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『the other side C』

あれほど居た魔物達は、どうやらすべて“ドラコファイア改”によって壊滅させられたようであった。

メイは東門へと向かい歩きながら、この子はホントにいったい()()なんだろうかと考える。


「これでやっと外へ出られるわね」

そう言うルゥの声からは安堵の色が垣間見える。

そしてどうやら彼女が着ているその“ワンピース”のような服には、足の横部分に長い切れ目が入っており、それのせいで動きやすくされているようであった。それにしてもその切れ目からときおり見える肌の部分が、その、、信じられないぐらい“扇情的”である、、

アキラが気づく前に何とかしなければメイは心に誓うのであった。


「そういえば、ルゥも魔物に襲われるのね」

先ほどの戦闘を振り返りながら彼女は尋ねる。


ん~~、まぁねぇ、、


「そもそも魔族と魔物は全くの別物なのよ、、」

まあ私は“魔族”っていうのともちょっと違うんだけどね、、


彼女はどこか遠い目でそう応える。どうも複雑な事情がありそうであった。


東門はわずかに開門されていたので、一行はそこから外の様子を確認しつつ外へと出る。

あたりには魔物どころか生物の気配が全くしなかった。


これなら無事に逃げられそうね、、

「それじゃあ行きまし、、、」



本当にこれで良いのだろうか



彼女は言葉を詰まらせる。ルゥは「どうしたの?」とこちらをのぞきこんでいる。

ドラコはメイの目をじっと見つめていた。何かを訴えるかのような目である。

いや、、自分が勝手にそう思っているだけだと思い直す。


街に居る人たちを放って、自分たちだけ先に逃げ出す。 ― それのなにがいけない。

自分たちが居ればもしかしたら助けられる人間がまだ居るかもしれない。 ― 知りもしない他人のことをか?


「メイ?」

ルゥが心配そうにこちらを見つめている。


メイは、コバヤシのことを想う。


「…みんなごめん」

ちょっと、聞いて欲しいことがあるの。

彼女は二人に向かって、ゆっくりと語りかける。


この混乱は、きっとアキラがなんとかしてくれる、、

だから、それまで、、


「私達で、これから西側の人たちを助けに行きたいの」

メイのその銀色の瞳には力強い意思が宿っていた。


「西側って、、」

ルゥは驚いたようにこちらを見つめてくる。まぁ無理もないか、、

「あい、いぇー」

ドラコは不思議な台詞を吐くと再び親指をぴっと立てる。それを見てメイは少しだけ気が楽になる。

「ごめんね、ルゥ、、」

メイは彼女に対し申し訳無さそうにそう告げる。

絶対に、あなたは私達で守るから。

そしてルゥの目を、その真紅の瞳をまっすぐに見つめる。

彼女は少し驚いたようにメイを見つめかえす。そしてぽつりとなにかを呟く。


「…あなたは死なないわ」

私が守るもの、、


「え?」

メイはルゥの言ったことが聞き取れずに聞き返す。

「あ、ああ、、いやなんでもないわ」

彼女ははっとしたように頭を振る。

「しょうがないからついていくわよ」

彼女はそう言ってこちらににっこりと笑みを見せる。


「にげちゃだめだにげちゃだみだ~」

ドラコはどこ吹く風といった感じで、またしてもよくわからない台詞を吐いている。

しかしそれを聞くなりルゥが吹き出す。

なにが面白かったのだろうか、、

もしかしたら自分の知らないところで何か通じ合うものがあったのかもしれないなと、彼女は勝手にそう思うことにした。


「それじゃ、ここから西側に向かって移動します!」

私が前、ルゥは真ん中、ドラコは後ろから、

メイがそう告げると二人はこくりうなずく。


大丈夫だ、、

きっともうすぐ、アキラがなんとかしてくれる。

メイは、早く彼に会いたいと思っている自分に気づき頭を振る。少し顔が熱い。


「さ、行きましょう!」

彼女はごまかすように、その一歩を踏み出す。


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