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土方歳三の転生前

「五稜郭もおちるか・・土方君降伏に賛同願えないか?」


五稜郭は落ちる。

しかし、先に逝った新選組の仲間達の思いを考えると・・

「勝さん、私の場所は落ちない。新選組は負けていない!」

「土方君・・、君だけ勝っていても他の場所が負けてるんだよ。それに新選組と言っても君含めて10人いないじゃないか。君の気持ちはわかるが、先に逝った者のためにも、これからの日の本を支えるため、見守るため、生きようじゃないか?」


確かに新選組は名ばかりだ。

しかし、・・

「勝さん、新選組は無くなっていない。俺が生きてる限り新選組は終わらない!会議は終わりでいいですね?」私は少し笑い席を立った。

そうだ、自分でも馬鹿げていると思い笑ったのだろ。


「土方君、まだ会議は終わってない。席に着くんだ!君を死なせたくない!」

「勝さん、私は死にませんよ。

近藤さんや沖田総司との約束がありますから。


それのりも相手へ、何故わたしが鬼の土方と呼ばれるか見せて来ますよ。」


刀の時代は終わり、近代戦術が活かされ鉄砲か主流か・・・当たり前だが何だろうか、愛刀「和泉守兼定」をジッと眺め・・・(そうか・・暴れ足りないんだな・・。近藤さん、総司、最後は鬼とは、何か土産話もって行来ます。)


西洋風の服装から羽織へ着替え、「和泉守兼定」を手に持ち、俺は笑ってる事に気付いた。


(楽しいのか。刀など今の戦争でほとんど役に立たない。だからこそか・・・


どうすれば効率良く相手を戦闘不能に出来るか、刀の使い方を今でも考えている・・・

人の殺し方を考えているのか。


この気持ちは俺の様な鬼と呼ばれるぐらい暴れた人以外ではわからんだろうな。)

俺はそのまま館を出て行く。


「土方さん?どちらに?降伏で会議がすすんでると聞いたのですが?」


俺は口元が緩んでいる事を自覚し

「着いて来たい奴だけ来い。『誠』の旗を掲げよ!『鬼』を見せてやる。」

「土方さんが出る!皆!続くぞー!」


「門を開けろ!この土方 鬼を、見せに参る。」

城門が開き前方には数万の軍勢。俺の後ろは新撰組の隊員と途中から参加した者併せて数十の友。


「目指すは大将首!前だけみろ!」

俺は愛刀「和泉守兼定」を手に持ち一呼吸し。

「新選組!副長が土方の後ろは任せたぞ!突撃!!」


『誠』の旗を背負い数万が構える敵陣へと突っ込んだ。

俺は楽しいのだろう、口元が緩む。


鉄砲?銃口の向きが分かれば何処に飛んでくるかぐらいわかる。そんな普通の射撃でこの土方は倒せん。


刀で横に切り縦に切り、突く。相手とは一度しか会わないであろう戦場。硝煙、血の匂いが何かを、感じさせる。(突きが効率良く、戦闘不能にしやすいか。この数だしな。)


俺は突を基本として暴れた。

鉄砲は銃口の向きから推測し、接近戦は俺の相手にならない。


「な、なんなんだアレは!?強すぎる!あの羽織は!?新選組だ!鬼が出たぞ!」

周りから新選組組と鬼の名が出始めた。

俺は口元が更に緩む事を覚えながらも、愛刀『和泉守兼定』を突き全て一撃でトドメを刺していった。


自然と俺が進む先には道が出来始めた。


「ほ、報告です。五稜郭から鬼が現れました!

鉄砲も当たらずこの本陣目指して向かって来ています!誰も相手になりません!」

「落ち着け!相手は何人だ?鬼などいるわけがない!特徴を言え!」

「はっ!旗は『誠』に隊は数十!しかし、その強さは異常です!鉄砲を避けるなど人ではありえません!」


(『誠』の旗か・・・新選組の亡霊、土方か!)

「直ぐに伝えるのだ!相手への対象を数名に絞り前以外、横、後ろからも射撃を行え!何としても本陣に近づけるな!」


相手もバカではないな。

全方位からの射撃に切り替えたか。それでもこの土方を止めることはまかりならん!

自然と笑みが出る、既に服は返り血で染まり、刀も血を吸っている。


第一陣第二陣、第三陣・・ここが最後の陣か・・・

俺の後ろに友は居ない。


周りは全て鉄砲を構えた敵さんか。


「そこの方は土方殿ですかな?」

「ああ・・新選組副長が土方歳三である!大将首もらいに参った!」

「土方殿。貴方は鬼だ。この数万の軍勢に突撃を行い、この大将がいる陣まで単騎で来るとは。

貴方の名前や功績はこの後の時代永遠に伝えらて行くでしょう。貴方の様な方に二度と会いたくはないですがね。


全員構え!」


俺は楽しかったはずだ。この時代、俺以上に人を殺めた者はいないだろう。

戦場を、駆け抜け血にまみれる愛刀『和泉守兼定』を眺め・・・悔いはないはずだ。ないはずだが、何か足りない気もする。


「撃てー!」


あーそうか、近藤さん、総司が居ないのか。

そっちに逝けばまた一緒に楽しめるかな・・・


俺は全身に、鉛が通る感触と共に意識をなくした。

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