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【異世界酒場 ギネス】1-40

ランチを食べ終えたコバヤシとドラコは、メイとの待ち合わせ時刻(日暮れ)まで街中をぶらついて時間を潰すことにした。

まだこの街中をそんなに見回っていなかったしな。


眠そうにしていたドラコに「ちょっと散歩するかい?」と聞くと急に元気を取り戻し、コバヤシの手を引っ張ってあちこちに連れまわそうとするのだった。


これは前から気がついていたことだったが、この街はあの巨大な壁の内側を4つの区画、おおざっぱに東西南北で分けられており、更に中心部はまた別区画となっており、貴族達の住まいなどとして利用されているらしい。


貴族とは一体どういった人たちのことだったかな、、

遥か昔に学校で習った知識を掘り返そうとするも、あまり役に立つものは出てこなそうだった。


コバヤシたちが現在居るエリアは西区画となっており、それぞれの区画がかなりの広さをしたものであることはマップによって確認していた。


全区画を見て周るのはかなり骨が折れそうだな、、

そう思い、今回はドラコの気まま散歩に付き合うことに決めるコバヤシだった。


・・・


フードを被った、おそらくは女性と思われる冒険者が、カウンターへと近寄る。

『ギネス』の店内にはまだそこまでの賑わいを見せていない。この店が一番繁盛している時間はもっと遅くなってからであった。


フードの女は軽く周囲を見渡してから「エール」と一言だけ店のマスターらしき男に告げる。

マスターは多少いぶかしみながらも手馴れた様子でジョッキにエールを注ぐ。

女はそのエールを受け取り代金を置くと、奥にあるテーブル席へと歩いていった。


冒険者なんてものの相手を商売にしていると、どれだけ怪しそうな人間であっても、お金を払ってくれる限りは客として扱う。マスターのわずかばかりの信念でもあった。


フードのお客は、誰か知り合いでも待っているのだろうか、入り口の扉を見つめながらエールをちびちびと飲んでいる。顔を見ることは出来ない。


そのとき、入り口の扉が再び開き、次なるお客を迎える音が鳴る。


・・・


「またせて申し訳ない」

コバヤシは席に着くなりそう告げる。


「私もさっき来たばかりだったからいいわよ」

そう言ってフードの奥でメイは微笑む。


声をかけられなければ気づかなかっただろう。

なぜそんな格好をしているのかと尋ねてみると


「エルフってばれると面倒な時があるのよね」


そういうものなのか、、

コバヤシはうんざりしながらもそう告げるメイに対し、若干同情の目を向ける。


「あらためて、お礼を言わせて。昨日は本当にありがとう。あなたが居なかったら私は、、」

メイはそう言うと言葉を詰まらせる。


「もういいよ、通りかかったのは本当に偶然だったんだし」

入市税もここのお金も出してもらっているし、、


人は、様々な人たちの恩がめぐりにめぐって生かされているものなのかもしれないと、この世界に来てからコバヤシは思うようになった。

人は一人では生きていけない、、か、


「今日はドラコはどうしたの?」

ドラコにもちゃんとお礼を言いたかったのだけど、そう言いながらメイはコバヤシの顔を見る。


「あぁ、ドラコは今日の昼遊びすぎて疲れてしまったみたいで、今は宿で寝てるよ」

「そうだったの、あれだけ体力があるのにね」

そういってメイはふふと笑う。


コバヤシは店内を見回してみる。


これが異世界の酒場ってとこか、、

といってもコバヤシが知っている西洋風のパブやバーなどとあまり違いはないように感じられた。


ほのかに薄暗い店内には、まだそこまでの客が入っているようには思えない。もっと遅い時間がメインなのだろうか、、

客も様々で、コバヤシ達のように二人で飲んでいる者や、カウンターで一人の人、何人かで飲みながら話している者などなど。


コバヤシはメイと同じくエールを頼んでいた。現代のものと比べるとやや薄い気がしたが、それでも十分に美味しかった。というよりお酒自体ホント久々なんだよな、、あぁうまい、、


そんなコバヤシの様子をメイはじっと見つめていた。


「コバヤシ、実は今日ここに来てもらったのは、昨日のお礼だけって訳じゃないの、、」

そう言ってメイは、コバヤシの目を見据えながら話を切り出す。


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