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【新しい町で発覚する新しい習性とその対処法の考案】2-4

人が整備した街道沿いには、魔物が出現するといったことはあまり無いとのことだった。

もちろん“整備された”といっても、ただ地面の均された道という程度だったが。しかしこれでもあると無いのとではぜんぜん違うのであろう。


二日目の馬車の中で、コバヤシは自身のマップ&索敵スキルを使い周囲を確認していた。

一日目ではだいぶ列の後ろを走っていたコバヤシ達の馬車であったが、今日はだいぶ前の方に位置づけられている。なんでも日が変わるごとに馬車の前後は入れ替えているのだとか。

なぜそんなことをするのかと御者に尋ねたところ、こうすると次の日に寝る場所の確保や食べ物の提供順で文句が出ないとのこと。

コバヤシは少し感心し、今日はあのテントっぽい場所で寝ることが出来そうだと考える。


この日も魔物に襲われるといったことはなく、無事に夜営地へと何事も無くたどり着く。

それにしても、やることが全く無いというのもあれなので、今度は何か暇つぶしにでもなるようなものを持っていくことにするか、、

ドラコはいまだ馬車を克服できないらしく、途中からは再び床に寝転がりうんうんとうなっていた。

メイはときおり横になって睡眠したり、コバヤシや御者と会話したりで、それなりに満喫していたようだ、、していたと思いたい、、


そしてドラコが夕食を再び何杯もお代わりをした結果、テントは今日も満員となってしまい三人は再び同じような場所で眠りに着くのだった。


まあこんな満天過ぎるくらいの星空が天井なのは、全然悪くない、、

そう思いながら、彼は今日も快適な眠りにつく。


・・・


「うちらの馬車は、あそこが終点でさあ」

次の日、3日目の昼頃、見えてきたその町、、村?を背に、御者がこちらへと声をかける。


王都へはここで馬車を乗り継ぎ、明日の昼頃に違う馬車で出発とのことだった。

到着した町は『クエ』という名前らしい。メリエに比べるとずいぶん小さい町のようだ。コバヤシはマップを確認しながら考える。


「さて、、それじゃまずは宿を取りに行きましょうか」

馬車から降りるとメイが提案する。


「そうだね、そうしようか」

コバヤシはうめいているドラコを背におぶりながら応える。

三人はとりあえず近くの宿へと寄ることにする。


「メイはこの町にも来たことがあるの?」

コバヤシが歩きながら尋ねる。


「う~ん、、あったようなないような、、」

ずいぶんと前とかなら来たことはあったかなあ、、

メイは考えながらもそう話す。


ずいぶん前、、いったいメイの年齢は本当にいくつなんだ、、

見た目からはどう見ても20代にしか見えなかったが、、エルフはもしかしたら人間と違う年のとり方をするのかもしれない。女性には年齢のことを絶対に触れてはいけないという鋼の掟を守るコバヤシである。そこには種族など関係あるはずもなかった、まる。


三人はすぐに近くの宿へとたどり着く。

受付はずいぶんとごったがえしていたがなんとか一部屋を取ることができた。さっそく一行は部屋へと向かうことにする。


ベッドで寝れるのはずいぶんと久しぶりの気がするな、、

コバヤシは自分達の部屋の扉を開けながらそのように感じた。

部屋の中には大きめのベッドが二対置いてあった。もともとは二人用の部屋とのこと。

まぁ問題ないだろう、。メイに片方のベッドを使ってもらえばいい。

するとコバヤシにおんぶされていたドラコが地面へと降り立ち、すぐさま(1秒ぐらいで)着ていた黒のワンピースのような服を脱衣し、片方のベッドへとダイブする。


「ドラコー、さすがにまだ寝ないぞー」

コバヤシが裸族少女にそう告げると、

「んぅ~~~、、ぁと、、ぃちねん、、」

うつぶせ少女はそう応える。


ここで冬眠でもするのだろうかこのドラゴンは、、

「メイはどうする?」

ここでちょっと休んでいくかと、そちらへ振り向いて尋ねる。


「・・・っ」

「? メイ?」

メイがドラコの方を見たまま固まっている。すると、


「ちょっと!! ドラコ! 何してるの!」


あ、


メイがドラコの脱ぎ捨てた服をすぐさま拾い上げて少女の元へと駆け寄る。

そうか、、やはりこの世界では裸族って珍しいのかもしれないな、、

すでに慣れてしまっていたコバヤシは改めて思い知らされる。


「いや、どうやらこいつ、部屋の中で服を着るの嫌いらしいんだ」

そう言うとメイがこちらをぎらりと睨む。

「…まさか、今までこれで過ごしてきたの、、?」


・・・。


「いやでもほら、、ドラコなんて子供だし、、ね、、?」

そう、そもそもドラコは人間って訳でもないし、更に自分はロ○コンではないのだからこの状況を誰かに見られない限りは特に何も問題無いはずだ。Q.E.D


「そういう問題じゃないわよ」

メイはいまだにコバヤシを睨みつけている。やはりエルフの眼力たるや恐ろしいものがある、、


すぐに彼女はドラコに服を、何とか着せようと試みる。

だがこのドラゴンガールの、かたくなな裸族としての矜持を破ることは出来なかったようで、しばらく戦った後に諦めていた。


「…それじゃ、、私とドラコがこっちのベッドを使うから、、アキラはあっちね、、」

メイはぜえぜえ言いながらも向かいのベッドをコバヤシに指差す。


「いや、でもそっち二人だと狭くないか? 別にメイがこっち使っても、、」

そう言ったところでメイが再びこちらを睨みつけてきたので、コバヤシはそれ以上の提案を止めることにする。


これまでドラコと一つのベッドで寝ていたことは絶対に言わないほうがいいなこれは、うん。

コバヤシはそう決意しつつ、もう一つのベッドへと腰かけるのだった。

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