

 俺が否定する。

 エミーリアの顔は赤い。

「ふむ。メタル殿は、外見よりも経験豊富なご様子ですなぁ。」

 俺が全く慌てたりしなかったのを見て、作太郎が言う。

 まあ、長く生きているので、こういった経験は初めてではない。

 しかし、その言葉を聞いたエミーリアの様子は、一変した。

「メタル・・・。遊び人・・・?」

 エミーリアの表情は、本気で驚き、絶望しているものである。

 これは、いけない。

「え!?ああ、そんなこと無いよ!?作太郎も、なんてこと言うんだ!」

 エミーリアは、ほんのり涙目になり始めている。

 これは、誤解を解かなければいけない。


 その後、長命種で長く生きているから落ち着いているだけだということを理解してもらうのに、30分ほどかかる羽目になったのだった。



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