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【依頼2】1-14

 冒険者ギルドとは、依頼者と冒険者の方々とを結びつける役割を担っています。

依頼者がギルドに出された依頼は、あちらの掲示板に張り出されますので、そこから冒険者の方々は自分達にあったレベルの依頼を受けるという形となっております。

なお、あちらの赤枠の掲示板が主に討伐系依頼、青枠が主にそれ以外の依頼といった形で分けさせていただいております。


冒険者の方々はギルドへの貢献度や依頼の達成数などによって自身の冒険者等級を上げることができ、等級が上がると受けられる依頼の数も増えていきます。

冒険者等級はGに始まり、最高位はSとなっております。昇級に関しては主としてこちらの方で判断させていただくことがほとんどですが、だいたいの目安のようなものはありますのでもし気になるようでしたらお尋ねください。


以上で説明は終わりとなりますが、最後に、その、、依頼における負傷や事故・死亡などの責任は全て自己責任となりギルドでは一切の責任を負いませんので、、お願いします。。



「丁寧にありがとうございます」


コバヤシはそう言うと受付から離れさっそく掲示板へと向かう。もちろん青枠のほうである。

割合としては青枠6・赤枠4ぐらいの依頼量といった感じだ。

報酬は依頼完了報告と引き換えになってる場合がほとんどのようだ、、


コバヤシは自身の登録証とやらを見る。昨日もらった身分証と形や作りは似ているが、こちらには名前のほかに大きく『G』という文字が印字されている。正しくはGを意味するリゼリア語だったが、スキルによってこういった“意味”の自動変換がなされているのだろう。これがおそらく今の階級を指してるのだろう。

もしかしたら自分の知らない知識や概念なども勝手に翻訳してくれているのかもしれないな、、


さて、なんの依頼を受けたものか、、なんとか今日中に達成できて報酬がもらえるものでなくては、、


「そんなの全然金になんねえって、こっちの方が良いって!」

「お前こないだもそういうこと言って危ない目にあったじゃないか。今回は僕に従ってもらうぞ」

「あれはほんとたまたまだってばぁ! なぁそんな金になんないのやめようぜ~」


隣で三人のグループが話していた。どうやら討伐系の依頼を受けるかどうかで揉めているようだ。


そうか、、もしかしたら彼らのように何人かでグループを組む冒険者が多いのかもしれないな。

辺りを見渡してみると、コバヤシ以外にも一人で居る人間は何人かちらほらと見ることが出来た。


それにしてもこの格好はやはり場違いすぎる、、


何人かはコバヤシの服をじろじろと見、コバヤシの顔を見ると途端に目をそらすのだった。

もしや、、この世界の人間にとっては自分の顔がひどく恐ろしく映ってるのでは、、コバヤシはふと悲しいことを考える。

しかしそれだとこれまでの人々の反応に説明もつく、、ついてしまう、、


『南の海近く付近にて採取できるヒエラ草の採取 等級フリー』

悲しい気持ちになりながらも、コバヤシは数ある依頼の内の一つを手に取る。


南の海というのはおそらく自分が昨日居たところだろう、、これなら一度行ったことのある場所でもあるし、、等級も関係なしに受けられる依頼のようだ。


コバヤシは他の冒険者がやっているのと同様に、依頼書を掲示板から剥がし受付へと持っていく。

「これを受けたいのですが…」

コバヤシは依頼書を先ほどの受付へと渡しながら尋ねる。

「は、はい…」

恐る恐るといった感じで受付は依頼書をコバヤシから受け取る。


「ヒエラ草の依頼ですね。こちらは大学の研究所からの依頼になります。」


大学があるのかとコバヤシは少し驚く。もっともコバヤシが居た世界の大学とは一緒でないのかもしれないが。


「えーと、、これがヒエラ草になりますので、、」

そう言って受付はなにやらドクダミのような草を取り出す。匂いは特にしない。


「これを30本とありますね。ここにも書いてあるとおりで、南の海近くに生えてることが多いです、、」

「了解しました。説明ありがとうございます」

「よ、よろしくお願いします…」

コバヤシはさっそくギルドを出て、昨日街まで来た道順を逆戻りすることにする。


先ほどヒエラ草を見てみたところ、しっかりと鑑定スキルが発動していたので、かたっぱしからこれで調べていけばおそらく問題ないだろう。


それにしても地図とかはないのだろうか、、ギルドで聞いておくべきだったか、、


そうこうしているうちに昨日の西門だっただろうか、にたどり着いた。


これは、、出るときは普通に出れば良いのだろうか、、


昨日も居た門番達は、どうやら街を出て行く人間のことはチェックしていないようだ。

コバヤシはなんとなくこそこそと門を抜けていく。


昨日の道順を思い出しながら、森の中へと進んでいく。索敵スキルには相変わらず何も引っかからない。

このあたりは比較的平和なのかそれともこの世界自体がそもそも思ったより平和なのか、、


途中で昨日の暴漢達がどうなっているか確認だけでもしてみるか、、さすがにまだ同じ場所で倒れているということはないだろうが。

ついでにまだ検証していないboxや称号などの確認もしていこう。


しかし、森に入ってすぐに気づく。


これは、、どうやら迷子になってしまっている気がするぞ、、


夜ではないからまだましかもしれないとはいえ、自分の位置がわからない状況というのはかなりまずい、、

携帯というもののありがたみがよくわかる、、さて、どうしたものか、、


なにか良いスキルはないだろうかとメニューを確認してみると“マップ”というスキルが追加されている。

これはなにやら使えそうなスキルだと思い、鑑定スキルと共にスキルレベルを上げようとしたところで、SPがすでに無いことを思い出す。


しょうがないので昨日marketで購入した“SPまとめ買いお得セット”を、今回は二つ購入することにする。

これで現在のSPは2000か。

さっそく先ほどのスキル二つをレベルマックスまで上げようとすると、どうやら鑑定のほうは1が最大レベルだったようだということに気づく。


そういうスキルもあるのか、、


マップスキルは10まで上げることが出来た。そこで自身の視界の右端、callとmarketの更に下にmapという表示が増えたことに気づく。


“map”


やはりこれも念じるだけみたいだな、、


目の前に大きな地図の表示が浮き出る。まるで投影された3Dマップのようである。

赤く点表示されているのが自分だろう。動くとそのとおりに赤い点も動く。

これは便利だな、、これと索敵の組み合わせにより更に有効利用できるのではないかとコバヤシは考える。

といっても索敵はさっきからなにも反応しないので現時点では試しようが無かった。


とにかくこれで現在地と海辺の方角がわかったので、そちらに向かって再び歩き始めることにする。

海辺に着いてからいくつかの検証の続きをすることにしよう。

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