【前夜】1-42
メイとは翌日の朝に落ち合う約束をし、二人は酒場を後にする。
あ、そういえば悪竜とやらがどれだけの強さなのかを聞くの忘れてしまったな、、
コバヤシはメイと別れた後、宿へと向かう道すがら考える。
ちなみに『悪竜討伐』の依頼は等級が高い依頼なのだが、メイの冒険者ランクなら大丈夫とのこと。
確か“B”と言っていたか。というかメイってそんな冒険者等級高かったのか、、
いまだメイとはお互い知らないことが多いなと改めて感じるコバヤシである。まあまだ知り合って間もないしな。
一応念のためにドラコと自分のステータスをもう少し強化しておくか、、
宿に帰り自室に戻ると、ドラコはやはり再び全裸で寝転がっていた。
裸族にして龍族、、
今度時間が有る時にドラコのことはしっかりと調べてみよう。どこかに図書館とかあればいいんだが。
コバヤシはそんなことを考えながらもドラコをベッドへと移しシーツをかける。
メイからドラコへと渡された酒場の干し肉、ジャーキー?を、昼にあまったパンと共にアイテムボックスへと入れていく。
ここでコバヤシはこのアイテムボックスの“サイズ”が調整できることに気がつく。
物を入れるこの黒いマンホールの蓋のようなものの大きさを大きくしたり小さくしたり出来たのだ。
これは便利だな、、
この機能を使えば、こないだ買ったこのおんぼろ鞄が本物の四次元ポケ○トになるじゃないか。
コバヤシは若干うきうきしている自分に気がつく。
あとはステータスの強化か、、
やはりもう少しSPを購入しておいた方が良いかと思い、コバヤシは“商店”を開く。
いつも同じものを買っていたが、他にも色々な商品があるんだよな、、
相変わらず並んでいる商品名は内容がよくわからないものばかりであった。
『異世界建国セット』ってこれ一体誰が欲しがるのだろうか、、
結局またいつものを三つほど買うことにする。
いまだに他の人に対してレベルやスキルの概念を聞いていなかったなと思いながら、やはりこの世界のことはまだ分からないことが多すぎるということを痛感する。
・・・。
コバヤシはしばらく考えた後で、意を決し“call”を実行するのだった。
頼むから前回のだけは出ないでくれ、、
とぅるるるるる、とぅるるるるる…
お、ずいぶんと今回は普通の音楽だ、、
がちゃ
『はい、こちら異世界サポートです』
なんと、今回は出た人までまともそうな女性声である、、
『はい?』
あぁ、すみません、こちらの話です。
ちょっといくつか聞きたいことがありまして、、
『存じております』
え?
『あの門番二人の関係性ですよね、、もちろん私としてはグエン×マルコの一択ですぶは』
前言撤回である。
『あのむさくるしい年上筋肉がちょいなよ系年下君に迫る感じィ、、キマシt』
あの、それはどうでもいいんで、ちょっといいですか
『は、はい、すみません興奮してしまって私ったら、、』
…まず、この世界ではレベルやスキルだとかいった概念は自分以外にもあるものなんですか?
『えーと、そうですね。基本的に世界によってあったりなかったりなのですが、傾向としてレベルはあるがスキルは転生者しか分からない、といったことが多いです』
…なるほど、あとはやはり自分で確かめなければということか、、
日付や曜日に関しても、その世界によりけりといった具合だった。
では自分のMPについてなんですが、、
コバヤシは自身のMPが全く増やせない理由を聞いてみることにする。
『う~ん、それはあまり聞いたことが無いですが、だいたいの転生者は最初から当然のように魔法などはお使いになられます』
やはり魔法とかは自分には諦めろということだろうか、、
そんなことを思いながらも、まだ何か聞くことはあっただろうかとコバヤシは考えていると、
『ではそろそろ終業時間なのでこれで失礼させていただきますね、、』
がちゃん
切れてしまった、、まあだいたい聞けたから良しとするか、、
コバヤシはベッドで眠るドラコを起こさないようにそっと隣に横たわると、二人のステータスをいじった後で、自身も眠りに着くのだった。




