【決着】1-48
・グラウドラゴン
・Lv 14
・脅威度 弱
「二体も、、居るなんて、、」
コバヤシは後ろでメイが呟くのが聞こえた。
目の前の二体目は、こちらを警戒しているのだろうか、すぐには襲ってこない。
二体同時に出るのは珍しいのだろうか、、
コバヤシは後ろのメイの反応からそう考える。
さっきと同様、こいつも先手必勝で行くか、、
そう考え、再びコバヤシは首を飛ばそうとすると、
「コバヤシ」
いつのまにかドラコが隣まで来ていた。
まさか、、
そう思った時にはすでに遅かった。
ドラコは一瞬で大きく息を吸い込む。
こないだ同様、周りのものが吸い込まれそうな錯覚を感じるようだった。
ドラコのおなかが膨らんだと思ったのも一瞬、二体目の竜めがけ口から大きく息を吹きかけるのも一瞬のことだった。
目の前に、オレンジの炎があっというまにして広がる。
オレンジの炎に包まれた竜は、悲鳴ともつかないような叫び声をあげて地面をのた打ち回る。
しかしそれも数秒のことで、すぐに竜はぴくりとも動かなくなってしまった。
それと同時に炎も消える。
目的のものを焼き尽くしたら自動的に収まるのだろうか、だとしたらなんとも便利な炎である。
まあおそらくは“魔法”の類っぽいしな、、
コバヤシはこんがり焼けた(というより黒こげ)恐竜を確認しながら考える。
それにしても、、
索敵にもう引っかかるものが居ないことを確認してコバヤシは後ろを振り返る。
そこには、目の前で起きたことに頭をパンクさせているエルフの姿があった。
ついにドラコのことまでばれてしまったか、、
「メイ、大丈夫?」
どうしたもんかなと考えながらコバヤシはメイに声をかける。
「・・・。」
いまだパンクは継続中らしい。
「これで任務は完了かな?」
コバヤシは多少心配になりながらも再びメイに尋ねる。
「…え、、あ、これ、、」
メイは黒焦げになった竜の残骸を見ながら何かを言おうとしている。
「ドラコ!」
そう言ってふふんと自身のウェルダン加減を誇るドラゴンスレイヤー・ドラコである。
メイはドラコのウェルダンを見るのはこれで二度目になるか、、
コバヤシはそんなドラコの頭を撫でながら、
「それじゃ、もう戻ろうか」
メイにそう声をかける。
・・・
「…あまりにも、、そうあまりにも色々とあったけど、、」
三人が昨日の野営地に戻ってくるなりようやくメイは口を開く。
「いったい、、いったいなんなのあなたたちは、、」
限界に達したのか、メイの言葉にはもはや若干のとげすら感じられる。
「ドラコ、ドラコ」
そう言って少女はふふんと(以下略)
これはもうどうしようもないかな、、
コバヤシはついに全てをメイに打ち明けようとすることに決める。
「実は俺達、、、かなり強いみたいなんだ」
「…は?」
エルフが人を睨む目つきがかなり怖いということはよくわかった。
「いや、、そうだな、、うん、、」
メイはやれやれと言った風にため息をつきながらも質問する。
「まあ、言いたくない部分があるのはお互い様だと思うわ」
メイはコバヤシの目をじっと見つめる。
「でも、もう少しだけあなたたちのことを教えてほしい、、」
ぜったいに誰にも言わないというあの約束は守るから。
そう続ける彼女の顔には、一切の迷いが見られない。
そんな彼女を見て、コバヤシも観念する。
「…わかった。でも俺のことについては、ほんとに話してもどうしようもない部分もあるんだ、、」
転生のくだりとかはまさにそれである。
「だから、話せる範囲で話す。それで良いね?」
目の前のエルフはこくりとうなずく。




