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【メリエ再び】1-35

コバヤシはメイに現在の(懐)事情を説明し、なんとか入市税だけでも貸してはくれないかとメイに頼み込むことにする、するとメイは一瞬ぽかんとコバヤシを見るもすぐに吹き出し、快く全員分の税を出してくれるのだった。


「こんなのを恩返しにさせないでよね」


そう言ってメイはにやりと笑う。


「明日またちゃんとお礼をしたいわ。今日のところはお互いもう寝ましょ、、」

メイはあくびをしながら続ける。

「私は前に泊まったことのある宿へ行くわ、、あそこならこの時間も大丈夫だと思う、、」


コバヤシとメイは明日の昼にギルドでまた会おうと約束して解散することにする。


やっぱり時間の概念がアバウト過ぎる、、


現代日本で生まれ育ったコバヤシには、いまだこの感覚になじめなかった。

メイといったん別れ、コバヤシとドラコ(すでにおねむ)は懐かしの宿へと戻ることにする。


・・・


この時間はもう受付にも誰も居ないみたいだな、、

宿へと帰ってきたコバヤシは周囲を確認しながらも思う。


なるべく音を立てずに自分が泊まっている部屋へと入っていく。


明日はまずギルドへといって依頼の報告をしよう、、


コバヤシはドラコを起こさないようにベッドへと降ろし、自身もその横へと倒れこむ。


そうだ、、メイに依頼報告の手伝いを少ししてもらおう、、

報酬をもらったら、あとはいい加減お風呂へと行こう、服も買わなきゃな、、

そんなことをぽつぽつ考えているうちに、コバヤシはいつのまにか眠りにつくのだった。


・・・


電車に轢かれて異世界に飛ばされるのと、朝目が覚めたら異世界でしたとでは、どちらの方がその世界を信じるに値するスタートであろうか。


コバヤシはゆっくりと目を覚ます。

自身が何か考えていたと思ったが、いまいち思い出すことが出来なかった。


どれぐらい寝たのかはわからないが、窓から差し込む朝日を見る限り、おそらくは朝方早くだろう、、


いまだコバヤシの社畜出勤起床は健在であるようだ。

隣ではまだドラコがすうすうと寝息をたてている。


コバヤシはこの少女を起こさないようにベッドから静かに抜け出して、アイテムボックスの確認をすることにする。


ドラコの着替えを出しておこう、、いや浴場に行った後に着替えさせた方が良いか、、


コバヤシはそんなことを考えながらも、目の前ですやすや気持ち良さそうに眠る少女と違い、自身の着替えがいまだ無いことを嘆かずにはいられなかった。。


お風呂と着替えは絶対だ、、

コバヤシは固く決意する。


「ん~~~」


ドラコが寝言も取れるような取れないような言葉を呟きゴロゴロとベッドを転がる。


なるほど、こうやってこいつはベッドから落ちていたのか、、


コバヤシはどこか納得しながらも、アイテムボックスの確認を終え、宿の受付へと向かうべく部屋を出る。


・・・


「レミさん」

「ひゃっ!」


コバヤシがレミを見つけ声をかけると彼女は驚いたのか不思議な声をあげる。


「な、なんだコバヤシさんか~。驚かせないでよ~」

そう言ってどこかホッとした表情になる。

「すみません、実は・・・」

コバヤシはこの後の予定を説明し、ギルドで報酬をもらい次第ここの延長料金を支払う形でもいいかレミに尋ねる、というよりお願いする。


「まあリーシアの紹介だから、特別に許可してあげよう~」

レミは悪戯っぽく笑いながらコバヤシにそう伝えるのだった。


借金と共に膨らむ莫大な恩、、


コバヤシはレミに感謝の言葉を口にした後で再び自室へと戻る。


部屋ではドラコが、目を開けてはいないがベッドから起きてはいた。。

昨日も起きてからしばらくはこんな感じだったことをコバヤシは思い出す。


「ドラコ、おはよう」

「ん~~~~、、ぁよう、、」


ドラコは起きているのかいないのか分からない顔をこちらに向けながら、これまた挨拶かどうかもわからない挨拶をコバヤシに返す。

コバヤシはそれを見ながら微笑みつつも、一緒にご飯を食べに行くか尋ねる。


「ん~~~、、ぃう、、」

恐らくは行くという意味だろう。コバヤシは少し考えたがやはりここでドラコの服を着替えさせることにする。


お風呂のついでに洗濯も済ませたいな、、


コバヤシはぐだるドラコ(んぁ~~~~)をなんとか着替えさせてから、二人で食堂へと向かうべく部屋を出る。


その日の朝食はトーストと卵焼き(何の卵かはわからないが)、そしてドイツのソーセージみたいなのであった。やはりミルクも付く(なんのミルクかは以下略)。


朝食を目の前にすると、一瞬でドラコは目を覚ますらしい。現金な奴だな、、


ばくばくとたいらげていくドラコを見て微笑みつつ、コバヤシも食べ始める。


それにしても食事のクオリティは現代と大差ない気がする。この宿が当たりだからとかだろうか、、


またたくまに食事を全てたいらげたドラコが、コバヤシの食事をじっと見ていたのでソーセージを半分だけ分けてあげることにする。


さて、まずは、なによりもまずは、ギルドへ行って、少しでも多く報酬をゲットせねばなるまいて、、

コバヤシは昨日のダンジョン情報を頭の中でしっかり整理しつつも意気込むのだった。


・・・


「あら、ずいぶん早いわね。まだ昼前よ?」

そう言って美女エルフはコバヤシ達に挨拶する。


朝食を食べ終わってから二度寝しそうになるドラコをなんとか起こし、二人はギルドへと向かった。

しかしギルドに着くと受付前にはすでにメイが到着していたのだった。

約束の時間にはまだかなりあると思うが、、


「め~いちゃ~ん」

そう言いながらドラコがメイに抱きつく。


ほんとよくなついてるな、、というか今のってまさか現代日本の知識じゃない、よな、、

田舎で迷子を捜すおばあちゃんのことを思い出しながらも、コバヤシはそんなことを考える。


「おはよう、メイ」


どうやらメイは一足先に、ダンジョン迷宮にて自身が居たパーティーに起きた悲劇を報告しようと考えていたらしい、、

それならばと、コバヤシは自身の依頼報告も同時に済ませてしまおうと考え、受付へと共に足を進める。


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