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【何事もほどほどが良いという話を含む話をしたいお話】2-7

依頼物採取はとうに終えていたので、二人はついでに近くで取れそうな果物や香草、薬草なども採取していくことにする。といってもコバヤシにはそういった知識はまるでなかったので、メイに教えてもらったものを鑑定スキルで片っ端から探していくという手順であった。


「そ、れ、で、結局さっきのは何だったの」

ある程度取り終わったので、そろそろ町へ帰ろうかというときにメイがこちらへ振り向いて尋ねてくる。

頬を少しぷくりとさせて拗ねたような顔なのがどこか可愛い。


「さっきの?」

そんなことを思いながらもコバヤシは聞き返す。


「ホーンバードを倒した時のあれよ」

アキラ、弓は初心者なのかと思ったのに、、そう彼女は続ける。

「あれは~、そうだな、、」

コバヤシは先ほど得た《小弓》スキルを調整した時のことを思い返す。


「あれも、魔法のようなものだと思う」

コバヤシは再びあいまいなことを言う。

これも秘密にしておいてくれ。そう付け足すことも忘れない。

ひ~みつひ~みつ、ひ~みつばっかり、、

そのうち不思議な鏡とか使いだしてしまいそう。コバヤシはそんなくだらないことを考える。


「魔法ってねえ、、」

メイはまたしてもあきれた顔で言いながら「わかったわよ」としぶしぶ了承するのだった。

そんな彼女にコバヤシはありがとうと伝える。

しかし思ったよりもこの小弓とやらは使えそうだったので、もし王都で売っていたら自分のも買おうかと彼は考える。毎回石を拾って投げるというのもあれだしな。


・・・


コバヤシとメイの二人は、そろそろ陽も沈むかというところで採取もそこそこにクエの村へと帰ってくる。

村の入り口まで来ると、そこに見覚えのある赤毛の美少女が立っていることに気づく。


「ドラコ!」

メイが先にドラコの元へ駆け寄る。

「もう大丈夫なの?」

メイはドラコの馬車酔いのことを聞いているらしい。コバヤシはドラコがちゃんと服を着ていたことに内心ほっとする。


メイの問いかけに対しドラコはこくりとうなずき、

「ドラコ、おなかぺこり」

そう言って自身のおなかをぽんと叩く。はしたないからやめなさい。

つまりはお腹がすいているということだろうかと聞くと


「そうとも言う」

そう言い返す少女はふふんと何故か自慢げだ。

「それじゃ、私達のランクアップ祝いもまだだったし、どこかへ食べにでも行きましょうか」

そんなドラコの様子を微笑みながら見つめていたメイがそう提案する。

「おー」

ドラコは変な歓声を上げると、コバヤシとメイ、二人と手をつないでくる。


こうするとどこか恥ずかしいのだが、、

どうやらメイも同じようで、コバヤシから目を背けてはいるがエルフ耳は少し赤くなっていた(そういえばフードを被っていない)


「ど~らこはぐ~るめ~」

そんな二人の様子なんてどこ吹く風といった感じで、間に挟まれたこの少女はのんきに不思議な歌を口ずさんでいる。

三人は仲良く、お店探しへ。


・・・


大衆食堂といったところだろうか。コバヤシは店内を見回しながら思う。


コバヤシ達三人は、町の中でもかなりの大きさを誇るというレストラン?へとやってきた。

レストランと居酒屋の間、ダイニングバーとかって日本では言うのだったろうか。そんなことを考えながら店内をもう少し見回す。店内は確かに広く、たくさんのテーブル席と、カウンターの席もいくつかあるようだった。お客の数もかなり居り、店内は活気に満ちて、従業員と見られる人たちはみな忙しそうに店内を動いていた。


「ドラコ、これで勝てる!」

三人はテーブル席へと着き、メニューがあったのでそれをドラコは眺めながら興奮気味に話す。

いつのまにか文字を読めるようになっていたのだろうかと尋ねると、少女は少し首をかしげた後に、こくりと首を縦に振る。そして再びメニューとにらめっこするのだった。


ドラコさんや、、

もしかしたら自分でも何故かわからないのだろうか。

そもそもこの子がどのようにして言語を習得しているのかもよくわからないしな、、

たまに意味不明なボキャブラリーとか増えているし。


「龍については全く詳しくないけど、魔族や魔物の中には、親の言葉を脳内でそのまま学ぶことが出来るとかって聞いたことあるわ」

そんなコバヤシの話を聞いたメイはドラコのことを見つめながら話してくれる。

ん? 魔族と魔物ってのは違うのだろうか。

「ドラコ、これとこれとこれとこれと…」

メイにもう少し色々と尋ねようとしたコバヤシをドラコがさえぎる。


まあそれは今度聞くことにでもしよう。

そろそろドラコを止めないと、コバヤシの財布からお金の流出を止められなくなってしまうまであった(止めなければ詰む)


・・・


ひっく


「美味である」

ドラコは出てきた料理をぱくぱくと口にしながら一人偉そうに感想を述べている。


ひっく


「うむ、これまた美味である」

確かに、出てきた料理はどれも美味しく、ちょっとしたコース料理を味わっているかのような気分だった。

おそらく何らかの豆のスープ、鶏肉のから揚げ、きのこ類と鶏肉をソテーしたもの、いくつかの豆が入ったサラダ、そして出てきた果実酒のようなものがこれまた美味しく、こちらの世界に来てから一番ともいえる酒であった。


ひっく


「…んねぇ、、」

がんばってやり過ごそうとしていたが、目の前のぐでんぐでんエルフを無視するのにはもう限界のコバヤシであった。


「んぁんたねぇ、、なんなんによぉー、、んもぅ、、」

すでに滑舌が壊滅的である。


「…メイ、大丈夫か、、」

どう見ても大丈夫でないそのエルフに向かってコバヤシはいちおう尋ねる。


「んぁあー? んじょうぅにあってぁぁい!」

やはりもう手遅れのようだった。


「メイー、おもちかえられ?」

ドラコ、やめなさい。変な意味になりそうだからやめなさい。


しかし幸運なことにドラコもコバヤシもすでにあらかたの食事は食べ終わっていたので、そろそろ帰るかとドラコに声をかける。


・・・。

ドラコはメニューとコバヤシを交互にちらちらと見返す。その切なそうな目はやめてくれ、、

「…ほら、メイもこんなんだし、な、、?」

コバヤシはメイを指差して説得材料に使う。


「んむぅ。。」

するとしぶしぶといった感じでドラコは立ち上がる。


量の割にはずいぶんと値段も高くない。メリエとは物価が違うのだろうか、、いずれにしろありがたい。

「さてと、」

コバヤシはすでにテーブルへと突っ伏しているぐでんぐでんエルフに肩を貸し、半ば引きずるような形で店を出る。


最初からとばし過ぎだと思ったんだよなあ、、

彼はメイの飲みっぷりを思い返しながら、ドラコと一緒に帰路へとつくのだった。

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