【依頼1】1-13
建物内側もとても大きな造りになっていた。どうやら酒場が併設されてるようだが、今は朝のためかそこまで人は多くない。奥に受付のようなところが三箇所、それ以外に目立つものは巨大な掲示板が2つあることだった。
大学にあったようなのみたいだな、、
それぞれの掲示板は赤い縁取りのものと青い縁取りのもので分かれている。なにか意味があるのだろうか。
掲示板にはそれぞれ様々な内容の依頼が書き込まれた紙が所狭しと貼ってある(『東の洞窟に住み着いたゴブリンの駆除』『南の森にて三種の薬草採取』『クヌー鳥1匹捕獲』『剣術指導』etc...)
なるほど、これが“依頼”とやらで、これをこなせばおそらく報酬を得ることが出来るということなのだろう。
まずは組合に“登録”をしなければならないのだったかと、コバヤシは受付らしき所へと足を進める。
「すみません」
「あ、はいは、、ひっ!」
受付の女性はコバヤシの顔を見るなり一瞬悲鳴のようなものを上げる。
何か驚かせることをしてしまっていたのだろうか、、
「…あの、、」
「あ、す、すすみませんすみません! …なにかご用件でしょうか、、」
受付の女性はちらちらとコバヤシの顔を見つつも対応する。
「依頼を受けたいのですが、最初は登録をしなければならないとお聞きしましたので」
受付の女性は一瞬ぽかんとコバヤシを見るがすぐに元に戻る。
「冒険者登録ですね。登録手数料は2シルになります、、。」
確かこの銀色の硬貨が“シル”だったはず、、
コバヤシは先ほど鑑定スキルで得た情報を元に銀の硬貨を二枚出してみる。
「はい、確かに。では登録証を作りますのでこちらに必要事項の記入をお願いします」
受付から差し出された1枚の紙にはいくつか自身の情報を記入する欄がある。
名前、年齢、性別、現クラス、現住所、、、
現クラス?
クラス、クラス、、なんだったかこれは、、
コバヤシが遥か昔にたしなんでいたゲームにもこういうのはあった気がした。
年齢はいま適当にでっちげる(18ということにしておこう)として、現住所か、、
コバヤシは自分が昨日泊まった宿の名前を確認などしていなかった。
とりあえずわからないところは書かずに出してみるか、、
「お願いします」
記入した紙を受付へと差し出す。
「は、はい!」
なぜこうもびくびくしているのだろうか、、まるで強盗にでもあっているかの対応だ、、
そういえばここのギルドに居る人種は、先ほどまで自分が朝食をとっていたあの広い食堂と比べて、なんというか“屈強そうな”人間が多い気がした。ぱっと見てもいかにもな戦士風な人や魔法使い風な人など多種多様である。
そうだ、クラスとは確か職業とかそういった意味だったような気がする。まあ自分のクラスなど分からないのでどちらにしろ未記入なわけだが。
「はい、確かに承りました。では最後にこの街での身分証を拝見いたします…」
身分証、、昨日門番から渡されたやつだろう。
コバヤシはその身分証を受付へと見せる。
というかさっきの書類、未記入の部分ありでも良かったのか、、
「ありがとうございます。それではこちらがコバヤシ様のギルド登録証になります。なくされますと再発行に手数料がかかるのでお気をつけ下さい」
「ギルドの説明はお聞きになりますか…?」
受付嬢はおずおずといった感じで尋ねてくる。
入手できる情報は出来るだけ取得しておくべきだろう。
「それではよろしくお願いします」




