【“party”】1-26
「ドラコ、ちょっと待ってくれ」
少し後ろを歩いているドラコにコバヤシは声をかける。
ドラコはいつのまに拾っていたのか長い木の枝を、気分良さ気に使っていた。
この調子なら昼前ごろには目的地へと着きそうな気がするが、、
ドラコと自分のAGIによる影響だろうか。普通よりは速いペースなのかもしれない。
ドラコも自分もいまのところ疲れはまるでないように感じられる。ドラコにいたっては元気120%といった感じだ。
さて、まずは昨日新たに発見した“party”というものについて確認してみることにする。
ドラコの方をじっとみると、やはりそばに“party”と表示される。
そしてその表示を意識すると、やはり今度もドラコのステータスらしき表示が再び出るのだった。
街中で何人かを確認してはみたが、このpartyという表示はいまのところドラコ以外には表示されなかった。
partyになった人間のみ、その人のステータスが表示されるとかだろうか、、
「ドラコ、ステータスってなにか分かるか」
木の枝で地面に落書きをしていたドラコはこちらを向き、首を横に振る。
レベルと同様、ドラコはこれを知らない、、
他の人にも街へ帰ってみたら確認してみるとして、レベルやステータスといった概念は自分にしか存在していないのだろうか。
ここまでゲームのような世界ならあってもおかしくはなさそうなものだが、、
コバヤシは意を決し、再びcallを実行してみる。
・・・
“call”
たたたた~ん♪た~ん♪たたたた~~んたん♪たたた・・・
周りの景色とまるでそぐわない宇宙感あふれる呼び出し音である。
がちゃ
『よばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃ~んのサポートセンターでござる、でゅふ』
・・・。
「…一つ、聞きたいことがあるんですが、、」
『一つといわずにいくらでも聞いてくだされコバヤ氏!』
そろそろこのサポセンとやらに対し何も感じなくなっている自分気づく。それにしても名前のイントネーションがおかしいと思うのは気のせいではないはずだ。
「…昨日からある個人に対してのみ“party”という表示が見えるようになったのですが、これには何の意味が、というよりそもそもこのpartyとはなんなのですか?」
コバヤシはサポセンの言葉を無視して続ける。
『party機能でござるか! さすがコバヤ氏お目が高い! partyの組み方は世界ごとによって異なってくるのでござるが、partyのシステム自体は同じでござるな』
ふぅふぅ息を切らしながらサポセンは続ける。
『partyを組んでいるメンバーとは経験値とSPを共有することが出来るのでござるよ、けしからんでござるな!』
経験値とSPの共有、、
『ところでコバヤ氏はどなたとpartyを、、、、ようじょ、、、幼女キタァアアアアア!けしからんコバヤ氏!ぜひ拙者にその幼女とはなs』
がちゃん
コバヤシははじめてこちらからcallを終了する。
・・・
ドラコはお絵かきをやめてコバヤシの方をじっと見ていた。
他の人から見ると、おそらくひとり言を言っている人間になってしまうか、、
コバヤシは次からcallをする時は一人で居る時に無言で行うことにしないとなと心に留める。
「待たせて悪かったね」
そう言ってコバヤシはドラコの頭を撫でる。
それにしても経験値とSPの共有か、、
コバヤシはドラコのステータスを開いてみる。
…これは、、
そこでコバヤシは、自身のSPを使いドラコのステータスも操作できることを発見する。
「ドラコ、何か変わった感じはあるか」
試しにそれぞれのステータスを+10ずつしてみる。
「ん~~~~? しない」
特に変化は感じないということだろうか、、
まあ自分のステータスを色々いじっていた時も、大きく変化を感じた時とそうでなかった時との差が激しかったもんなということを思い出す。
しかしこのparty機能のおかげで、ドラコの安全もどうやら簡単に守れそうだなと考えていると、久しぶりに、索敵にひっかかる存在があった。




