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【地上へ】1-33

迷宮内の魔物は、どういった現象なのかは不明だが、一定の時間が経つと再び同頭数出現されることが確認されているとギルドから聞いていたコバヤシは、マップと索敵を使い今現在の迷宮にどれだけの魔物が居るのか確認する。


よし、、これなら、、


「それじゃ地上へと向かうから俺に付いて来てくれ。出来れば道中魔物に出会いたくないが、、」


コバヤシは白々しくもそう言って先導を引き受ける。


ドラコはうなずき、メイもコバヤシに従う。


それにしても、マップと索敵スキルをフル活用しててもメイのことがひっかからなかったのは“人間”をターゲットに考えていたからなのだろうか

いまいちこの二つのスキルに関してはまだわからないことが多い、やはりもう少し使い方を検証してみないとだな、、

そんなことを考えながらも、コバヤシは最下層を後にする。


「あなたたち、ここまで明かりを使わずに来たの?」

メイはドラコの後ろを歩きながら、二人に尋ねる。


「…俺達は二人とも夜目が利くから、、」

またしてもしまったと思いながらコバヤシは応える。


「ふ~ん、そうなの」

少し怪しまれていると思うが、それ以上メイは深く聞いてこなかった。


「それにしても、ここまで魔物と出会わないなんてついてるわね」

「・・・。」

実際はコバヤシがあらかじめ魔物と出会わないルートを選択して進んでいた。


地上までの道に居る魔物は、コバヤシとドラコによって大体が駆逐されてしまっていたが、それでも迷宮内全ての魔物を倒していたわけではなかったので、まだ少しは存在していた。


倒してから一定時間経つと新しく魔物が生まれるらしいしな、、


すでに色々とメイにはばれてしまってはいたが、それでもなるべくドラコや自分の実力を見せるのは避けておきたいとコバヤシは考える。


魔物を避けるためにも少し遠回りをしてはいたが、コバヤシ達は順調に地上へと近づいていく。


途中のトラップはどうしたものかと考えていたが、メイが解除方法を知っていたらしく、なんなりとそれらも突破することが出来た。


よく考えてみればそりゃ解除方法もあるか、、


メイからの「あなた達どうやってここまできたの」という視線に気づかぬ振りをして、コバヤシは地上への道を進むことにする。


・・・


「あの階段を上がれば地上だ」

コバヤシは遠くに見えてきた階段を見ながら言う。


「…魔物一匹にも出会わなかったなんて、、」


多少怪しまれてはいるだろうがまあ仕方ないことだろう。戦闘を見られるほうがリスクある行動だとコバヤシは考える。


「運が良かったのかな」

そう言いながらも、コバヤシは後ろ二人の様子を確かめる。


ドラコは何を考えてるのかは分からないが(もしくは何も考えていないのか)前を見ながらもコバヤシにしっかりと付いて来ていた。

メイは何かを考えているかのような顔だが、こちらもしっかりと二人の後を付いて来ていた。

三人はそろって地上へと出る。

スキルを使わずとも、まだ外は十分に明るかった。


「さて、地上までは無事帰ってきたけど、メイはこのあとどうするの?」

三人はダンジョン迷宮を背にこれからのことを確認する。


「…その、これももし良ければでいいんだけど、私もメリエまで一緒に行っても良いかしら、、」

メイは考えごとをしながらだろうか、コバヤシの方へ振り向きながらもそう尋ねる。


「メイ、いっしょ」

ドラコはそう言ってコバヤシの手を握る。


…正直、これ以上行動を共にすると更にぼろが出そうだが、、


「…メイは、自分が居た町に戻らなくても良いのかい?」

するとメイの顔から少し力が抜ける。


「私の里はここからかなり遠いとこだし、まだしばらくは帰る予定もないの」

帰ったらちょっと面倒だしね、メイはそう付け足して続ける。

「だから、私も連れて行ってくれないかしら。今回のことも街でちゃんとお礼がしたいし」


別に今回のことをそんなに恩に着られてもな、、


ドラコは相変わらずコバヤシの手をぎゅっと握っている。


「コバヤシ」


そう言うドラコはコバヤシの目をしっかりと見据えてくる。


…まあ、しょうがないか、、


「別にお礼とかはいいよ。こちらこそ良ければ、一緒に行こうか」

そう告げると、メイはずいぶんとおおげさに喜ぶのだった。


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