第二章、彼女の心
朝、午前お酒の配達に俺は向かっていた。車を運転しながら昨日のことを思い返していた。なぜ彼女はそんなに悲しそうな顔をしていたんだろうか。ふと信号待ちの時歩道を楽しそうに歩いている若い女の子たちの姿が目に飛び込んできた。
ー小雪ちゃん大体あの子らぐらいの年代だったよな・・・。あの年代なんて一番楽しい時期やん。ー
その日のお昼、友人のあや子とランチをする約束だった。あや子は俺の友人の慎の彼女だ。来年結婚も決まっている。俺、慎、寛、あや子は昔っから仲がいい。今日はあや子の要望でランチはパスタになった。富田町の隣の銀座にある、徳島の素材を使った体に優しい健康指向のイタリアンだ。
俺は配達が少し手間取ったせいで、約束の時間十五分少々遅れてしまった。
「すまん、すまん。仕事終えるんおそなってしもうて。」
あや子はほっぺたを膨らませ、変顔でこっちをにらんでいる。
「遅い!今日は晃ちゃんのおごりやな。」
「いらっしゃいませご注文お決まりでしようか?」
「えっと、小海老のトマトソース冷静パスタが一つ、四種のチーズピザひとつ、阿波お鳥のから揚げひとつ、クラムチャウダー二つ、生ハムサラダ一つ、デザートにコーヒーのブラマンジェ一つ。晃ちゃんは?」
まじかよ、こんなに食えんのかよ・・・
「じゃあ、ミネストローネとたらこのパスタで。」
こじんまりしているお店なのですぐにお客さんでいっぱいになってしまう。先にあやちゃんが席取ってくれてたから助かった。。けっこうここおいしいんじゃよな・・・
「慎これなかったんだね。」
「そうなの、月末だと忙しいみたいなの。」
慎はコーヒー会社に勤めていてコーヒー以外、業務用食品なども配達したりしている。
「なあ、あやちゃん、俺は男だから女の子の気持ちや分からんけんど、若い女の子がすごい思いつめたような顔してる時ってだいたいなにに悩んでるんやろか?」
「なになに?晃ちゃんにも春がきたん?うまいこといってるん?一緒に合同結婚式しちゃう?? 笑」
「ほんなんではないんやけど、偶然知り合った女の子がおって、ななんか心ん中になんか重たいもん抱えとるみたいに見えると言うか、だいたい女の子の悩むのってどんなことなんやろと思て…」
「ほんまに晃ちゃんはやさしいなあ。」
注文したお皿が次ぎ次ぎに目の前に並んできた。
「隣の机の上におかせていただきますね…。」
ちょっと呆れたなスタッフ。こんなに食えんのかよと思っているのであろう。
大きな口にパスタをほうばるあやちゃん。見ている方が気持ちよくなるくらい食べている。
「で、晃ちゃんはその子に一目惚れしたん?」
あやちゃんの視線がちくちくささってくる。ちょっとニヤケながら。
「ほうやなぁ…だいたい年頃の女の子の主な悩みはだいたい、彼氏の事か親と上手くいかない事か友達関係ぐらいと思うけんど…まさかその若さでローンで首が回らないとかそんな難しい事じゃないと思うよ。」
「なるほど…やっぱ女の子のことは女の子に聞くのが一番。うんうん。」
「あ・・・あとそれと、心の風邪とか・・・。」
あやちゃんはクラムチャウダーをすすっているスプーンをいったん置いた?。
「心の風邪っていうのは??無知ですまん。」
「うーん、つまり心の病気。うつ病とかじゃよ。」
そういいながらまたあやちゃんはおいしそうに料理を食べだした。