【頭一つ】1-49
コバヤシは、おそらくだが自分はかなりの力を持っていて(自分で言うとかなり痛い、、)なぜそんな力があるのかは自分でもよくわからないということ(これはあながち嘘ではない)そしてドラコが生まれた経緯と、この少女の実力についても話してしまうことにした。
「…この子が、卵?から生まれた…?」
メイはドラコのことをまじまじと見ながらそう呟く。
そりゃ普通は信じられないだろう、しかしメイはすでにあの「口から炎」を目撃している。
そうだ、
「ドラコ、あの腕を変形?させるやつ出来るか?」
試しにコバヤシはドラコにそう尋ねる。
「ん~~~」
するとドラコの両腕は瞬く間に膨張し、黒褐色のごつごつした恐竜の腕みたいなものへと変化する。
相変わらず凄まじい。
「ありがとな」
そう言ってコバヤシはドラコの頭を撫でる。
メイはまるでそこから目が離せないといったようにドラコの腕を凝視して口をぽかりと開けていた。
その様子はちょっと面白い。
「…ドラコ、もう戻していいよ」
「あいあい~」
そう言うとドラコの両腕はしゅるしゅると元の細腕へ戻っていく。
「・・・はっ」
メイはどうやら戻ってきたみたいである。
「…わかった、、いや、わからないけど、とりあえずは、わかったわ、、」
彼女は少し意味不明なことを言う。
まあまだちょっと混乱しているのかもしれないな、
無理もない、そんなことをコバヤシは考える。
「…まだ、もうちょっと聞きたいこともある気がするけど、、」
今日はちょっと、疲れたわ、
そう言ってメイはふぅとため息をつく。
「今からメリエに向かうと、着くのはまた夜中ぐらいになってしまいそうだから今日はまたここで野営して、明日の朝一で帰るのはどうかしら」
疲れてはいてもしっかりと予定を立ててくれる出来たエルフさんである。
「あぁ、それで良いと思うよ」
コバヤシは提案に賛同する。
「そういえば、悪竜の討伐依頼報告は、何か証拠とか必要なのかな」
ふと思い出してコバヤシはそう口にする。
「あ、、、」
そうだったわとメイが呟く。
「完全に混乱して忘れてたわ、、」
どうやら依頼達成の証拠として、獲物の一部を切り取っていくのが普通らしい。
「なら、俺が今から行って取ってくるよ」
コバヤシはそう言って立ち上がる。
「え…、一人では、、いや、、あなたなら大丈夫ね、、」
メイはそう言って少し自虐的に笑い、じゃあお願いしていいかしらと彼女はコバヤシに頼む。
「野営の準備は進めておくから」
「わかった、それじゃよろしく。ドラコ、メイを守っていてくれ」
コバヤシはドラコに騎士役を任命する。
「任されたし!」
小さな騎士は少しずれた言葉で元気に返事する。
それを見てお姫様は、久しぶりに微笑むのだった。
・・・
さて、こいつを持っていくことにするか、、
自分が先ほど首をひきちぎった悪竜の前に、コバヤシは立っていた。
一人で走ればここまではほとんど一瞬である。
う~ん、どこの部分を持っていけば良いのだろうか、、
コバヤシは少し悩んだが、すぐに首を完全に胴体から引き離して(ひきちぎって)頭の部分を丸々アイテムボックスに入れることにした。
もしかしてこいつの肉なら今日の夜にでも食べれるんじゃないだろうかと一瞬考えたが、さっきまでこの恐竜が食べていたものを考えてすぐにこの案を却下する。
いちおう爪とかも持っていくか、、
コバヤシは頭が無くなった竜の手足から爪をすべて素手で取っていくことにする。
まるで追いはぎにでもなった気分だ。そう思いコバヤシはふと笑みをこぼす。
爪をすべてはぎ(いちおう黒焦げの方も取っておく)アイテムボックスに入れた後で、コバヤシはこの竜に向かい両手を合わせる。
安らかに眠れジュラシ○クパーク、、
それから再び野営地へとダッシュで戻るコバヤシだった。




