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【細工と報告】3-18

見えてきたその街を見つめながら、さてどうしたものかと、コバヤシは少し頭をひねる。

さすがにまだ“王”が消えたことに気づいた人間は居ないだろうとは思うが、、

どうすれば一番()()()()()()()()だろうかと、彼はしばしの間立ち止まり考える。


…よし、、

あるていどまとめたその考えを引き続き精査しながら、コバヤシは自身の足を()()()()()()()()向けるのだった。


・・・


こっそりとメリエの城壁を飛び越えて、コバヤシは街の中へと再び舞い戻る。

気絶したイチノセを担いでこの街を出た時にすでに気がついていたが、メリエ全体を覆っていたあの不思議な“白い壁”は消えてなくなっている。おそらくはあれもイチノセによるなんらかのスキルだったのであろうとコバヤシは考えていた。

王宮の建設現場では、所々で人々が固まりあって何かを話している。


もしかしたらすでに“王の消失”に気づいてき始めてるのかもしれないな。“あの壁”も消えているし、、


そんな中に、リーシア父の姿が混ざっていることに気がつく。どうやら彼もこの現場へと()()()()()()いたようであった。

とにかく無事でよかったと、コバヤシは一人胸を撫で下ろす。


よし、、

彼は、そんな労働者達を背に、一人更に奥へと進んでいく。先ほどまでイチノセとコバヤシが居た部屋へと向かう。

あの男の攻撃によってすでにその部屋は“半壊”していたが、それでも問題はないと、コバヤシは()()()()()()()を、その部屋に行っていくのだった。


・・・


メイ、ルゥ、ドラコ、そして西門門番が一人であるマルコを合わせた四人組は、メリエを囲っていた“白い壁”が消えたことにいち早く気づいていた。

メイは真っ先に「アキラがなんとかしてくれたに違いない」と考えるも、今はただ彼の帰還をここで待とうと決め、西門に残っているのだった。

街の中の人々も、何人かはこのことに気づいたらしく、それまでまるで無人のようであった街の中からちらほらと男達と子供たちが姿を見せる。女性たちの姿は全く見つけられなった。

しかしこの“白い壁”の消失に対しては、まだみんなそれを不気味がってか、街の外へ出ようという人間はいない。無理もないとメイは考える。


そんな時、大通りの奥から、自分の待ちわびていた男が姿を見せたのに彼女は気がつく。その男の目つきはまるで犯罪者かなにかのようで、ちゃんと眠れているのかと心配になるほどの隈だらけであったが、慣れるとその目つきが可愛くも思えてきてしまうのだった。


「アキラ!」


メイは、こちらへと向かって来るその男へと、大きく声をかけるのだった。


・・・


「みんな、待たせてごめん」

まるで待ち合わせに遅刻してきたかのような表現でコバヤシは一行へと挨拶する。


()()()とドラコが駆け寄り、彼に抱きつく。メイは両手を開いていたように見えたがすぐにその手を後ろへ隠してしまった。するとルゥもコバヤシに(ドラコごと)抱きつく。

「ダーリン、、無事でよかった、、」

彼女の目は少し潤んでいるように見えた。


「心配させたかな、ごめん」

彼はそう言ってドラコとルゥの頭をぽんと優しく撫でる。

メイはなぜか少し不機嫌そうになり「遅かったじゃないの!」と突っかかってくる。


どうやらすごく心配させてしまったようだ、、


「コバヤシさん、おかえりなさい」

門番であるマルコが、ずいぶんとほっとしたような顔でこちらを見つめていた。それにしても彼の言葉遣いが優しくなったような気がする。


「マルコさん、ただいま戻りました」

それからコバヤシは、みんなに報告(仮)を始めることにするのだった。


・・・


結論から言うと、、

「“王”と思われるような存在は、()()()()()()()居りませんでした」

コバヤシはさらっと事実を()()しにかかる。


これが彼の考えた、“全てを丸くおさめる手っ取り早い方法”であった。

もちろん、これを押し通すためにいくつかの“細工”はしてきたが、、


コバヤシの言葉に、一同は(特にマルコが)驚きの声を上げる。いや、ドラコだけは特に表情を変えていなかった。いつもの表情である。

彼はそんな少女の表情を見て少しにやけてしまいそうになるのをこらえる。


「居なかったって、、」

そんな馬鹿な、、

マルコはこちらが言ったことをやはり信じられないといったようであった。


「ではあの光はいったい、、」

光?

コバヤシは少し戸惑う。

するとルゥが、

「ダーリンが居なくなって少ししてから、街の中心辺りで白い光が()()したのよ」

空飛ぶ城が落ちてくるんじゃないかと思ったわ。

冗談なのか本気なのか、いやジョークなのだろう、このサキュバスはそんなことを言う。

周りはきょとんとした顔になっている。ドラコだけはなにやら不思議な呪文を唱えていた(「りーてらとばりたうるしゅー…」)


「…俺は建物の中に居たからかな、そんな光は見えなかったよ、、」

コバヤシはドラコをスルーしつつ、そのように言い逃れる。

もちろん彼には、その“白い光”がなんなのかの見当はついていた。


おそらく()()()のやつだろう、、

イチノセが不意に放ってきたその時の一撃をコバヤシは思い返す。


「ただ、半壊していた部屋の中に、なにやら血文字のようなもので文章が書いてあるのを見つけまして、、」

そこにはこんなことが書いてあったんですよと、彼は自分が仕掛けた細工の内容を発表することにする。


「“王は始末した”と」


コバヤシがそう告げると、一同は(マルコは特に)再び驚きの声を上げるのだった。


…ドラコは上げていない。

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