【ダンジョン迷宮へ】1-25
「その依頼、受けさせていただけないでしょうか」
コバヤシはそう言ってギルドの受付嬢と目を合わせる。
「え、、あ、は、はい!」
受付嬢はいきなり話しかけられたことに驚いたのだろうか、コバヤシと目が合うと一瞬飛び上がる。
「驚かせてしまいすみません。実は先ほど少しお話が聞こえてしまって、、」
「は、はぁ、、こちらの依頼書のことでしょうか、、」
そう言うと受付嬢は手に持っていた紙をコバヤシに見せる。
そういえばこの世界の紙はコバヤシが知っているような紙とは少し違う、なんというか“粗い”印象を受ける。
「はい、そうです」
受付嬢はちらりと先ほど話していた小柄な老人の方を振り返る。
「…きみ、等級はいくつだね」
受付の奥からその老人が出てきてコバヤシに尋ねる。
「Gです」
「この依頼は“危険度調査”だから、いちおう等級フリーで出すものの、どれだけ危険なのか、危険になるのかはわからない、それでも良いんだね?」
老人はコバヤシの目を見ながら尋ねる。小柄な老人とは思えないほど鋭い目つきへと変わっている、、
「はい、それで結構です」
コバヤシは老人の方を見て応える。
・・・。
「ネリネ君、では彼に依頼の詳細を教えといてくれ」
「は、はい!」
小柄な老人はそういって受付嬢の肩をたたく。
「死にはせんようにな」
「ありがとうございます」
そうコバヤシに言う姿はどこか面白がっているようにも見える。
依頼の詳細を受付から聞き終わったところで、掲示板を見るのが飽きたのか、ドラコがてとてととコバヤシの下へと歩いてくる。
そこで、周囲からの不審な目に気づく。
そうか、、子供連れなんてここには居ないよな、、
目の前のネリネなる受付嬢に至ってはドラコをまじまじと凝視しているが、特になにも尋ねてこない。
冒険者のプライバシーを詳しく聞くのはあれとかそういうのだろうか。
普通の子供とは言いがたい目の前の少女は、そんな周囲の視線などどこ吹く風といった感じでふああとあくびをしている。
「コバヤシ、まだ」
そう言ってドラコはコバヤシのズボンを握ってくる。
「待たせたね、もう終わったから行こうか」
コバヤシは受付嬢にお礼を言い、ギルドを後にするのだった。
コバヤシがこの依頼を受けたのにはいくつか考えがあってのことだった。
①もう少し報酬が良く②ドラコの龍モードが他の人に見られる恐れが少なく③自分でも受けれる等級の依頼
今回の依頼はこれらすべての条件を幸運なことに満たしていたのである。
新しく見つかったというダンジョン迷宮(それにしてもこのネーミングセンスは、、)はここから歩いて半日ほどの距離だという。
ダンジョンで迷宮ということなのだろうか、、本当にまるでゲームのようである。
あとは索敵とマップを駆使すれば、十分にドラコの能力も確かめられるだろう。
あ、またレベルに関してドラコ以外の人間にも確認するのを忘れてしまったなということに気がつく。
まあそれは帰ってきてからまた考えるか。
目的地に向かう途中とかで、昨日発覚した“party”なる機能だけでも確認しておくか、、
コバヤシはさっそくマップのスキルを全開にして、目的地へと向かうべく街を出る。
・・・
だいぶ街から離れただろうか、、
コバヤシとドラコは森の中を、コバヤシは迷わないように、ドラコはなかば遠足気分で、目的地へと向かい奥へ奥へと進んでいた。
それにしてもいまだ魔物はおろか人間にも出くわさない。
ここまで出くわさないとなると本当に魔物なんて居るのだろうかという気さえしてくる。
いちおうマップと索敵で辺りを常に警戒はしているが、ここまで来たらさすがにもう誰かに見られる心配は無いだろうと考え、コバヤシは再びいくつかの検証を開始することにする。




