【トリオ】1-31
「ドラコ、少し離れて待機していてくれ」
コバヤシはドラコにそう告げると、ドラコは不思議そうに首をかしげながらも言うとおりに少し離れていく。
さて、、どうでるか、、
「・・・う、ん、、」
女性の目がゆっくりと開く。すると同時に勢いよく跳び上がり、臨戦態勢に入りながらも周囲を素早く見渡す。
「!? あなた達はだれ!」
女性はコバヤシ達を見つけるなり叫ぶ。
「…私達はたまたまここであなたが倒れているのを見つけたものでして」
何度も同じ手を使うのは芸が無いかもしれないが、ここはやはりリーシアさんの時と同じ手を使うことにする。
「あなた達が、、?」
そう言う女性の顔からは疑念の意がひしひしと伝わってくる。まあ無理も無いか、、
「、、ここには主も居たはずだけど、、」
女性はいまだ周りを警戒しながらも尋ねる。どうやらすぐそばにある消し炭がそのなきがらだとはまだ気づいていないみたいである。
「いえ、私達が来たときには」
「ドラコが倒した」
・・・。
ドラコと口裏を合わせることをすっかり忘れていた。
ドラコはというと誇らしげに胸を張っている。
「…え、ドラ、コ、、? あなたが倒した、の、、?」
女性は誇らしげなドラコを上から下までじろじろと見る。
というかこんなとこに子供が居る時点でかなり怪しいんじゃ、、
いまさらコバヤシはそんなことに気がつく。
「コバヤシもほめてくれた」
えっへんと、ドラコはさらに胸を張る。あぁ、、
「コバ、ヤシ、、?」
女性は今度はこちらをじろじろと見る。
しょうがないか、、
「ええ、実は私とその子で、主、と言いましたか、はなんとか倒したんです」
目の前の女性は今度はぽかんと口を開けコバヤシを眺めている。
「そこの消し炭みたいなのが、さっきのクモだったものです」
コバヤシがそう言って指差すと、女性はその消し炭に気がつき、慌ててそこから離れる。
「こ、、これが、、?」
女性は半信半疑でそれを眺めている。
まあ普通だったら信じられないかな、、
コバヤシがもし女性の立場だったら絶対に何が何でも信じないという自信がある。
「……ま、わかったわ」
女性は抜いていた小剣?を鞘へと戻し、改めてコバヤシの方へと向き直る。
「どうやら助けてもらったみたいなのに疑ってしまったみたいで、、ごめんなさい」
なんと、、
「信じるんですか、、?」
コバヤシは自分から思わずそう尋ねてしまっていた。
「ふふ、まあその子が居なかったらかなり怪しかったかもね」
そう言って女性はドラコの方を向く。
ドラコは再びふふんと胸を張っている。
いや、そもそもおまえが原因で疑われた感はあるんだぞ、、
「こんなとこに来れる子供が普通だとも思えないし、、」
そうぽつりと目の前の女性は呟く。
「わたしはメイリィア、メイでいいよ。改めて礼を言うわ、ありがとうコバヤシ、と、、」
「ドラコ、ドラコ」
そう言ってドラコはメイの元へと近づく。
「ドラコね。ありがとう、ドラコ」
メイはドラコの頭を撫でながらそう言う。
「メイさんは、一人でここまで来られたんですか?」
コバヤシはそんな二人を眺めながらも、ずっと疑問に思っていたことを聞く。
「メイでいいわ、それに敬語も。いえ、、最初は五人組のパーティーだった、、」
・・・。
聞いたことを少し後悔する。
「…私達は、もう地上へと帰るつもりですが一緒に来られますか、、?」
「メイも、くる」
コバヤシがそう言うと、ドラコも一緒に言葉をかける。
それにしても初対面でドラコがこんなになつくとは、、
「…あなた達さえ良ければ、お願いしても良いかしら、、」
メイは遠慮がちにこちらを見る。
「もちろんです」
「ドラコ、メイ守る」
ドラコはそう言ってコバヤシの顔を見る。
「ふふ、ありがとう。それと、、敬語はやめて」
メイはそう言って悪戯っぽくもコバヤシを見る。
「え、と、、わかった。それじゃ、よろしく。メイ」
「ええ、よろしく!」




