【続検証】1-17
ステータスの各項目について詳しくは理解できた。次はこの数値をいじることによって自身の身体能力がどのように変わるのかを確認しておくか、、
あいかわらずMPを上げることは出来ない。そういう仕様なのだろうか、それともなにか条件を満たしていないとかだろうか。とにかくMP以外で検証できることを確認してみる。
まだSPは豊富にあるので検証分に関しては何も問題は無いだろう。
まずはSTRを最大値まで上げてみる。どのステータスも最大値は999までのようだ。
どれ、、
地面に落ちている石を拾い力を入れてみる。
パキャ
・・・え?
一瞬で砂のようになってしまった、、
今度は一番近くの木に向かって新しく拾った石を本気で投げてみる。
すると、ひゅおっという音と共に石はものすごい速さで木を貫通し、五本ほど貫通したところで木にめりこみ止まる。
・・・。
なんて恐ろしい、、これはステータス調整と手加減とをじっくり考えていかないとまずいだろう、、
試しにSTR最大の状態で手加減はどのくらい出来るのだろうかと、近くの木を軽く蹴ってみる。
ズガっという大きい音と共に木に亀裂が入る。
手加減してもこんなになってしまうのか、、STRの数値は元に戻すことにするか。
この数値はそこまで必要ないだろう。必要性がでた時につど調整すればいい。
次はHPとVITを最大にまで上げてみる。
しかし最大まで上げてみても体感は特に何も変わらなかった。何か攻撃を受けたりしないと気づかないものなのだろうか、、この二つはとりあえずこのままの数値にしておいて様子を見よう。
同じくDEXとLUCも数値による感覚的違いは見られなかったが、この二つに関してはコバヤシの「とりあえず生き抜く」という目的に必要性をそこまで感じなかったので、ある程度の数値に設定しておくことにする。
最後にAGIである。
ちなみにINTはMPの無いコバヤシには意味がなさそうだったので特にいじることはしなかった。もし魔法が使えるようになったならばMPとINTをいじってみることにしよう。
AGIに関してはすで体感としてあるていどの理解はしていたが、最大にしてみてるとそのあまりの変化に恐怖する。
これは、、100mを二秒ぐらいで移動出来てるんではないだろうか、、とんでもないな、、
どう考えても人間の動きではない、、
しかし加減が難しかったSTRの時と違い、どうやらAGIを最大に上げても、コバヤシが本気で動くということを意識しない限りは“人間的な”速度での動きをすることができた。
これは万が一のとき用に高めの設定にしておくか。
HPとVITに関してはまだよくわからないが、これでとりあえずはあっというまに殺されてしまうということはないだろう。
そこでドラコが、先ほどコバヤシが亀裂を入れてしまった木に向かって何かしようとしていることに気づく。
「ドラコ?」
ドラコはゆっくりと右手を上げる。
!?
ドラコの右手がまるで恐竜のような鉤爪のついた凶悪そうな手へと膨らみながら変化していく。
な!?
そしてそのままその右手を木に向かって振り下ろす。
鈍い音が響く。とてつもなく深い傷の入った木はゆっくりと倒れていく。
ドラコはこちらを振り向く。右手だけが、いまだ恐竜のような手になっている。
どうなってんだこれは、、
するとその右手がしゅるしゅると元の人間の手へと戻っていく。
「・・・」
これはとんでもない子を拾ってしまったような気がする。
「…ドラコ」
ドラコはこちらをじっと見つめる。
「いまのは、、なんなんだ・・・?」
ドラコはコバヤシの目をじっと見つめ、そして自身の右手を差し出す。
「どらこ、右手」
そう言って右手を下ろす。
・・・。
…なるほど、これで説明は終わりらしい、、
「…もしかすると、左手も出来たりするのか、、?」
するとドラコは自身の左手を見る。
コバヤシの前に差し出す。すると見る見るうちに左手が先ほどの恐竜モードみたいに変化していく。
「…できた」
ドラコはそれだけ言うと左手を下ろす。また人間モードへと戻っていく。
もしかすると全身恐竜モードみたいになれるのかもしれないぞこれは、、
いま確認するのはさすがにためらわれたので、これ以上はコバヤシも深くつっこむのをやめることにする。
ただ、、、
「…ドラコ」
コバヤシはドラコの両肩に手を置いて話す。
ドラコはこちらをじっと見つめる。
「…さっきのはすごいが、俺の前以外ではしないでくれるか、、」
ドラコはしばしコバヤシをじっと見つめた後でこくりとうなずいた。
自分以外の人間の前でやられたらドラコがどうなるかわかったもんじゃないしな、、
ステータスの確認と、ついでにドラコの爪モードの確認も出来たことだし、そろそろ依頼を終わらせて街へ戻ろうかと考え、コバヤシは残りのヒエラ草採取へと戻ることにする。
採取を終えたコバヤシは、街へと帰ろうかとドラコの方を見る。
ドラコは基本的にはコバヤシの後ろにずっと付いてきておりあまり離れようとするそぶりは見えない。
まずはあの門番達にこの子をどう説明したもんかと少し考える。
「…行くか、、」
コバヤシがドラコに向かって小さくそう尋ねると、真っ赤な瞳の龍の子は、静かにこくりとうなずいた。




