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【依頼完了と報告】1-20

宿屋を出る際に、リーシアさんが普段居るという場所をレミに聞いておくことにする。


「リーシアなら普段は家の手伝いをしているはずだと思うよ~、この時間なら、用事とか無ければ家に居るんじゃないかな~」


そういえば今日はやらなければならないと言っていたな、、


「ありがとうございます」

そう言ってコバヤシはレミに対し頭を下げる。


レミはそれをぽかんと眺めながらも、コバヤシに対し、どうやら前から疑問に思っていたらしきことを口にするのだった。


「いえいえ~。ところで、コバヤシさんのその頭を下げる仕草?は、、コバヤシさんの国の挨拶とかなんです~?」

そういってレミは頭をぺこりと下げる。


そうか、、どうやらこの国では、またはこの世界ではお辞儀をする文化が無いのだろう。

お辞儀をするたびに相手の反応がワンテンポ遅れる理由を、コバヤシはようやく理解できた。


「そうですね、、これは私の国ではいちおう相手に対しての感謝とかを示す時や、あとはただの挨拶とかでもしますね」

「やっぱりそうなんですね~」

レミはにっこりと笑いながら再びお辞儀する。どうやらはまったらしい。


「で、ではギルドとリーシアさんのところへ行ってきます、、」

「は~い。いってらっしゃ~い」


ぺこり。


・・・。


ギルドの建物が見えてきた辺りで、コバヤシは採取していたヒエラ草を全てアイテムボックスに入れっぱなしにしていたことを思い出す。


しまった、、手ぶらだったのとドラコのことで頭いっぱいだったからとですっかり忘れてしまっていた、、


人前でアイテムボックスを使うのはなんとなくためらわれたので、路地裏でこっそりとヒエラ草を取り出すことにする。


なにかカモフラージュ用のバッグとかを買っておくべきだろうか、、


しかし魔法なんてものが存在している世界なのだとしたら、このアイテムボックスのような魔法があってもおかしくないのではないか、そんなことを考えながら、コバヤシはギルドの扉を開ける。


・・・


両手いっぱいにヒエラ草を抱えて入ってきたその男の目つきは、ベテランの冒険者ですら目をそらしてしまうほどの威圧的な眼光を放っている。


― あの冒険者だわ、、


今日の朝ここで受付を担当したネリネは、その冒険者がギルドに入ってきたことに気が付く。どうやら依頼を終えて帰ってきたようだ。


― あの採取量の依頼をこんなに早く終わらせてくるなんて、、


確か、コバヤシ、といったか。彼はネリネのほうへと歩いてくる。両手にはヒエラ草をたくさん抱えている。


― バッグとかないのかしら、、


そういえば服装が変わっている。あの変な上着は着ておらず、まるで下着のような肌着になっていた。それでもまだずいぶんと変わった格好である。


― う~、やっぱりこっちに来る、、


どうしてもあの目が苦手なネリネだった。周りの屈強な冒険者達でさえも目をそらしているように見える、、


「すみません」


彼はネリネに話しかける。


「は、はい!」


なるべく恐がらないようにしながらの対応を心がけようとするネリネ。


― 大丈夫! この人は目つき以外まっとうよ!ネリネ! …目つき以外は、、

ちらりとコバヤシの顔を見る。


「っ!」


― やはり恐い、、この方が他の冒険者からまるで声をかけられないのもこの目つきのせいなのでは、、


「依頼が完了したのですが、報告みたいなものはここでよろしかったでしょうか」

目の前の男はとても丁寧な口調で尋ねる。


「は、はい、大丈夫です、こちらで確認しますので少々お待ちください、、」

男はぺこりと頭をさげようとしてなぜかそれを途中で止める。

そして「わかりました、よろしくお願いします」とだけ言って掲示板のほうへと歩いていった。


― 今のはなんだったんだろう?


ネリネは不思議に思いながらも、渡されたヒエラ草の数と質を確認していくのだった。


・・・


「コバヤシさん、お待たせしました、、」

呼ばれてコバヤシは眺めていた掲示板から、再び先ほどの受付前へと戻る。


他の依頼は後でもう一度見ることにしよう、、


「あ、あの、確認できましたので報酬のほうをお渡しさせていただきますね、、」

そう言って受付の女性はコバヤシの前に何枚かの硬貨を差し出す。


「…ありがとうございます」

コバヤシは渡された硬貨を大事そうに受け取る。これがこの世界でもらう初給料といったところか、、

しかしあらかじめ分かってはいたが『3シル』の報酬、、


「あとで、もう一度依頼を受けたいと思っているのですが大丈夫なのでしょうか」

コバヤシは受付に尋ねる。

「え? あ、はい、、もちろん大丈夫です、」

「そうですか、、それではまた後で受けれたら受けてみることにします」


ドラコの生活費も稼がないととなると、、


コバヤシは色々と考えながらもギルドを後にする。


宿を出る前にレミが教えてくれた場所へと向かってコバヤシは足を進める。

こういうときマップのスキルは本当に便利である。

マップスキルは最大だと半径2kmぐらいまでの表示が可能のようだ。あくまで体感としてはであるが、、

大通り以外はところどころ入り組んだ造りの道も多く、スキル無しではおそらく迷子になってしまうだろう。


また、このスキルを使いあらためて確認できたことだったが、やはりこの街は巨大なあの壁にぐるっとまるく囲まれているようだ。まるで城塞都市のような街じゃないかとコバヤシには思われた。


確かになかなか規模が大きい街のようである。


しばらく歩くと目的の場所へと着き、そこに立つ建物を見てコバヤシは少し驚く。


そこには、なんとも良い匂いを漂わせたパン屋があった。


入り口に『焼きたてパン ~ クウォーツ ~ 』という札が付いている。


リーシアさんの家はパン屋だったのか、、


外見は、ヨーロッパのどこかの国にでもありそうな小さい個人経営パン屋といった感じだ。


そういえば朝以降何も口にしていなかったということに今更気がつき、夜までのちょっとした間食でもあればここで買っていくかと考える。

ドラコにも何か買ってってやるかと思い、ふと笑みがこぼれる。

しかしすぐに自分の懐事情を思い出し気分が滅入る。


まあ、夕飯は宿で出るのだから、、手持ちと、あとは値段次第、だな、、


そんなことを考えながらも、コバヤシは異世界でのパン屋に心を躍らせながら中へと入っていく。

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