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【王都での依頼】2-14

知らない天井だ、、


コバヤシはいつもどおり朝早くに目が覚める。

目が覚めた瞬間は、一瞬自分がどこに居るのかを忘れてしまってはいたが、すぐに王都内の宿屋だったと思い出す。


確か、、『ドミノ』とか言ったか、、

崩れてきそうで心配になる名前だ。


昨日の晩御飯をご馳走になったあの家ほどではないが、、

あれは文字通りの意味でいつ崩れてきてもおかしくはない家だったといえる。


しかし出てきた料理はどれも美味しかった、、

ドラコなんて無言でひたすらに食べ続けており、帰りはお腹が膨れすぎて気持ち悪くなりしばらくの間動けなくなるという事態になるほどであった。

食べ過ぎて動けなくなってしまったドラコを、結局コバヤシがおぶって帰ってきたのだった。


さて、、

いつのまにか自分のベッドへと潜り込んでいたドラコを起こさないように、コバヤシはそっと自分のベッドから抜ける。

というかこんなところ見られたらまたメイから睨みつけられてしまうじゃないか、、

しかし彼女もまだ眠りの中らしく、隣のベッドで穏やかに寝息を立てている。

昨日ゼフィーから自分の年齢をばらされそうになって暴れていた彼女と同一人物だとはとても思えない。

ちなみにゼフィーはもはや自分の年齢を忘れてしまったとのことだった。詳しくはそれもメイによって阻止されたが(ゾフィの歳がばれたら私のも推理されちゃうじゃない!)

それでもやはりエルフは長寿の種族らしいということは十分にわかった。


そもそもメイがいくつだろうと別に気にしないのだが、、

この世界の種族といったような常識について、もう少し詳しく知っておきたいと考えたコバヤシは、あとでこの王都内に図書館的なものがあるかどうかをメイに聞くことにしようと心に留める。

ドラコについても何か分かるかもしれないしな。

すると隣のベッドから、メイがぬっと起き上がる。


「おはよう」

寝ぼけ眼のメイにコバヤシはそう告げる。

メイがド裸コに気づき、何故かコバヤシへ説教し始めるまであと・・・


・・・


今日はせっかくなので、王都でも何かしらの依頼を一つぐらい済ませてみようとの話だった。


「とりあえずはギルドに行きましょうか!」

三人は宿での朝食を取り終えたあと、そろってギルドへと向かう。


「アキラとドラコは王都初めてなんでしょ?」

それなら明日あたりは観光でも良いわねと、どこか上機嫌にメイは続ける。


さっきまであんなにかんかんだったのに、、女性の気分はわからぬものであるなぁ あきら


ドラコもどこか上機嫌で、コバヤシと繋いでいる方の手を鼻歌交じりにぶんぶん振っている。

「どっどらどーらーどーら~♪」

どこか猫型ロボットのようなリズムを感じさせるのだが気づかなかったことにしよう、うん。


ギルドへ着くと早速三人は掲示板の前へと向かう。

ここのギルドにも二種類の掲示板があり、メリエのものと同様に赤い縁取りと青い縁取りの二つであった。おそらくこれも統一化されているのかもしれない。

しかし貼ってある依頼の数はメリエとは比べ物にならず、そもそも掲示板の大きさがメリエのそれよりも更に巨大であった。


「こんなにあるのか、、」

コバヤシがぽつりとそうつぶやくと、すごいでしょと何故かメイが自慢げに応えてくれる。

ドラコも掲示板をぼんやりと眺めていた。


それにしても、、やっぱりドラコを連れて来ると目立つな、、

メイと二人でここに来たときよりも遥かに周囲からの視線を多く感じる。まあしょうがないかもしれない。

コバヤシはメイに、どの依頼でもいいよと言ってあったので、彼女は適当に依頼を見繕ってくる。


「これなんかどう?」

そう言って彼女が赤色の掲示板から持ってきたその依頼書にはこう書かれていた。

『東の鉱山に住み着いたゴブリン達の退治と、そこで取れる鉱石の採取 等級B~D』

討伐系と採取系の二つを兼ねている依頼のようだった。

にしてもゴブリンか、、

ほんとにゲームのような世界だなと、いまさらながらコバヤシは思う。

東の鉱山とやらは馬車で行ける所らしい。コバヤシはメイにオッケーを出すと、ドラコを連れてギルドの外で待つことにする。


「ごーぶごーぶごーぶごーぶごーぶふんふんふ~ん♪」

どうやら隣の少女は曲をアレンジしてきているらしかった。

しかしドラコよ、、これからまた馬車なのだが果たして、、

コバヤシは鼻歌を口ずさむ上機嫌な彼女にちらり一瞥をくれると、少しの申し訳なさがでてきてしまうのであった。


馬車はやめて、他の依頼にした方が良かったかもな、、

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