【彼と彼女らの馬車内交流紀】2-2
「ぅうう、、、」
アイテムボックスに水分の類いは入っていなかったので、とりあえずコバヤシはドラコを仰向けに寝かせる。
今度からは食べ物だけでなく何か飲み物とかも入れておくか。というよりこれって、水のような固形物以外のものとかも入るのだろうか、今度はもっと細かく検証出来たらしてみるか、、
うーんとうなっていると、
「メリエからもうずいぶんと離れたわねー」
向かいでメイがそう言って、馬車から見える後ろの景色を眺めている。
メリエが見えなくなってもうずいぶんと経つ。御者が言うにはあと少しで今日の野営地に着くとのことだった。
辺りはもうずいぶんと暗くなっているが、この世界は月明かりがとても強いので森の中などでなければそこまで困ることも無さそうだ。
ん?
そこでコバヤシは、外の景色を眺めているメイの隣に、なにやら新しい“表示”がでていることに気づく。
“party”
そこにはそう表示されていた。
…うーん、、いったいこれはどういうことなのだろうか、、
考えながらもそこへ更に意識を向けてみる。
・メイ(メイリィア、、、)
・Lv58
・HP400 ・MP5550 ・STR180 ・VIT140 ・DEX220 ・INT320 ・AGI190 ・LUC210
ステータスも見れる、、、ドラコだけではなかったのか?
コバヤシは、初めてドラコのステータスを確認できたときのことを思い出していた。今でもドラコの“party”は継続中である。
…何らかの条件を満たして、メイとも“party”になったと考えるのが妥当だろうか、、
「大丈夫、アキラ、、アキラも酔っちゃった、、?」
すると、難しい顔をしてしまっていたのかメイが顔を覗き込むように聞いてくる。
フードから除かせるその心配そうな顔に思わずどきりとしそうになる。
「あぁ、ごめん、大丈夫だ、、」
このエルフは果たしていくつなのだろうか、、そんなことを考えながらコバヤシは応える。
「…そういえば、メイってレベルいくつぐらいって言ってたっけ?」
急に話が飛んだことに目の前のエルフはきょとんとする。
「えーと、そうね、、最後に確認したのはもうずいぶん前だったけど、確か、、、54、、53?」
そのぐらいだったかしらとメイは考えながら告げる。
ふむ、、ではやはりこのステータス情報は今現在のものということだろうか、、
そもそもドラコも俺も自分達のレベルとやらをこの情報以外で確認したことないしな。
「どうしたの? いきなり」
「いや、俺もドラコもレベルを確認したことないからさ、ちょっと気になってね、」
嘘は言っていない。
「それなら王都の教会に一緒に行きましょうよ! あそこすっごく大きいから結構好きなのよね」
私も自分のレベル知りたいし、彼女はそう付け加える。
「ぅ~~~、どらこ、、れべるくうじゅうくぅ、、、」
床でドラコがなにやらもごもごと呟く。
そうだな、、レベルを確認するとかいう教会ってのには一度行ってみたいとは思っていた。
“王都”とはいったいどういう場所なのかとメイに尋ねると、メイはふふんと胸を張り自慢げに教えてくれるのだった。
― そうね、まずはその名前の通り“王様”がそこを取り仕切っているのよ。メリエは貴族たちが仕切ってるらしいからちょっと形態は変わってくるわね。え? なにアキラ、そんなことも知らなかったの? えぇ、そうよ、確かメリエを管理してる貴族の家は全部で、、8?か9とかだったと思うわ。とにかく王都は貴族じゃなくって“王室”が取り仕切ってるのよ。本当はこの王室の名前にちなんで、ちゃんと『ベレッセン』て街の名前があるんだけど、だいたいみんな“王都”って呼んでるわね。本当に大きな街よ、、。メリエも結構大きいけど、あれよりももっと全然大きいんだから!
メイは活き活きと喋り続けている。
そんなに大きい街なら、依頼を終らせた後に少し観光していくの悪くないなと、コバヤシは少し心を躍らせる。
「皆さん、もう着きますぜー」
メイが王都にあるおススメのお菓子屋について話し始めようとしたところで御者が到着を告げる。
どうやら、一日目の野営地に到着したようである。




