【命名】1-16
“call”
たったらた~ら~た~ら~♪たったらた~ら~た~ら~♪
今回は例のロボットアニメの歌である。こっちの頭の中を把握でもしているんだろうか、、
がちゃ
『ぅい~っす! こちらサポセンっすぅ』
・・・。
なんだこのあんちゃんは、、
『あんちゃんてw いやサポセンすよサポセン! んよろしくっすぅ!』
まあ、もうなんでもありなんだよな、、
『んで何かお困りっすかぁ??』
コバヤシは目の前の赤毛少女と、卵を見つけた経緯について説明してみる。
『ん~なるほどっすぅ! でもすんません! そっちの世界の詳しいことに関してはうちらってよく知らないんすよぉ。だからぶっちゃけ手伝えそうにないっすね!』
『攻略本的な使い方は出来ないらしいんすゎ! ウケる!』
なにが“うける”のかよくわからなかったが、それではと、今度はステータスについて気になっていたことをいくつか聞くことにする。
目の前の子供はそんなことは知らずとしゃがみこみなにやら地面を凝視している。
「ステータスの各項目についてわからないのがいくつかあるので詳しく知りたいのですが」
『ステータスっすね! それなら応えられるっすわ~余裕のよっちゃんこす! ちょっと待ってくださいっすよ~』
そう言うやいなや目の前に表示が現れる。
・HP … 0になると死ぬ。0に近づけば近づくほど辛くなるきつくなる
・MP … 魔法を使用する際に必要とされる力。これが無いと魔法使用不可。
・STR … Strength 物理的な力の強さ。腕力、筋力。
・VIT … Vitality 丈夫さ。持久力。
・DEX … Dexterity 器用さ。命中力。
・INT … Intelligence 魔法攻撃力。
・AGI … Agility 敏捷性。素早さ。回避力。
・LUC … Luck 運
『こんな感じっすかね~』
…なるほど、アバウトではあるがこれで自分のステータスについてはおおまかに理解することが出来た。
しかしなぜ自分のMPを上げることは出来ないのだろうかと、前に不思議に思ったことを聞こうとする。
ちゃんちゃ~んちゃんちゃ~ん♪ちゃんちゃ~んちゃんちゃ~ん♪
…これは、閉店の時に流れる、、
『あ~っすいまっせんっ! 定時なんで自分はこれで! うぃ~っす! ありあとっした~! またおねがいしまっすぅ!』
がちゃん
・・・。
また定時か、、。
ふとコバヤシは会社で働いていた時に定時という言葉は聞いたことすらなかったなということを思い出してしまう。
目の前で赤毛の子供がまた自分を見つめている。
この子供はどうしたものか、、
「なにか、しゃべれるか?」
・・・。
ここに放っておくのも気が引けるが、、街まで連れてってみるか、、どう言い訳をするかまた一つ課題が出来てしまうが。
あれこれとうんうんコバヤシがうなっていると、子供はコバヤシのポケットの辺りをぎゅっと掴む。
・・・とりあえず連れて行って考えてみるか、、
コバヤシは子供の頭をぽんぽんと撫でる。
しかし名前がないと呼びづらいな、、
「…お前は名前とかあるのか?」
・・・。
分かってはいたが返事は無い。そもそも言葉は理解できているのだろうか、、見た目は確かに人間の子供だが、、まあ生まれたばかりだしな
龍の子供、、ドラゴンの子供、、う~ん、、
「…“ドラコ”で良いか、、」
コバヤシは自身のネーミングセンスはまるで無いことは理解していた。すると、
「どらこ」
子供が初めて言葉を発する。
「喋れたのか、、。俺の言葉が分かるか?」
ドラコはこくりとうなずく。
生まれてきたばかりのはずなのにすごいなと驚きつつも、コミュニケーションが取れることにコバヤシは安堵し、いくつか質問することにする。
「俺はコバヤシ。こばやしあきらだ」
「こばやし」
復唱するのがどこか面白くコバヤシはふとほほを緩める。
「おまえの両親はどこにいるのか分かるか?」
ドラコは不思議そうな顔をして頭をひねる。
まあいま卵から出てきたばかりだもんな、、分かるはずもないか、、
「お前は、、龍、ドラゴンなのか?」
ドラコは再び不思議そうな顔をして頭をひねりながらも応える。
「どらこ、どらこ」
そしてこくりとうなずく。
うーん、いまいち意思の疎通が出来てるようで出来てないようでといった感じである。
「もう少ししたらお前も連れて街に帰るから、それまでここで待っててくれるか?」
コバヤシは帰る前にあと少しステータスの追加検証をしようと考えていた。
ドラコはこくりと首を縦に振る。
よし、、それじゃあまずは、と、コバヤシは自身のステータスを開く。




