表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/198

【救出】1-7

 人は、犠牲の上に成り立っている。

自分達のために他者を喰らい成り立っている。少なくともコバヤシはそのように考えている。


ここで自分が助けに入ろうと(助けられるかは別問題として)、同じようなことはきっと、コバヤシが居たかつての世界でも、日本でも、どこでだって、必ず存在しているし、決してなくなることも無くすことも出来ないものだ。


襲われているまたは襲われるだろうと予想される女性のほうは涙声だ。


コバヤシは、自分が助けに行こうと考えていることに気づき、少し驚くのと同時に安堵する。

どうやら、目の前で困っている人ぐらいは助けたいと思えるような心が自分にはあるらしい。

所詮は自己満足じゃないのかどうかとか、小難しく理屈をこねるのは後にでもしよう。もちろん助けられれば助けようという程度の気持ちでもあった。


コバヤシは瞬時に自身のステータスをいじりながら、先ほどの声がしたほうへと走り出す。索敵スキルによって位置と距離の特定はすでに出来ている。

助けに行って自分が殺されてしまうのでは意味が無い。コバヤシは走りながらも考える。


手持ちのSPは残り970。とりあえずはこのポイントで自身を少しでも強化しておこう、、

なにせレベルは1らしいからな。


“status”


どれほどのステータスに達していればとりあえずの危機を乗り越えられるだろうかということを考えつつも、コバヤシはステータスにSPを振っていく。どうやらこの操作も考えるだけで出来るみたいだ。


ステータスの実証はまだだったが、、。ん? なるほど、1SPでそれぞれのステータスを1ずつ上げることが可能のようである。


HP→300 MP→0 STR→200 VIT→100 DEX→100 INT→100 AGI→200 LUC→120


レベルとMPはいじることが出来なかった。

ステータスについての詳細をcallで聞きそびれてしまったので、コバヤシが(おそらく)理解できているいくつかのパラメータを強化する。

HPやMPなどと違って、他のパラメータのいくつかは何を示しているのかわからないものもいくつかあったためである。


おそらくSTRはstrength、AGIはagility、INTはintelligence、LUCはluck、それぞれ力・すばやさ・知力・運のように表記してもらったほうがコバヤシにはわかりやすかったが、、

とにかく、敵と対峙した際、より自身の生存確率を上げるためのステータスにするべきだろう。

気になるのは敵のステータスだが、索敵スキルではどうやら敵のはっきりとした強さ、またはステータスまではわからないようだ(敵にもステータスがあると仮定して)。自分以外にもステータスという概念は存在するのだろうか、、


それにしても、AGIを上げた時点でコバヤシの移動速度が格段に速くなる。

おそらくこれがステータスの力なのだろう、、

急な変化に多少戸惑いつつも、自身がそろそろ敵地へと近づいていることに気づき身構える。


・・・・


「だから、悲鳴を上げても誰もこねえんだよ」

「お願いですから、、い、命だけは、、っ」

「そりゃあ当分は殺しやしねえから安心しとけ」


下卑た笑い声が辺りに響く。


「このあとは俺らのアジトしばらく使ってやるからよぉ」

「んじゃ、そろそろ楽しみますかっ」


男の一人が、女性のほうへと更に距離を詰めていく、がその時


かくん


男は急にひざをついて倒れる。


「おい、どうした」


もう一人が倒れた男へと近づく。倒れこんだ男の肩をゆすっても何の反応もしない。


「!? 気絶している!?」

顔を確認した男が叫ぶ。

「なに!?」


カンッ!


襲われそうになっていた女性は、目の前の状況が全く理解できないながらも、空から何かが飛んできていることに気づく。


かくん


さらにもう一人の男がまたしても突然地面へと倒れこむ。


「! お、おい! なんだ! どうしたんだ! くそ!」

「きゃっ!」

最後に残った男は女性を立ち上がらせて後ろから羽交い絞めにし、首にナイフを突きつけながら叫ぶ。


「誰か知らねえがどっから狙っていやがる! こいつがどうなってもいいのか!」


そこでようやく女は自身の状況を理解する。


誰かがこいつらを上から攻撃している!?


「…た、助けて!」

「うるせえぞ! 黙れ!」

男はナイフを振り上げる。

「ッ!」


女は目を瞑り歯を食いしばる。


カンっ


「きゃあ!」


女は後ろから羽交い絞めしていた男が力無く倒れていくことに気づき、つられて倒れそうになる。

なんとか女は男の手を抜けるも、先ほどまで女を羽交い絞めにしていた男は、そのまま地面へと倒れこんでいった。


「・・・」


女性は今のうちに逃げなければと頭では理解していながらも足が震えてうまく動かない。

倒れていった男たちは三人とも今では微動だにしない。

その時、後ろから物音がした気がし、すぐさま振り返る。


ガサッ、、


一人の男が、姿を現す。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ