第五章、水鏡
あの夜から二日はたった。小雪ちゃんからは連絡はない。俺からも気恥かしくてまだメールも打ってない。俺は考えていた。小雪ちゃんをデートに誘ってみようと。そのことで慎に聞いてもらおうと思い、電話をかけようとした。と、同時に慎からの着信。
「もしもし慎?今おれもちょうど慎に電話しようと思って電話握ったとこ。奇遇やな。」
「ほんまに?いやおとといの火曜日どうだったんだろうと思ってなあ。」
「まだ連絡もこんし、俺からも連絡してないんよ。で、ちょっと、デートに誘おうと思って、おれの案聞いてくれるか?」
「おう、で、どんなんだ?」
「小雪ちゃんは笛でお囃子を吹いていた。だからきっと徳島らしいとこがいいと思うんや。徳島の奴って案外地元のお勧めスポットとかはいかないだろう。できたら、小雪ちゃんに阿波踊り見せてあげたいんやけんどな・・・。」
「晃ちゃん、いいとこあんでえ徳島に。眉山のほうにある阿波踊り会館が。あそこは毎日有名連が日替わりで踊りこんでるでえ。」
おお、ほうじゃほうじゃ、そんな建物あったな!
「慎ちゃんやんでー。ほれありやな。小雪ちゃん喜んでくれるかも。あそこは県外客が多いけんきっと小雪ちゃんもいったことないやろな。うんうん。」いろいろ二人で話しているうちにだんだん内容は固まってきた。
「慎ちゃんありがとな♪」
「おう、お互い様じゃ。僕の時も晃ちゃんにようしてもらったけんなぁ。がんばれよ!」
でアドバイス、激励をうけ電話を切った。なんかまた男同士友情を深めた気がするぞ。慎ちゃんありがとう!
そう、慎ちゃんとあやちゃん二人が結ばれたのは、自分で言うのもなんだが、実は俺のお陰でもある。
中学から仲良しの俺たちが、あやちゃんが慎の事をずっと思っていたということに気がついたのは、高校卒業するぐらいだった。
あやちゃんの性格上、慎に好きな子ができようと、彼女ができようと、慎を思う自分の気持ちを押し込んで、ずっと励ましたり、応援したり、助けてあげたりと、懸命に思い続けていたのだ。見るに見かねて、二人を引き寄せようと走り回った、つまり二人のキューピットになったわけだ。幸い、見事二人はカップルになったわけだ。お互い思いやり、助け合いながら仲良くやっているようで嬉しく思う。
しかし、自分のこととなるとなかなかすっぱりしない。しっかりしろ俺!!よし、とりあえずメール送ってみようか。
さて、初めてのメール何を打とうか・・・。やはりシンプルにがいいか。
『小雪ちゃんこんばんは。元気にしよるで?、来週の火曜日一緒にでかけへんか?返事待ってます。晃ちゃんより★』
「よし、そーしんっつ!!ぅおりゃっつポン。」
恥ずかしながら俺はドキドキしながら返事を待っていた。気持ちは正に年頃の少女のようだ。(笑)
返事は十分もたたないまま返信が返ってきた。
「お、もんてっきた。OPEN!!ぽん。」
いれたてのコーヒーを一口くちをつけた。そうこうするうちに返ってきた。
メールにはひらがなで、
「こうちゃんたすけて」