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『interlude』

「…ふぅ、、」


リーシアは仕事の休憩で自室のベッドに座っていた。女性の部屋にしては余計なものがとても少なく、レミ曰く「可愛げない~」とのことだった。

そんな彼女の部屋の中に一つだけある、壁際に掛けられている男物の、変わった形をした上着を眺めながら、彼女は考える。


コバヤシさん達はもう王都に着いていることだろう、、

最近はようやく仕事にも手が付けられるようになったが、いまだに父からは時々注意されるリーシアであった。

コバヤシさんが帰ってきたら、この上着を早く返さないとな、、

彼女の部屋に掛けられているその男物の上着は、コバヤシと初めて出会った時に彼から借りたものであった。この上着を眺めるたびに、彼女の心の中は不思議なもやもやで埋まっていくのだったが、リーシアはそれが嫌なものであるとは思わなかった。なぜだかは分からなかったが。

コバヤシがこちらに帰ってきたら、と考えると何故か顔が熱くなり再び仕事のミスが増えてしまうリーシアであったが、そういったことは彼女の人生の中で初めてのことであった。


返事も、やっぱり早くしないとだよね、、

リーシアは自室の机の中に大切にしまってあるセフィア石を取り出して見つめる。

再び、自分の顔が熱くなるのが分かる。

こんなんじゃまたコバヤシさんとまともに顔を合わせられなくなってしまうな、、

これまでの自身の失態を思い返しながら彼女は考える。

レミに、このことを相談してみようかしら、、

これまで家族以外には打ち明けなかったリーシアであるが、最近はこの考えも悪くないのではないかと思うようになっていた。


恥ずかしいけど、、それにからかわれそうだけど、、

レミがにやけながらこちらを見つめてくる絵が簡単に思い浮かぶ。


でもやっぱり他の人の意見も聞いてみたい、、

コバヤシさんたちが帰ってくる前までにレミを訪ねておくことにしようと決め、彼女はそろそろ仕事に戻ろうかと立ち上がる。

その時、誰かが部屋の外で自分を呼ぶ声がしていることに気づく。


この声は、、レミ?

リーシアは部屋を出てお店の方へと向かう。


「リーシア!」

そこにはレミを中心として、父を含んだ多くの人間が集まっていた。常連の顔も何人かあったが、みんな買い物に来たという顔ではないように見える。なにか、深刻なことが起きてしまった、そういった面持ちに見えた。

レミはリーシアの顔を見てから一呼吸つき、そしてゆっくりと話し始める。



「・・・え?」



後に、その日から始まった一連の出来事はこのように名付けられた。


“メリエの悲劇”と


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